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桜庭統 What's up?とシャトーガクトと漫画の日

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書きたい事が多過ぎますが、全部書きます。


先ず、2月4日に何の前触れもなく発売されておりました、桜庭統さんのニューアルバム「What's up?」。
公式すらも配信されていた事に気付いていなかったようで、ファンの手によって発見された情報が拡散され、「What's!?」となっておりました。

「桜庭統 after all」でググると、私の拙い感想記事が二番目に出て来る事実に自分でビックリしましたが、ともあれその「after all...」から10曲+新曲も4曲加わったアルバムが現在itunesで配信中です。

既存の曲もミックスが変わっているので、「after all...」をお持ちの方も是非全曲購入すると良いです(←単品で新曲だけ買って、後からミックス違いを聞いて慌てて全部買って損した人)。

新曲4曲の中では、「Change of Mind」が特に好きです。
フィーナルや螺旋の塔などのラストダンジョンで流れていても違和感がありません。
後半の疾走、そして美しいピアノが気持ち良いです。
そして、個人的にSO5の戦闘曲候補である「The way」の格好良さと来たら、心臓を鷲掴みにして恍惚としながら桜庭さんの名前を連呼する機械に成り果てる次元。

公式HPによれば、CD版も発売されるそうですがその時期は未定のようです。
正座待機するしかありませんね。
いっそまたライブをやって頂きたいです!



☆★☆★☆★☆★☆

話は変わりまして。

本日発売開始の、女性でも飲み易い事を主眼におきGACKT様によってプロデュースされた日本酒「シャトーガクト」。

記者会見での
「志は高く。愛情は深く。この友情は永遠に……乾杯」
が格好良すぎました。

1本720mlで5250円と、かなりお高いですが……

photo:01

日本酒とGACKT様が大好きな私が買わない理はありませんね。

新宿高島屋で、最後の1本となっていたレイクレシェントとゲンを確保。
相当売れ行きは良かったそうです。

純粋な日本酒が好きな私は、三種類ある内、赤紫蘇入りというヴァンパイアはスルーしました。


まず、今日はお肉の日でもあるのでお肉に合うというレイクレシェントを開封。


photo:02


photo:03


三日月と洋館とコウモリが描かれた可愛くお洒落なラベルはとても日本酒とは思えませんが……

栓を開けると、確かに日本酒の香りがします。

折角なので、一手間かけてシャリアピンステーキを焼いて。


photo:04


と言っても、半額になった200円台のお肉の安上がりステーキですけれど(笑)


繊細な香りを想像していましたが、意外とグイグイ押し寄せて来る感じ。

味も太く強いファーストインパクトですが、しかしその後にはスッと軽やかに浮かび上がって行く、シャボン玉のような、泡沫の夢のような後味。
スッキリとしていて呑み易い、幾らでも呑めてしまうタイプだと感じました。

同じ値段を払うのであれば、十四代でも腰の寒梅でも美味しいお酒は幾らでもあるのでGACKT様ファン以外にも強くお薦めとは行きませんが、普通に美味しい良いお酒です。
流石勝山。

GACKT様の一押しのゲンを飲む日が楽しみです(^-^)


☆★☆★☆★☆★☆

更に話は変わりまして。


本日2月9日は、手塚治虫先生にちなんだ「漫画の日」でした。

去年もそうでしたが、今年もTwitter上などで沢山の漫画家先生方が手塚治虫作品のキャラを描き公開しておりました。

「漫画の日 2013 (画像だけのまとめ)」 - Togetter
http://bit.ly/W7j5hu

こういった物を見られる今の時代は、本当に凄いなぁと思います。

又、天乃咲哉先生がなさっていた
「漫画家になるのを諦めようと思った時期がありましてね。
そのときに、古本屋で「火の鳥(黎明編)」を立ち読みしたんです。
終盤、穴の底から這い上がった青年が両手を広げて「世界だ!」と叫ぶ。文庫の小さな白黒の画面には、本当に世界があった。
これが漫画の可能性なんだと思い知らされました」
という呟きには思わず膝を打ちました。
本当にその通りだと思います。
「火の鳥」が齎す圧倒的なパラダイムシフトは、時代が変わっても不変でしょう。


手塚先生の長女であるるみ子さんが
「本日2月9日は手塚治虫の命日です。毎年のことですが手塚漫画の1つでも読んでいただければ父の供養となります。そこに手塚は生きております」
と仰っていた事もあり、私も本棚から「ライオンブックス」を取り出して読みました。

そして「安達が原」の完成度に改めて深く嘆息し、様々な想いを馳せてしまいました。

「火の鳥」「鉄腕アトム」「ブッダ」「ブラックジャック」など有名どころは勿論ですが、短編も異常なまでにクオリティの高い作品が多いです。

「ライオンブックス」は本当にお薦めです。
「奇子」、「きりひと賛歌」、「MW」、「新撰組」……お薦め作品を挙げていたらキリがないですが、一人の人間がこれ程の多量の仕事を為し得た事は奇跡的であり、比類無き偉業であると思います。

手塚治虫先生が私達に遺して下さった大いなる遺産。
出来る限り、その素晴らしさを後世に伝える一助になりたいです。

坂本ですが?1巻 金魚坂上ル1巻

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坂本ですが? 1巻
佐野菜見


「坂本ですが?」が今年最初の大型難民タイトルになってる印象。初期のバズりぶりは「式の前日」以上(nelja)
などと巷で話題、売り切れ続出の「坂本ですが?」。

私がたまに行く、狭いスペースながら自作POPや掲示物のクオリティに定評のある渋谷BOOK EXPRESSさんでも、



photo:02
わざわざこんな貼り紙がしてあって吃驚しました。
普段、こんな風に扱われている作品は見たことありません。


その内容は、「日常系スタイリッシュ坂本アクション」とでも形容すれば良いでしょうか。



photo:01
ドアの上に仕掛けられた黒板消しトラップを華麗にキャッチ!

女子には黄色い声援を受け、男子はそこにシビれる憧れる状態。



どんな事態があっても余裕を崩さず飄々と振舞う男子・坂本(下の名前不詳)。

彼のエレガントかつスタイリッシュな学校生活を描いたシリアス系コメディです。



真面目な事をやっている様が面白い、という所謂「シリアスな笑い」。

同じビームコミックの「テルマエ・ロマエ」が大きく道を開拓した感がありますね。
上記のネルヤの記事にも挙げられていますが、「ふうらい姉妹」や「秋津」など、こういったシュールギャグの発展が目覚ましいレーベルであります。



特に個人的に好きなのは、このシーン。


ヤンキー達によってトイレの個室にバケツの水を放り込まれるという古典的イジメ。

それに対して坂本は……



photo:03

…やれやれ
にわか雨…ですか



スタイリッシュ!


「デビルメイクライ」だったらS連発間違い無しのスタイリッシュさ。


僅か開始4頁で、完全に「坂本の世界」に引き込まれます。




photo:04
各話の扉絵も、酷くて面白いですね。



ある意味で中二病チックなのですが、最近は中二病である事に自覚的であったり、メタ的に取り扱ったりしている作品が多いのに対し、純粋に自分の美学を突き詰めているだけという姿が新鮮で輝かしいです。

うすた京介作品や「魁!!クロマティ高校」のようなシュールな笑いを受容できる方、とりわけ眼鏡男子好きの方にはポイントの高い作品ではないでしょうか。





70点。








坂繋がりで、という訳でもないですが。









金魚坂上ル
PEACH-PIT


「ローゼンメイデン」のPEACH-PIT先生が送る最新作。

町で無料の便利屋「すくい屋」を営みながら、「思い出のカケラ」を集める少女・花小野にしきの物語。




photo:05

そんなある日、にしきはある不思議な兄妹に出会う――




photo:06

優しくノスタルジックで温かみのあるお話です。
坂が多く、かつては水の町であった深郷町の風景。
白黒の陰影が印象的な背景、町の景色には情緒が溢れています。
又、時折出て来る祭囃子が聞こえて来そうな金魚の回想が郷愁を誘います。
金魚すくいで取った金魚の事を思い出してしまいますね。

絵柄は流石の可愛さ。
上記の「ホンワ~」のような時折出て来るデフォルメも可愛いですし、謎の兄妹の妹の方、朱(あかい)も可愛いです。
又、個人的にPEACH-PIT先生が描く男性キャラも好きです。
にしきの幼馴染である、基本的に無表情な蒼馬くんが格好可愛くて美味しいポジション。





仄かな三角関係の行方も気になりますし、物語自体も1巻の最後で驚きが訪れ、牽引力を持たせられていました。

今後の展開が楽しみです。


70点。

咲-Saki-阿知賀編 第19話「本領」 感想

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前回記事:咲-Saki-阿知賀編 第18話「激化」 感想


松実玄さんの神像が制作決定だそうで喜悦の極みに至り、初めてそういった類の物を贖う決意を固めた今日この頃です。
出来ればねんどろいども原村さんに続いて欲しいですね。


さて、文字通り激化して行っている全国大会Aブロック準決勝大将戦。
今回はそれを引き継いで、更なる熱い闘牌が!

