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Channel: マンガソムリエ兎来栄寿のブログ 先刻の箚記(さっきのさっき)
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池袋 うめもと 味噌つけ麺

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池袋の、以前は麦田があった場所に居抜きで、名店「うめもと」がやってきました!

元々、雑司が谷で営業しており、南池袋を経てこちらに来たそうです。

ご主人の体調が芳しくなかったので暫く休んでいようとしていた所らしいですが……
店を構えたら営業せずにはいられなかったという職人気質。




photo:02


地球盛(450g)や銀河盛(600g)といった壮大な名前と量を誇るつけ麺が全て700円均一という事で有名です。

かつて通った