雑誌冒頭の阿知賀にゅーすは、今回3P。
今号は松実玄さんも描かれており、精神的な安らぎを得ました。

そして、灼役内山夕実さん・ふなQ役三澤紗千香さん ・哩役鹿野優以さんの三人へのインタビュー。

「射抜かれるシーンが印象的」「麻雀でフィッシャーって何?」という三澤さんに思わず首肯してしまいます。
内山さんのお父様が、元プロボウラーで麻雀もよくなさるとか。
運命的ですね。




そんなこんなもありつつ、以下は本編をネタバレ全開で語って行きます。
未読の方、単行本派の方はご注意下さいませ。



































点数では最下位にまで落ちてしまっていた白糸台。
しかし、そんな一時の後塵など意にも介さないといったラスボス感溢れる淡さんが小宇宙を背負ってダブリーを放った扉絵から。
完全にセブンセンシズに目覚めている感じです。
目に宿る焔がブラックロックシューター的……と言っても、確か咲-Saki-の方が早かったとは思いますが。

そして、穏乃の回想。

準決勝になってから実に緻密で的確な分析を行う赤土先生は、この大星淡のダブリーに関してもただ一度の事例により穏乃に警戒を促していました。

その犠牲者となったのが、西東京地区予選決勝で淡と同卓した松庵女学院の多治比真佑子さん。
松庵と言えば吉祥寺の辺り。
ショッピングしたり井の頭公園でボートに乗ったりして、部員と親交を深めていたかもしれませんね。


photo:01


そんな多治比さん、ツインテールで人気も出そうな可愛らしい顔。
制服が阿知賀と似ている気がします。


ちなみに、以前にも小さくですが登場しておりました。

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本編56局で、白糸台が決勝進出を決めた時の

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この子ですね!
個人戦でも相当の成績らしく、何位か気になります。

そんな多治比さんですが、



photo:02


淡さんのダブリー直前にはとんでもない物に遭遇してしまったかのような恐怖の極みの表情に。

バトル物少年漫画として輝いて来た咲ですが、遂にここに来てホラー漫画の世界にも入門して来たようです。
その内、楳図かずお絵パロディとかも描かれそう(笑)


photo:03


思わず穏乃も飛び退きました。
大星淡のダブリーには要注意、


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特にダブリー後のカンの後は完全な安牌意外はダメ、との事。
淡さんもカンを用いる能力とは、咲さんとの因縁を感じずにはいられませんね。


ちなみに、この回想シーンで二人が会話しているのは日比谷公園ですね。
今度通り掛かった時にでも行ってみようと思います(^-^)



穏乃は当たり牌を掴まされながらも、赤土先生のアドバイス通り三色イーペイドラ1の満貫手を崩してオリ。

一方、鶴田姫子さんはタンピン三色ドラ2のダマっパネをテンパイ。
安牌もなく、八ソーのカベもあるので九ソーを切ってテンパイするのは全く間違っていないでしょう。

しかし、それが状況の罠。


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牌を逆方向に270度回転させての公開。
これは咲ファンの間でまた新たに流行りそうなムーブですね~。
リーチ棒を立てるよりは簡単ですし(笑)

そしてカン裏がゴッソリと乗ってインパチ。
何それずっこい!


しかし、このシーンは大星さんの凄さを見せ付けるシーンでもあるのですが、5シャンテン以下の悪配牌、特に順子系の手を作るにはそれ以上に厳しいであろう手牌から、よく9巡目前後に満貫だの跳満だのを張れるなぁと、穏乃や鶴姫の地力の高さを思わされた部分でもありました。


連荘し、「まだ親やめる気ないからね」と更にダブリーを仕掛ける淡さんの見開きの迫力はなかなかのなかなかです。


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それに対して穏乃の中で燻る焔が……!


ここはちょっと意外でした。
穏乃の性向的にもっと元気良く派手な活躍になるかと思っていました。
しかし、実際には宛ら冷やし透華のような静謐の中に凄みを感じる強さ。


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ダブリー後は必ず和了出来るであろう筈の淡を和了らせず、静かに封じ込めつつ淡から直撃を取る穏乃。
その和了で焼き鳥も回避し、熾烈な前半戦終了。

成る程、名前の通りの穏やかさを感じます。
確かにこういう風な雰囲気の変え方もアリですね。


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その穏乃の強さについて、咲・一と共にオリンピックセンターの宿舎でTV観戦している衣が言及。

練習試合の時、衣は穏乃と対峙してハイテイで5回和了する筈が3回しか和了出来なかった、更に二日目の練習ではハイテイに辿り着く事すら出来なかった、と。

その日が満月ではなかったとはいえ、衣の支配から抜け出せるというだけで、作中での異能ぶりが際立ちます。

満月時でも支配から脱する事が可能なのか、興味深いですね。


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休憩時間中も、静かに黄昏ているらしくない穏乃。
しかし、そこに特に違和感も持たず普通に接する憧ちゃんを見るに、実は穏乃はこういう面も元々持っているのかなぁ、と。
粗暴に見えて、目上の人への敬語を欠かさないといった部分もありますし。

「あと半荘1回かぁ」と呟く憧に、「え…あと11回だよ」と何の虚勢でもなく、躊躇いもなく言い放つ姿は底知れぬ強さと頼もしさを感じさせました。


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一頁まるごと使ったど迫力の福与アナと、すこやんの夫婦漫才は今回も絶好調。
さり気なく求婚を済ませたふくすこに幸あれ。

そんな楽しい幕間を挟みつつ……

運命を分かつ準決勝Aブロック最後の半荘が遂に開始。


東一局、親スタートの穏乃。
しかし、そこに襲い来る更なるあわあわのダブリー!
しかもツモ切りで地和寸前という恐ろしさ。

下手すると、その内ダブリーを超えて天和地和を連発出来るようになってしまいそうな。
そこまでいってしまうと、何の戦略も立てられずドラマとして成り立たないというメタ的な事情があるので至らないでしょうけど(笑)


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そして、リザベーション局でもダブリーを掛ける淡、鶴姫との真っ向勝負!

これは熱く燃える展開です。


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結果、軍配はシローズ鶴姫コンビに。

照以外に淡のダブリーを破れる高校生がいる事に驚く菫さん。
しかし、その照さん曰く10人位は居るんじゃないかな、と。

他に破れそうなのは、咲さん、満月衣、冷やし透華、姫様、姉帯さん、塞さん……
あとは有珠山高校や臨海の中にも破れる人は居そうな気もします。

ついでに言えば、松実玄さんが覚醒してカン裏まで支配出来るようになれば、特に赤牌がないルールであれば、ダブリーツモだけなのでカンドラカン裏合わせて「リーヅモドラ11 16000オールです」(オッ)と一撃で捲って勝利出来るはず……と物凄く贔屓目に見た願望混じりの予想。

その後、まさかの亦野誠子さんが破った事を告白。
ビーパイの端がポイントとなっているようで、角を失くしてしまえば封じられるという何ともな攻略法。

ルールに詳しくないのですが、これって実戦では違反行為になるんでしょうか?(笑)


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しかし、照さんをしてプロでも破れないんじゃないかと言われるリザベーション能力は強固ですね~。
ただ、プロで団体戦をやる機会がどれ程あるものかは謎ですけれど……


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そして、この人も黙っていません!
淡のダブリーを破れる高校生がこの卓には3人もいる。
リザベーションされていない親番まで温存を考えていたものの、連荘を看過できず枕神怜さんを呼び寄せた竜華。
見開きの怜竜ページから放たれる空気が美味しくて、今日も幸福です。

休憩中にも注ぎ込めた事を仄めかす怜さん。
これは一度是非、常時エトペンのように常時怜膝枕で打ってみて欲しい所。
心配する二条泉さんのあわてぶりが面白いです。



しかし、私にとっての阿知賀編といえば何と言っても松実玄さん!
今月のマンスリー松実玄さんTODAYの時間です。

今月は3コマのご登場!

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ドラゴン復活の儀式の為にひたすら打っている訳ですが……毎回赤土さん共々座っている位置が変わっています。
しっかり毎回場決めして打っているんですね。
2人麻雀でも良い、という条件ですがずっと4人で打ち続けている様子。
自分達も少しでも雀力を上げようという意気込みの表れとも捉えられますね。
一番下の時は両サイドの人が何故か見えず、手牌と鳴き牌のみが見えている不思議でまたしてもホラーの香りですが……




最後の最後は、強者三人を山に例え、そこに分け入ろうとする穏乃。

その表情には一点の曇りもありません。
まだその能力の全容は明らかになっていませんので、きっと語られるであろう次回が楽しみです。


が、非情にも「次号、最終回」の文字……!


それまで、

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こんな表情で読んでいましたが、この文字を目の当たりにして


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うわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ‼‼‼


となってしまいました……。

ええ、準決勝までで阿知賀編は終わり。
予め解っていた事です。

しかし、解っていた事とはいえこの別れは辛いです……

この一年程の間、どれだけ毎月阿知賀編を生きる喜びと活力にして来たか……

終わりの時が来てしまうのは寂しいにも程があります。
思わず天を仰いで涙が澎湃と零れ落ちて来ます。

本編できっとまた登場する事もあるでしょうけれど、五十嵐あぐり先生が描かれる松実玄さんや竜華さん達に会えるのは来月が最後。

胸の苦しさと痛みは隠し切れようもありません。

しかし、それでもこれまで愛した阿知賀編や数々の思い出が消える訳ではありません。

これからも変わらず、永劫愛し続けて行こうと思うまでもなく、そうする事でしょう。



恭しく、私の中で至上の煌きを呈する神話の終幕を迎え入れようと思います。

恋愛遊星 はじめましてのシルヴァンドル

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恋愛遊星
倉橋 ユウス

宇宙には昼も夜もないんだぜ

先日読んだ「星のうえでめぐる」(1-2巻)が良かったので、倉橋ユウス先生(二人組のユニットらしいですね)の初単行本であるこちらにも手を伸ばしてみました。

すると、これが期待以上に面白かったです!

近未来の日本を舞台に、固有の特性を持つ5種の宇宙人とその関わりを描いた5篇の連作短編集。
SF設定を味付けに描かれた、恋愛短篇集と言い換えても問題ないでしょう。
読み味も、個別のお話で完結していながら他のお話ともリンクしていてニヤリとできる構造も「星のうえでめぐる」と同様です。


周期的に訪れる「キルキ」に翻弄されるキルキリリ人。

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病気にならない完全な健康体の代わりに、全ての固体に共通の寿命が設定されてしまっているトステ人。

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抗いようのない先天的な特質によって定められたそれぞれの運命。
その中で生じる感情が切なく、美しいです。

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突然、SF色が強くなる部分もあってテンションが上がります。

この「イヴァン」に登場するお母さん、素敵です。
サバサバした女性が多く出て来るのも、倉橋先生の特色ですね。

あとがきの
日本においては「SF」は"ジャンル"ではなく
"要素"である方が、正解のように思います。

という言葉には納得するものがありました。
最早SFである事は特別ではなく、SFというファクターで何を描くか。
「機械仕掛けの愛」「Orange」「マヴラブオルタネイティヴ」「ルートダブル」などは正にそういった作品かなぁ、と。

倉橋ユウス先生の作品は今後も追いかけて行こうと思わせられた良作で、お薦めです。


75点



そんな倉橋ユウス先生が、アオハルオンラインで連載中の「はじめましてのシルヴァンドル」。

はじめましてのシルヴァンドル
http://aoharu.jp/comic/siruvandru/

こちらは1話数ページで、異星人の幼女によるハートフル異文化コミュニケーション短編。
「よつばとっ!」のような、常識に囚われた大人とは違う観点投げかけられる疑問や感動に気付きの面白さがあります。
読み味は「恋愛遊星」や「星のうえでめぐる」に比べれば大分ライトでコメディ寄りです。

現在発売中のアオハルに、「シルヴァンドルと星屑ストライク」という読み切りが掲載されているようですので、こちらも要チェックですね。

PR: なんとなく加入して、なんとなく支払っているあなたへ。

こぐまレンサ 完全版(講談社BOX版)

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こぐまレンサ 完全版
ロクニシコージ

あなたは鏡。
だれかの心を映す鏡。



「【トランスルーセント】彼女は半透明」(1-5巻80点)に続き、「ルートダブル」ライターの月島総記さんのリコメンド作品。

講談社BOXといえば、その「ルートダブル」のノベライズも出しているレーベルで、西尾維新先生や清涼院流水先生、奈須きのこさんや竜騎士07など、太田克史さんによってメフィスト賞やファウスト系の流れを組み、ゼロ年代を代表する創作者達が活躍する最もホットなフィールドの一つというのが私のイメージです。

小説の印象が強いですが、漫画も名作の復刻を中心に僅かばかりあるようです。


そして、「このこぐまレンサ」。

「アウターゾーン」「Y氏の隣人」「死のホワイトマジック」などと似た雰囲気のある、一話完結型の奇妙な物語。


第一話、一度でいいから売れたい小説家が、悪魔召喚の儀式を行ったら突然現れた謎の少女こぐま。

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天使の翼を持つこぐまの正体とは――

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「この世で不幸な人ベスト100を示すランキングサイト」「四角い物にしか愛情を感じない男性」など、様々なショートショート的なネタの短編が綴られていきます。

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気が付くと、白い何も無い部屋に監禁されている「チチェ」に出て来る大きな発想には、心揺さぶられるものがありました。


この作品は、一話一話を読むだけでもそれなりに面白いのですが、全体を最後まで通して読む事に価値があります。
一部、当時のヤングマガジンで読んだ記憶もあり、しかし余り印象に残っていなかったのはその為かと。
それ故、全2巻を1冊に纏めたこの完全版は素晴らしい編集ですね。

読み進める毎に、そこには確かな快楽が生じ、作品への見方も変わって行きました。
最後の最後に出て来る魂の叫びには、胸を打たれます。
美しさすら感じました。
読み終わった後に、しかと「こぐまレンサ」というタイトルを噛み締めました。
ある意味で、バレンタインデーという今日の日に紹介するにはピッタリの内容かもしれません。
愛なき哀しみと、その先を綴った物語。


ロクニシコージ先生は、19歳でちばてつや賞を受賞し、96年に華々しいデビューを飾りながらも、2004年の「こぐまレンサ」以来、漫画の発表はされていないようですが……

何かしらの事情があるのか解りませんが、これだけの物をお描きになられるのであれば是非ともまた何かを生み出して欲しいなと思います。

絵は若干荒めで一般受けし難いかもしれませんが、内容的にはお薦めです。


75点。

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咲-Saki-阿知賀編プチ舞台探訪 19話「本領」より

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最近は味という漢字を咲に空目する程、熱病が極まっていますこんにちは。


突然ですが、私は心の底から松実玄さんのいらっしゃる阿知賀女子学院麻雀部の決勝進出を祈念しております。
その為、実際に阿知賀まで行き、憧ちゃんの実家である吉水神社で必勝祈願もして参りました

遂に、あと26日程で阿知賀編も終幕。
もうすぐ、あと少しで祈りの結果を見る事になってしまいそうです。

毎日松実玄さんの事を考えない日はありませんが、その想いはこの佳境に来てますます募るばかり。
願わくば、最後には笑顔の松実玄さんを見たい。
勝利を決めて、和に対峙して欲しい。


そんな事を考えつつ、19話に登場する日比谷公園には隙あらば行こうと考えておりました。

そして今日は有楽町が通り道になる日だったので、


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早速探訪して参りました(^-^)


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場所は公園北側の広場、北西の位置。


帝国ホテルも見えるこの場所に来ると、去年の9月6日の事を如実に思い出します。
(過去記事:松実玄さんの日なので帝国ホテルへ聖地巡礼です 1)


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photo:04


赤土さんと穏乃が座った椅子も特定可能でした。
インターハイは8月、今現在が2月なので季節は正反対ですが、後ろの植え込みなどもその物でした。

折角なので穏乃の座った席で咲ポをしたら、人生初の清老頭を和了して吃驚。
ヤオチューハイが穏乃のキーになっている、という予想が一部でもありましたがこれは……( ° ° )


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勿論、サンドイッチと3.6牛乳を携えて(笑)


折角なので実際に赤土さんが訪れたであろう付近のコンビニを探してみました。
帝国ホテルから近くて、その後日比谷公園に行くとなると……


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このセブンイレブンではないかな、と。

直線距離的に近い所であれば、公園西の音楽堂の出口を出るとすぐにファミリーマートがありますが、そちらは厚労省と環境省の庁舎。
一般人にも開放はされてはいますが(余談ですがそこの食堂が面白くて美味しいらしいのでいつか行きたいと思っています)……

いくらハルちゃんでもそこまでは行かないでしょう。
普段ならいざ知らず、この時期は敵戦力の分析に全力をあげていて観光なんか目もくれなさそうですし。
そして件のベンチの位置からは遠いですしね。


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そして、いざそのセブンイレブンへ行ってみると……

何とここは普通のコンビニと違い、飲食物専門で日用品や文房具の類が全然ありません。
その分、飲食物は普通のコンビニよりも様々な種類の物が置かれています。
赤土さんも種類の豊富さにビックリしたでしょうか。

それでも、あの直方体の200ml牛乳は最近は置いてないようでちょっぴり残念でしたが。


ちなみに、このセブンイレブンの向かい、真ん前にあるのが千里山女子ご一行様の宿泊先である、ザ・ペニンシュラ東京だったりします。

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このシーンも大好きです。
竜玄、実に実に私得でホクホク。

竜怜ファンとしてはこのペニンシュラにも一度泊まりに行きたい所ですが、同じ高額の料金を払うなら、私はもう一度阿知賀女子の宿泊先である帝国ホテルの方に行きたいと思ってしまいますね( ´ω`)


ついでに、日比谷公園からこのセブンイレブンのある通りを更に進むと、鹿児島県のアンテナショップであるかごしま遊楽館があります。

(参考記事:喜界島黒糖 by 「咲-Saki-」永水女子 滝見春さんのステマ)

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こちらでは喜界島黒糖を始めとする、永水の方々に馴染み深いであろう鹿児島県の特産品が沢山置いてあります。
食事処も複数あり、黒豚カツやしゃぶしゃぶ、黒糖ブリュレなどがありますので、永水ファンにお薦めです。




そういえば、小林立先生が取材先で怪我をし、手術をして入院なさっていたとか……
その影響で、3月24日を予定していた「咲-Saki-」11巻と「阿知賀編」5巻、及び本誌での連載も併せて延期だそうです。
大事には至らなかった事が幸いですが、立先生の順調な予後をお祈りします。

続きが読める事は当たり前ではなく、奇跡的でとても有難い事。

一先ずは明日の夜明けに買いに行くヤンガン本編を、そして様々な想いを胸に来月の阿知賀編最終回を待ち焦がれます。

※追記
今号の咲-Saki-は、負傷の為休載のようです。

PR: 何のために、誰のために、どんな時のために必要か。

惨殺半島赤目村1巻 いいなりゴハン1巻

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惨殺半島赤目村
武富健治


誰も…信用できないっ!!

「鈴木先生」の武富健治先生による最新作。

アース・スターというと、アイドル声優さんが表紙を飾り、連載作品には割と萌え系美少女漫画が多いレーベル。
が、その中にあってこの禍々しいタイトルとオーラを纏うのがこの「惨殺半島赤目村」。
雑誌を間違えているのでは、という勢いで異彩を放ち尽くしております(「pupa」などもありますけど)。

公式サイトで1話試し読み可能ですが、他作品と比べると余りに異質で素敵です。
http://comic-earthstar.jp/author/


しかし、武富健治先生が「鈴木先生」で描けなかった物を描く、として始まったノワールサスペンスが面白く無いはずはありません!

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主人公は、瀬戸内海に面する陸の孤島、姫ヶ崎半島赤目村に単身赴任してきた青年医師・三沢勇人。

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三沢を招聘した六車村長と対立する青年団達には快く思われないものの、何とか村での新生活を開始する。

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しかし、何かを隠している村人達に疑心は募って行く。

そしてある日「事件」が起こる。
果たして村に隠された秘密とは――


新生活を始める緊張・不安と仄かな期待が多くの村民たちとの関係も含め丁寧に描かれ、すんなりと導入から入り込めます。

あらすじとは別に、更にもう一つ軸となる設定が読み進めて行くと明らかになり、物語に引き込まれます。

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女系の赤目神社の巫女である閼伽目祥子も、今後のキーパーソンになって来そうです。

かなり多くの登場人物が出て来ますが、コミックスでは幕間に人物紹介や用語解説が載っているのは親切ですね。

人間の表情、迫力あるシーンの演出は流石の一言。
メリハリの効いた展開で続きが気になります。
錆びた観覧車の軋む音が聞こえて来るよう。

田舎村の因習を絡めた事件という事で、
「八つ墓村」「ひぐらしのなく頃に」「屍鬼」「千年万年りんごの子」などが好きな方には特にお薦めです。

今後も楽しみです。


75点。






いいなりゴハン 1
森繁 拓真

旨い!
これは神のホルモンだ!


「となりの関くん」(1巻70点 3巻70点) の森繁拓真先生による、美味しい食べ物屋のエッセイ漫画です。

実の姉である「海月姫」や「おもに泣いています」(
1-2巻70点 3巻75点  4巻70点 5巻70点)の東村アキコ先生の提言もこの作品の誕生に大きく関わっているようです。

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「エッセイ漫画を描きたくて漫画家になる人はいない」「物語を創作する所に最大の面白味がある」と思っていた森繁先生ですが、「忙しい現代人は難しいストーリーより為になる知識を求めている」「私も『ママはテンパリスト』が無ければ危なかった」「お前が昔描いて(押切蓮介先生のサイトに掲載して)いた食べ物屋エッセイ漫画が一番面白かったからあれを描け」と言われた事を、担当者にも賛同され始まったとか。

牛好きの東村先生の要請により、序盤はホルモン店ばかりなど、グルメエッセイとしてはかなり偏った内容にはなっていますが……

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しっかりと「美味しそう」「食べたい」「行ってみたい!」と思わせられる内容です。

焼肉にまぐろにプデチゲ、高級ずしからたこ焼きまで。
今は禁止になったレバ刺を紹介して垂涎させつつ、フォローとして合法な豚のレバ刺を紹介するなどニクいです。

個人的には、稲庭うどんのお店のグリーンカレーせいろがとても気になりました。

韓国訪問記など、食に留まらない内容も。

「デトロイトメタルシティ」の若杉公徳先生や、「モテキ」の久保ミツロウ先生など、様々な漫画家先生方が登場するのも楽しいです。

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石田拓美先生が、少女漫画雑誌を包丁収納に使っていたエピソードなどは笑いました。

東村先生自身が、漫画のキャラのような破天荒さでそれに振り回される森繁先生が面白いです。
韓国の居酒屋に日本から白飯を持ち込んだり、余った物を持ち込むために弟にジップロックを買いに走らせたりとやりたい放題。

「となりの関くん」好きな人、東村先生のパワフルさが好きな人は是非。

グルメエッセイとしては、ホルモン好きの方・韓国料理好きの方・そして都内のお店が多いので、都内在住の方に特にお薦めです。


70点。

アニメイト池袋店・サンシャイン店のススメ

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アニメイト池袋本店が豊島区役所の方へ移転して暫く経ちました。

元の本店があった場所はサンシャイン店と名前を変え、それぞれのフロアがテーマを持った作りに変更。


その8Fでは、現在ガンガン&絶園のテンペスト特集。

ガンガン作品のカラー原画と各先生方の描き下ろしサイン色紙も!
何と、咲-Saki-阿知賀編の五十嵐あぐり先生の描いた穏乃の色紙も見られるので、必見です。
各種抽選プレゼントグッズも展示してありまして、持ってない阿知賀編グッズがあるのが辛い所ですが、最低限松実玄さんが描いてある物は抑えてあるので良しとしましょう。
というか、普通に売って下さいスクエニさん!

絶園のテンペストは、白黒生原稿からアニメの設定画まで充実。

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何と姫様の骨と記念撮影できるコーナーまで(笑)

更に、数ヶ月分のガンガンや各作品のコミックス1巻を試し読みできる休憩スペースも完備。


9Fでは、

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K特集。
セプター4の制服を着て、好きなキャラの等身大パネルと記念撮影ができます。

他にも、電撃フロアではレールガン、ラブライブ、ビビッドレッドオペレーシヨン特集。



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小学館フロアではマギを始め、高橋留美子作品(うる星からRINNEまで!)から黎明のアルカナまで原画やサイン色紙も。


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鬼灯の冷徹特集フロアには、未発表の江口夏実先生の生原稿や、生ネームと見比べられるコーナー、コピー用紙に描いた設定画からカルトクイズコーナーまであって熱かったです。


集英社フロアでは、「このマンガがすごい!2013」で一位を獲得した「俺物語‼」&「テラフォーマーズ」を始めとし、「キングダム」「極黒のブリュンヒルデ」「東京喰種」、「アオハライド」「オオカミ少女と黒王子」「マイルノビッチ」などの生原稿まるまる一話分の展示。
やはり、印刷された物と生原稿とではオーラが違います。
こちらのフロアでも1巻まるごと試し読みコーナーがあるので、気になる作品がある方は是非とも。

キングダムに至っては、200頁の試し読み冊子を配布中。

入るだけなら無料ですし、漫画好きの方には大変オススメのスポットです。




一方、サンシャイン通り脇の区役所裏に引っ越した新しい本店。

ディスプレイも設置され、歩いているとアニメのPVの音が耳に飛び込んで来ます。

こちらはかなりワンフロアが広くなり、車椅子の方でも買い物が出来るバリアフリー化が図られ、とても便利になりました。


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2月14日は、バレンタインであると共にレン様の誕生日!
階段が炎より激しく燃えていました。


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8Fの特設フロアでは、うたプリとスタスカ特集!


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バレンタインチョコをあげたい高校への投票も白熱!
いい勝負に見えるでしょう?
殆どの高校が用紙二枚目なんだぜ、これ……
秀徳に至っては唯一三枚目に突入していました。
強過ぎるのだよ。
青学ももっと応援してあげるのだよ。


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黒バス人気は留まる所を知らず。
階段も黒バスキャラによるツイッターのタイムラインのようになっていました。


「坂本ですが?」が5面陳してあったり、1F入ってすぐの特設スペースで「暗殺教室」を物凄い積み方で置いたり「七つの大罪」を激推ししたりしているなど、売り場作りも力が入っている感じで、ますます買い物が楽しいです。

又、となりのビルには月一でテーマ作品が変わるアニメイトカフェも運営中。
2月はアムネシア、3月はうたプリのようです。

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私は以前エヴァの時に行って、カヲルくんメニューを堪能して来ました。


今後ともお世話になりつつ、様々な企画・イベントに期待します(^-^)

PR: THE ALL-NEW VOLVO V40

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スペシャルサイトオープン。V40で行く「あなたらしさを追求する体験」プレゼント。

十 ~忍法魔界転生~1巻 七つの大罪1巻

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十 ~忍法魔界転生~
漫画:せがわまさき、原作:山田風太郎

徳川
滅ぶべし


「バジリスク ~甲賀忍法帖~」の山田風太郎×せがわまさきコラボレーション再び!
そして、その題材は忍法帖シリーズ最高傑作として名高い「魔界転生」!!
これはテンションが上がらずにはいられません!

かつては石川賢先生なども漫画化したこの作品。
せがわまさき先生によってどのように描かれていくかとても楽しみでした。

読んでみて、高い画力で描かれる人物の魅力と表情の迫力は流石だと思いました。


島原の乱で命を落とした天草四郎時貞。

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せがわまさき先生の天草四郎、可愛いです。

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そんな天草四郎が、同じく争乱の中で死んだと思われていた森宗意軒による秘術「魔界転生」により、復活を遂げる。
それを目の当たりにした由井正雪は、宗意軒と共に江戸幕府を転覆させる企図に参画する――


「魔界転生」によって蘇らせるのは、名だたる有名人ばかり。
ある意味で「Fate」や「ドリフターズ」の原点でもありますね。

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そして、伝説の剣豪・宮本武蔵もその一人。
お通の名を呼ぶ武蔵には、「宮本武蔵」「バガボンド」を彷彿とさせられます。
朧殿のようで、いと美しいです。
黒髪ロングストレートは時代を超えた美の体現。

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槍術の天才・胤舜も登場。
ここでもまた「バガボンド」を想起します。

田宮坊太郎国宗や、柳生兵庫助利厳など、名だたる猛者が続々登場。

基本的にシリアスでおどろおどろしいお話ですが、魔人と化した際のちょっとした仕草にユーモラスな所もあって和みます。

しかしまだほんの導入部分であり、お話としてはこれからが本番といったところ。
「あの人物」もまだ出て来ていませんからね。
今後に期待が掛かります。

もう少しテンポを上げて欲しいとも思わなくもないですが。

ゆくゆくは、是非また陰陽座の曲を主題歌にアニメ化して欲しいものだと思います。


70点。





七つの大罪
鈴木央

どんなウソついたって
自分の心だけはだませねえんだぜ


ジャンプで「ライジングインパクト」「Ultra Red」、サンデーで「ブリザードアクセル」「金剛番長」、チャンピオンで「ちぐはぐラバーズ」を連載してきた鈴木央先生の最新作。

この「七つの大罪」はマガジンでの連載という事で、何と四大少年誌全てで連載・単行本化という近年では珍しい状況に。
他にこういう先生は最近はいませんよね?
特にジャンプは専属縛りが厳しいというお話ですし。

そして、今作は鈴木央先生ファン待望の本格ファンタジー作品となっております!

読み切りではファンタジーもありましたし、「君と僕との間」はファンタジーではありますがどちらかと言えばSF色が強かったので……

「ライジングインパクト」の頃から、円卓の騎士をモチーフに使ったり、ファンタジー色の強い背景を多用してきた鈴木先生。
冒頭の作者コメントでも「私の大好きなアーサー王伝説の鈴木央的前日譚」と言われておりました。
剣と魔法の中世ファンタジー的世界観は、正に念願といえるのではないでしょうか。

既に樹林伸さんなど多くの著名人が激賞しており、昨日の記事で書いたアニメイト本店でも入口すぐのスペースに大展開している期待作です。



ストーリーの中心となるのは「七つの大罪」と呼ばれる、七人の大罪人。
彼らは、かつて王国転覆を謀った最強最悪の騎士団。

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王国の聖騎士に駆逐され、現在は全員が生死不明となっている。

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そんなある日、主人公・酒場〈豚の帽子〉亭の店主であるメリオダスの元に、七つの大罪を捜す少女が現れた時、物語は幕を開ける――

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ファンタジックな風景、動物、飲食物……
実に鈴木央先生らしく、そしてそれが世界観にピッタリ合致していますね。
人々の生活を覗いているだけでも楽しいファンタジーです。

そして、真っ直ぐな主人公。
旅。
可愛いヒロイン・エリザベス。
ツイーゴやギルサンダーなど、癖と魅力のある敵キャラ。
ひとつまみのお色気。

少年漫画の王道中の王道を気持ち良く突き進みます。

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圧倒的大破壊の起こる、迫力ある戦闘描写も爽快感バツグンです。


メインストーリーに大きな軸があって物語としての牽引力がありますし、魅力的なキャラもこれからどんどん増えていくでしょう。
ランスロット的な美形キャラ好きの私としては、そういった方面でも期待。

まだまだ大きな伸びしろがあり、これからの展開に否が応でも期待を高まらせます。

少年漫画・ファンタジー好きの方は抑えておいて間違いのない作品です。


70点。

マージナル・オペレーション 03巻

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マージナル・オペレーション 03
芝村裕吏 しずまよしのり


苦しみは消してやれない。悲しみは数え切れないほどこれから積みあがるだろう。それでも、それでもいつかは、世界を変えよう。少年少女よ。僕の子供たちよ……

ゲーム「ガンパレードマーチ」の生みの親として知られ、「マージナル・オペレーション」(1巻 2巻)、「キュビズム・ラブ」(1巻 2巻 小説版)、「ガン・ブラッド・デイズこの空のまもり」、「イーストリビュート」など、最近は様々な作品で名前を見掛ける芝村裕吏さんの最新巻。

ニートの三十路男アラタが傭兵となり、中央アジアで活躍する物語を描いた1巻。
少年少女達を率いて日本に帰還し、東京で戦争を行った2巻。

今巻では、タイを舞台にアラタ率いる少年少女達の新たな戦いが描かれます。
物語の質は高水準で安定しています。

「子供使い」の通り名で呼ばれるようになったアラタ。
そんな彼の影響で、子供を兵士とする組織、そしてその為の人身売買が横行していた。
その流れを断ち切るべく、様々な勢力にアプローチするが――


軍事関係、タクティカルな物が好きな方向けの作品です。

途中までは、取材を踏まえたリアルなタイ紀行面白いな~とか、ジブリールとソフィによる挟撃は、なかなかに制圧力が高そうだな~などと泰然と読んでいたのですが……

あのエピソード以降がもう…………。

それを経た、最後のアラタの言葉には胸を熱くさせられました。
「ガンパレードマーチ」の名口上を思い出す、見事な芝村節。

世界からも親からも見放されてしまった子供達をどうするべきか、という答えのない問いの苦味が堪りません。

人間って生き物は本当に……

敵は賢いに限るという逆説的な命題がまた生々しくてイイですね。

今回は「ぎりぎり」に「マージナル」とルビが振られていましたが、実にマージナルでした。


「好きだから、変化しないでもいいんだよって気になるんだと思います。変化しないでいいよというのと、変化するなは、違う」

「まったく人を簡単に殺すもんじゃない。殺した中に師が入っているかもしれないから」

この辺りの節が好きです。

前回のスキンヘッドの梶田程のパンチ力ある笑いはなかなかありませんでしたが、「キシモトとはなんだったのか」というサブタイトルは思わず噴き出しました。

ジブリール好きの人には今巻も見所は多いです。
イトーさん派の私としては、次巻以降の展開に期待します。


何と、6月には4巻が出るばかりか、初夏にコミカライズされた物がアフタヌーンで連載開始だそうです!
これで更に人にお勧めし易くなりそうですね。
個人的には「この空のまもり」も漫画やアニメで観て見たいです。

全5巻の構想らしいですが、どんどん大きな話になって行く今作、最終的に芝村さんが何処に帰着させるのかがとても楽しみです。
個人的にはとてもイヤな予感もしますが、さてはて……


75点。

漫画を初動で買うことの功罪、漫画の今後と電子書籍

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漫画家さんの切なるお願い【コミックスは初動が大事】
という話題が、ここ数日ツイッター上で盛んです。

要約すると、「初動売り上げによって連載の存続や続巻の部数が決まるのでなるべく発売日に買って欲しい」という漫画化先生のお願いです。

「あのマンガ面白いなー。ある程度まとまった巻数が出てから買おう」という考えの人がいるかもしれないけれど、そういう人ばかりになってしまうと、そのまとまった巻数が出ないまま打ち切りという事にもなってしまうんですよ~、と。

これはこれで解り易く、確かな話です。
その結果、「応援したい作品はなるべく発売日近くに買おう! 皆もそうしようよ!」というのが、一般的なたまに漫画を読む人のリアクションであり、それが広まっているという感触です。


しかし、一部の編集者の方が、「正規ルートで正規に購入する以上の倫理をファンに課するのは不健全ではないか」という提言をされておりました。

そして、

コミックスは初動が重要……でも「発売直後に買う」は本当に正しいアクションなのか?

という、マンガサイト「nelja」の問い掛けもありました。

一般的な読者にとっては、欲しい時に欲しい物が買えれば良いのであって、その作品の売り上げや存続など関知しないのが当たり前。

そもそも、「初動重視」というやり方そのものが偏重的で問題があり、善意で作品のためにと発売直後に購入する事がかえってその旧態依然の悪習を助長する事になってしまっているのでは、と。

「デラシネマ」や「永遠図書館」が打ち切られた時のような悲しみは味わいたくない、というのが一読者の思いであり、発売日に買うという形で支援できるならそれに越したことは無かったのですが……

流通形態や、編集者・編集部・企業の意向など様々な物が絡む難しい問題です。



現在、年間に出版されるマンガは1万冊以上。
私は人より多く読む方ですけれど、その2割もカバー出来ていません(本当は全てのマンガを読んだ上で語りたいという願望はまた別の話なのでさておき)。
ましてや、その全部を限られたスペースの店頭に並べることは不可能です。
今だと数日経ってしまえばもう新刊平台から棚に移ってしまい、そのまま気付かれず、結果買われない、という事も頻繁に起こっているでしょう。

今の出版数は(マンガに限らず)多すぎるのです。
しかし、出版社としても本を作って売らねば立ち行かず、ライバル社に負けない為にも出版数を減らすという方向にはどうしても持って行き難い状況。
その結果、過当競争に陥り、一部のヒット作以外は惨憺たる有様で出版不況と云われる要因、負のスパイラルになっています。


ではどうすれば良いのか。
どうすれば皆が幸せになれるのか。


そこで、電子書籍
が今後の大きな鍵となる存在であるのは間違いありません。

電子書籍であれば、在庫を保管するスペースも入りませんし在庫切れもありません。
発売直後とメディアミックスされた時以外は大きく動かない作品も、電子書籍であればいつでも口コミからの爆発に対応出来ます。
ロングテール大歓迎で、絶版もありません。

勿論、紙媒体でない事のデメリットもあります。
カバー裏のオマケを見付ける楽しみや、紙や印刷に拘った装丁というのは電子書籍にはありません。
また、漫画文法的な話でも、通常の見開きで描かれた漫画の視点移動は電子書籍に最適化されているとは言い難いです。
「風の谷のナウシカ」や「ウルトラヘヴン」などのような作品は、電子書籍でなく大判の紙面で読みたいと思いますしね。

ただ、それらのマイナスを補って余りあるビジネス的なメリットが電子書籍にはあります。

それでも、週刊少年ジャンプを始めとする漫画誌が電子書籍として販売されない理由は、作品のコピーの反乱や単行本の売り上げ・広告収入の減少を危惧する所が大きいようです。
なまじ大きいだけに、迂闊に動けないという事情は理解出来ます。


それ故、逆説的に小規模の会社や個人単位の方が大きな変革を齎しやすいのですね。


例えば、「超訳ニーチェの言葉」がベストセラーになったディスカヴァー・トゥエンティワン社は、出版取次を介さず直接販売を行なっています。


又、今最も熱く注目されているのが株式会社コルクを起ち上げた佐渡島庸平さん。
折しも、今週の堀江貴文さんのメルマガで対談が掲載されていました。
元々は講談社で「バガボンド」「宇宙兄弟」「働きマン」「ドラゴン桜」、文芸でも伊坂幸太郎先生や平野啓一郎先生やなど、錚々たる作品に携わった名編集者です。

その佐渡島さんが、堀江さんの
「貴方のような優秀な編集者は今後は出版社に依存せず、作家と一緒に独自で仕事をするべき。作家が編集者を選ぶ時代が来る」
というアドバイスを、そして「バガボンド」の事で他の誰よりも苦しみ悩んでいると思っていたものの、井上雄彦先生に「結局バガボンドのことを一番考えているのは俺なんだよな」と言われて編集者とは何かと考えた経験を受けて起ち上げたのが、株式会社コルク。

同じ作品であっても、雑誌・単行本・文庫では担当編集者が変わってしまうのが出版社という業態。
大きな組織であればあるほど、一つの意思決定にも多くのステップが必要で無駄に時間が掛かる。
そして、国内向けにはかなりレベルの高い売り方をしていながらも、海外に向けては極めて消極的。

たとえば韓国の出版業界は小さいが故に海外進出に積極的で、編集者も平然と三カ国語位話すそうです。
日本の漫画や小説ももっともっと海外の人に読んでもらえる筈。
10年経っても色褪せない、人間の普遍性に触れた作品の数々は海外でも通用する筈。
佐渡島さんは南アフリカでの生活を通して、そう実感したそうです。

私が大好きな「咲-Saki-阿知賀編」なども、雑誌が発売された日の内に誰かが翻訳して違法アップロードしたものを海外の人が楽しんでいるというのが現状です。
ただ、それはそうした形でしか手に入らないからであり、然るべき供給源を拵えたなら、作者に敬意を払ってお金を払いたいという人も少なからずいるでしょう。
あらゆる作品がローカライズ前提で作られてしまうと、それはそれで問題ではありますが、今後のエンタメ創作においては海外の人が楽しめるという視点も持っておくことは意義深いと思います。

又、小説は常に最新のメディアと共に存在した歴史があります。
ドストエフスキーが自らの作品の発表のために雑誌メディアを作ったように、新しい電子書籍メディアも作家自身がその想像力によって新しいカタチを生み出してくれるかもしれない。
そういった物のサポートもしていきたい。

そんな思想の下、従来の出版社では実現不可能な、作家の作品を一人でも多くの人に読んで貰うために、そこに付随するあらゆる仕事をスピード感を持って、エージェントとして出版社でなく完全に作家と作品に寄り添って行う。
それがコルクという会社です(コルクのステマみたいな書き方になってますが、他意はありません)。

その辺りの事情はcakesというサイトのインタビューに詳しいです。
「金田一少年の事件簿」などの編集でもあった、同じくコルクの古賀史健さんのインタビューと共に、読む価値のあるお薦めの内容です。

コルクによって現在進行形で行われているのは、Campfireというクラウドファンディングで支援者を募って刊行される安野モヨコ先生の「バッファロー5人娘」。
投資した額に応じて、サインや原画、作品クレジット掲載など特典が付く形式です。
http://camp-fire.jp/projects/view/534


ごく僅かな読者だけで成り立たせるビジネスモデルとしては、星海社の太田克史さんも10人限定販売の「1000ドル小説」という企画を実践してらっしゃいました。

太田さんは、ファウストの時代の文芸合宿から、最近では全く新しいエンターテイメントの形である「レッドドラゴン」など、斬新でワクワクする企画をどんどん打ち出して見せてくれるので、個人的にはとても好きで応援しています。

読者が、作家のみならず編集者のファンにもなる時代。
あの編集さんだから買ってみる、という感情も生まれる時代です。



それにしても、今でさえ書店で実物を見てその場でスマホからAmazonで買う、という行為が横行しているので、今以上に電子書籍が隆盛したら書店はやっていけないのではないか、という懸念は当然あるでしょう。

それについても、堀江さんの今号のメルマガで丁度言及がありました。

電子書籍は再販価格維持制度が適用されず、小規模店舗は勝ち目がない。
そこで、ゴルフ場とゴルファーが専属契約しているように、書店と作家が専属契約を行なってサイン会やトークベントなどを行ってはどうか、というものです。


それと絡めて触れたいのが田中圭一先生。
その破天荒でパロディと下ネタに満ちた作品や言動とは裏腹に、業界や漫画家の在り方について洞察を巡らせ、絵が描けなくてもマンガを描けるソフト「コミpo」の制作などにも携わっておられます。

そして最近

今、真剣に「イベント限定公開マンガ」というのを考えています。サザザさん的な「公に出しちゃいけないような内容をイベントでこっそり公開」という作品から、王道だけどイベントでしか見せない、みたいなものまで取り揃えて。賛同してくれる漫画家さんがいれば何人かで。要するに漫画家ライブをやる。
漫画家大喜利とは違う、即興ではなくジックリ描いた作品をイベント会場だけで見せるという感じ。ミュージシャンが、CDではなくライブを主軸にするようになってきたように、漫画でも「体験する場」を提供できないかな?デジタルデータは容易にコピーされるけど、体験はコピーできないし。
お笑い芸人のライブに漫画家要素が入ったバカリズム的なものもありだし、ストーリーマンガをスクリーンに投影して声優が声を入れるライブもあり。色々と夢が広がりんぐ。

といった素敵な提案をなさっていました。
こういった事を特定の書店と契約して定期的に開催し、その店舗でしか買えないサイン本やグッズも展開することでアイデンティティを保つという選択も有り得るのではないでしょうか。




今後、更に様々な変化が起こるであろう漫画業界。
一人の漫画好きとして、色々考えてしまいます。

好きな作品を応援する意味ではAmazonのレビューを書くことも意味がある、と末次由紀先生もおっしゃっていたので、とりあえず応援したい作品でレビューが投稿されていない物をつらつら書いていこうと思う次第です。

虐殺器官 ゾラン・ジフコヴィッチの不思議な物語

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ここ数日は熱いコミックス新刊が続々発売しておりますし、明日も発売となりますがなかなか本屋さんに行けないので積読を崩す日々です。



虐殺器官
伊藤計劃

すべての仕事は人間の良心を麻痺させるために存在するんだよ


この恐るべきデビュー作『虐殺器官』によって、一躍ゼロ年代を代表する作家となった伊藤計劃先生。
「ベストSF2007」国内篇第1位、「ゼロ年代SFベスト」国内篇第1位、第7回小松左京賞最終候補。
各界や著名人によって大絶賛され、あの筒井康隆先生すらも
噂に違わぬ怪作で、読み終わると大きく一息吐いて充実感に満たされました。

テロを駆逐した先進国と、ますます戦乱の激しさを増す後進国に二分された世界。
それは正に、私達が住む世界と地続きである卑近な未来を感じさせます。
精密に描かれた近未来における、エンターテインメント性たっぷりの物語。

「環境適応迷彩」「SWD」「フライングシーウィード」など、SF的ガジェットも豊富に登場。
ミクロなリアリティとマクロなリアリティの積み重ねにより構築される世界観の強度が素晴らしいです。
これだけ書ける人が現れたら、それは話題になりますよね。
夭逝されてしまった事がつくづく惜しまれます。

尤も、様々な国際情勢、軍事関係のターム、表現は決して取っ付き易いとは言えません。

会話や地の文章にもしばしば登場する哲学的な観想、

「現実は思考によって規定される。ことばではなく」

「物質以外に魂を求めたって、そこから倫理や崇高さが出て来るように思うのは欺瞞ですよ。罪も地獄もまさにそこにある」


といった部分、私は楽しく読みますが、当を得ず冗長に感じるという人がいてもおかしくはありません。

誰にでも気軽にお薦め、というタイプではないですが、物語にテーマや重厚さを求める人は間違いなく読むべきだと思います。


映画好きの伊藤計劃先生らしく、主人公が映画好きという設定であり、様々な映像作品の名前やネタが作品の世界観を損なわない程度に登場します。
個人的には、藤原とうふ店の車に機関銃が装着された図に笑いました。
『マージナル・オペレーション』3巻でも、日本車に機関銃の銃座を取り付けてあったシーンがありましたが……


物語の根幹を為す「虐殺器官」と、それに付随した物語はとても楽しめました。

若干、今私が書いている物語と被っていてショックを受けたのは内緒です(笑)
「ナチュン」(
6巻90点)に近しい物を感じましたね。

私は先に二作目の『ハーモニー』(80点)から読みましたが、そちらも紛れもなく傑作でした。
どちらも、綿密に組み上げられた世界観にSFの醍醐味を感じます。

そして、エンターテインメントとして抜群の面白さを持ちながらも、現代社会に生きる私達を強く揺さぶり問いを投げ掛けて来ます。

必読の書、という言葉は正にこういった作品にこそ相応しい物でしょう。
SF好きは勿論、物語を読むのが好きな方は読む価値がある一冊です。

さぁて、
『屍者の帝国』も読んで来るとしますか。


85点。




ゾラン・ジフコヴィッチの不思議な物語
ゾラン・ジフコヴィッチ

見えるのは光だけ。
すりガラスの繊維を撚ったような、半透明の細い光の紐がかぞえきれないほど並んでいる。
その一本一本が未来なの。



余り日本では有名でない、ユーゴスラビアの鬼才ゾラン・ジフコヴィッチによる、3篇の奇妙なお話を載せた、ファンタジー短篇集。

有名でないのは、和訳されている本が全然無いからなのですが……
ちょっと、他の作品もどんどん邦訳しましょうよ! と言わずにはいられない、素敵な短篇集でした。

150ページのペーパーバックで、1ページあたりの文字数も多くなくさらっと読めますが、内容の充実度は折り紙付きです。


「ティーショップ」は、旅の途中に寄ったティーショップで、1つだけ値段も書かれていないメニュー「物語のお茶」を注文するお話。
「物語」の連なりが軽快で美しいです。
読後、ほろ酔いしたような不思議な陶酔を覚えました。

「火事」は、よりファンタジー要素とその魅力を強く兼ね揃えたお話。
作者のイメージ力がひしひしと伝わって来る、夢幻の愉しみを堪能できるエピソード。
「こんな体験してみたい」「こんな状況に置かれたらどうするだろう」そんな風に想像をさせてくれる作品は素敵です。

「換気口」は、事故によって未来がすりガラスを撚った紐のような形で視えるようになった自殺未遂の女性を描いた物語。
ファンタジーでありながらもミステリ色も強いお話になっています。


全体的に、ユーゴスラビア作家と言われて納得する、あまり味わい慣れていないテイストの物語群で新鮮でした。
本文の上部に絵が描かれているのも斬新。

幻想小説や不思議なお話が好きな方にはとてもお薦めです。


75点。

キングダム29巻

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話題の「聲の形」や他の作品の記事など、書きたい事が多過ぎて逆にまとまらないので、先ずは一つずつ……。


キングダム 29巻
原泰久

己が無双と悟った者が戦場で戦い何を思うか
「つまらぬ」だ
ではなぜ戦うか!?
本物の敵を求めて!?
違う!
"責務"だ

既巻紹介 1-9巻80点 10-20巻85点 21巻80点 22巻80点 23巻80点 24巻80点 25巻85点 26巻80点 27巻85点 28巻80点


今、バツグンに面白い漫画の一つ。
最も勢いのある漫画雑誌の中で、看板を守り続ける「キングダム」。
アニメの二期も、順当に決まり6月から放映だそうです。
16巻の所を早く映像で観てみたいですね。

表紙の媧燐様の装具が、モンスターハンターに出て来そうと思ったのはさておき。

空前の混迷を極める函谷関の戦い。

『ちはやふる』の末次由紀先生が、「数十万人規模の戦争シーンが凄すぎて、キングダムのアシスタントも十万人いるだろうと噂してる」と言っておられた程、卓抜した戦争シーン。
その描き込みと迫力は圧巻です。

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夥しい兵士の数により、この大戦争の規模をまざまざと見せつけられ、冒頭から一気に呑み込まれて行きます。
これはアシスタントが討ち死ぬレベルです(笑)


そして、「キングダム」の美点の一つである、魅力溢れる各軍の将達。

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この王翦VSオルドの山岳戦も、互いの知略とプライドがぶつかり合い熱いです。

そして、他の戦場ではヒョウ公・信VS慶舎、蒙ゴウ・桓騎・張唐VS呉鳳明・成恢、騰・蒙恬・王賁VS媧燐・項翼・白麗といったどれも見所溢れる戦いが繰り広げられている訳ですが……

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今巻では、何と言っても蒙武VS汗明!
この二人の猛将による最強の武将を決する戦いが熱い、熱すぎます!

三国志で言えば呂布に当たるであろう、互いに桁違いの武力を持つこの二人。
その最強VS最強による「どっちが強い?」を決する戦い。
血沸き肉踊らずにいられましょうか。


裏表紙にも描かれている

ドドンドドンドン

\汗明/


という応援が、ちょっと氷帝の応援を思い出したのは内緒です。


今後も楽しみ極まりありません。
ただ、敢えて言うとあまり史実を知らないほうが純粋に楽しめるかも、と思います。
『キングダム』が完結したらそれに付随した歴史を勉強し、その後再読すると丁度いい気がします。

気が早いですが、『キングダム』の後は原先生は何をお描きになるのでしょうね。


少年漫画の真髄である熱さと面白さのDNAを持った傑作、常にお薦めです。


80点。

なのこれ&BD7巻が届きました♪ 春の阿知賀編コレクション

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『咲-Saki-阿知賀編 episode of SideA』の最終回公開まであと17日程と迫った昨今、皆様如何お過ごしでしょうか。
私は一日千秋の思いと共に、このまま終わらない阿知賀編を焦がれる永遠の安寧の中にいたいという矛盾した感情に囚われながら過ごしております。

そんな中、

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なのコレと、13話収録のBD7巻という神器が到着!
世の人々が到着を礼賛する中、発送メールすらなかなか来ずに狂乱しそうになっていましたが、一度届いてしまえば大海よりも広い心で世界の全てを祝福できます。


早速、身を清めた後、開封の儀を執行。

BDは、今までの巻と比べるとプロ麻雀せんべいカードも入っておらず、残念。
野依プロのカードを待ち望んでいたのですが……

そして、なのこれ。
フィギュアを買うのは人生初ですが、こと松実玄さんに関する神器である限り、そこに何の躊躇いも躑躅も生じようがありません。

このコレクション、1BOXに8個入っており、全6種は必ずコンプリート出来るようになっています。
それ故、残る2つの中に松実玄がある事を切望していたのですが……


な、何と

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1箱目から松実玄さん!!!!

これぞ、信仰と愛の賜物……!
或いは、松実玄さんの神像を強く冀求する私の深遠なる思念が、箱を開けるまで松実玄さんかどうか解らない中身を松実玄さんが入っているという事象に収束させたのでしょうか。
この現象を、「ドラゴンロードのなのコレボックス」と呼んで(以下略)


続いて2箱目は、宥姉。
たった2箱で松実姉妹を揃えてしまったのが我ながら恐ろしいです。


そして3箱目

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松実玄さん!!!!!!!!!

これはもう、魂で結ばれていると言っても過言ではないですね。
多分、前世は弦之介と朧だったんでしょう。


最終的に、松実玄さんと穏乃が2個ずつ、他1つずつでした。

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とりあえず、全員並べてみました。
え、背景がおかしい? どこがでしょう?(真顔)
今回のこのなのコレだと、穏乃の造形が一番可愛く作られてると感じますね。
穏ファンにはとてもオススメ。
あとおねーちゃんのあわあわ顔も良いです。


そのおねーちゃん、

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前髪を外した状態だとギバードっぽい!
新しい発見でした。


折角なので

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顔をシフトしてみたり。
似合いますけど、やはり笑っていて欲しいので

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穏乃の猫口顔をレンタル。
このアイテムは五十嵐あぐり先生絵のテイストも若干載っているのが良いですね。

もっとあぐり先生絵のグッズを出して下さい!(魂の叫び)


という事で、今後発売のグッズもチェックしたらかなり一気に増えていました。



まず、2月28日発売の新しいマイクロファイバーハンドタオル


既にタオルは大量に持っておりますが……

何枚あっても困るものではないですからね(^-^)



28日には下敷きも発売。




そして、3月末発売予定のマグカップ
何故か商品名に「4人」と書かれているんですが……
辛うじて穏乃の袖が見えるので、おねーちゃんか灼ちゃんがいないという事に……
もう咲フェスの時のような仲間はずれはやめてあげて下さい!><

そういう意味ではこのグッズも同じですね。


5月末発売のぷちっ娘トレーディングメタルキーホルダー Vol.1,Vol.2

Vol.1が阿知賀編の阿知賀女子&千里山女子、Vol.2が本編の清澄&龍門渕となっているのですが……
何故か千里山の泉と龍門渕の純君が含まれておらず、それぞれシークレットが1種類という扱い。
シークレット的には泉と純くんっぽくもあるんですが……
特にこの二人をシークレットにする意味は無い、ですよねぇ……?

まぁ、松実玄さんが可愛いので全て不問にしておきますけど。



4月末にはスマートフォンクリーナー 松実玄も発売!
絵柄が見慣れない新しいデフォルメですね。
咲さん、衣、怜バージョンも出るようですよ。



また時を同じくして定規


シャーペンも登場。


これから毎月月末にグッズが販売されるというのは一つの救済です。


更に、3月6日には咲 -Saki- フェス 四角い宇宙でSquarePanic! のBD
3月20にはBD8巻
3月27日にはキャラソンベストアルバムも発売。

まだまだ終らないコンテンツですね!(^-^)


尚、水着姿のお風呂ポスターや松実姉妹枕カバーなども発売されるようですが、私はあの絵は認めておりません(おねーちゃんがあんな格好になったら死んでしまいます!)ので、スルーします。

もっと松実玄さんの清楚さを全面に押し出したグッズを出して欲しいと切に願います。

One Night Re;Birth 伊藤賢治さんスクエニライブ

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行って参りました、伊藤賢治さんことイトケンさんのライブ!

3月3日まではニコ生のタイムシフトもございますので、行けなかった方は是非そちらで。


photo:02

会場

の正面の、余りに神々しい三井住友銀行です(笑)

本当の会場は、日本橋の三井ホール。
音響が良い事に定評のあるホールですね。


入場~開演の待機が1時間以上あって若干大変でしたが……

photo:01




入場時に小林智美さんの美麗な絵のポストカードを頂けました(^-^)

ソーシャルゲーム用の描き下ろしな訳ですが……
ソーシャルでなくRPGの新作、ロマサガ4とかロマサガ4とかをやりたいですね!


他にも、小林智美さんの美麗なサガシリーズの原画が展示されておりました。
眼福極まりなかったです。





photo:03

会場には、最近ではジョジョの主題歌でも有名な作曲家の田中公平さんのお花も。



セットリストは以下の様な感じ。

杉田智和さんによる注意事項アナウンス
ロマサガ1~3バトル1メドレー
四魔貴族メドレー
MC
玄城バトル
術戦車バトル
マナの嬰児
Beliebving My Justice
バトル#5
スペシャルゲスト河津秋敏さん登場
ポドールイ
ALONE
戦闘2(聖剣伝説1)
七英雄バトル(ハードロックVer)
ラストバトル(ロマンシングサガ2)
ラストバトル(ロマンシングサガ3)
決戦!サルーイン
アンコール
バトル2(ロマンシングサガ3)
邪聖の旋律
シークレットゲスト岸川恭子さん登場
愚者の舞
熱情の律動

改めて見て、とんでもないセトリですね(笑)
事前に聴きたいなーと思った殆どの曲が聴けました。

というか、初っ端からバトル1メドレーはまだしも、二曲目から四魔貴族メドレーとか!
熱い! 熱くて死ぬぜ!!(ゲーム違う)という感じで、ガンガンに頭を振っていました。
それでもAsrielのライブの時に比べれば、運動量は1/10位なので今回は軽い運動程度の感じで済みましたが(笑)

最初の杉田智和さんのアナウンスも、最初は普通でしたが
「親愛なるロアーヌの諸君」
「いつもは \アリだー!/ でも今日は\無しだー!/ でお願いします」
といった、ニヤリと出来る仕込みがあって良かったです。

玄城や術戦車も是非とも聴きたいと思っていたので嬉しかったですね。

途中でちょくちょくイトケンさんの長めのMCも入りつつ、カミ様こと上倉さんとのgdgdな絡みもありつつ。

散々ネタとして天丼されていた「下水道」が、少しは弾かれましたが、結局演られなかった事だけが残念ですね(笑)
他にも、即興でキーボードでトレードの曲などチラホラやって下さったのが良かったです。

で、次回作のアルバムに収録予定というバトル#5!
この曲は本当に大好きで是非聴きたいと思っていたので、テンション最高潮で最後のラストバトルメドレーの所と同じくらい個人的に盛り上がり、頭もナイアガラバスターな勢いで振っていました。

又、スペシャルゲストの河津さんが登場しての対談は、かなり笑いどころが多く楽しめました。
「皆イトケンのバトル曲好きだけど、あんな辛い思い出しかないだろう曲、よく好きだね」
「フォルネウスのメイルシュトローム、全体攻撃に即死がついてるってバカなの? 即死を防ぐために魚鱗を装備したら普通にダメージ喰らって死んだし」

イトケン「何か、今後のサガシリーズの展望についてもし話せる事があれば」
河津「ないです(キッパリ」
これはあって欲しかったのですけど……(苦笑)


ニューアルバムのタイトルをニコ生アンケートする一幕も。
ニコ生も会場も圧倒的な支持だった「Re:birth2閃(仮称)」、楽しみです。
個人的には針の城、アセルス・エミリア・ブルーのラストバトル辺り希望です。

バイオリニストの土屋玲子さんも途中から何曲か参加され、素晴らしい演奏を見せて下さいました。
サガの曲にバイオリンの音色の映えること映えること。
最後のアドリブも格好良かったです。

そして、まさかまさかの岸川恭子さん登場!
「熱情」が生で聴けるとは!
その迫力は圧巻で、最後に何を持ってくるのだろうと思っていましたが、最高の締めでした!


サガシリーズを再度プレイしたくなること頻りでしたね。


……しかし、帰りに桜庭統さんの新曲が含まれる新作ソーシャルゲーの存在を知ってしまったので、先ずはそちらをプレイします(笑)

何にせよ、最高の一日です。


ベアゲルター1巻

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ベアゲルター
沙村 広明

アンタらちょっと心臓の音うるさい!
止めろっ!



20年近くの長きにわたる連載が終了し、完結した無限の住人30巻と同時発売となった、沙村広明先生の最新作。
ハルシオン・ランチがツボに嵌って90点という高得点を付けた沙村広明先生の新作という事で、大変に期待しておりました。


この作品は、後書きで沙村広明先生自身が語っているように「(大好きなのに)チャイナドレスのアクション漫画を一度も書いてない」という所から立脚している作品です。

3人の女性が中心となり、エロス・クライム・バイオレンスをこれでもかと盛り込んだ、裏社会系のノワールサスペンス。
公称は「叛逆ずべ公アクション」(笑)
なるほど、的確だと思います。


photo:02

序盤は、何が起こっているのか解りませんが、とりあえず何かが起こっている事が解るエピソードの連続。
正体不明の"何か"に、緊張感を煽られます。

そして、幾つかのお話がパズルのピースのように散りばめられ、やがてそれらが一枚絵となって姿を現して来ます。

photo:01




パズルの鍵となり、人々の運命を繋ぐのは、島根県の沖合にある「石婚島」。

その島に行くことを勧められる娼婦、
その島で取引を行うヤクザ、
その島出身の女……

様々な人物たちの思惑が絡み合い、一筋縄でないサスペンス展開。
これが堪らなく面白く、続きを気にさせてくれます。




photo:03

勿論、沙村先生ですから、派手なバトルアクションシーンも見応え抜群。
格好良い女性・女同士の激しい戦いが好きな人には是非ともオススメしたいですね。

読むと、好きな物をたっぷり詰め込んでいるなぁという感じがズンズン伝わって来て思わず相好を崩してしまいます。

引きも気になる所で終わっており、今後も間違いなく見逃せない作品です。
刊行ペースはそんなに早くないと思うので焦らされそうですが……
楽しみに待ちたいです。


75点。
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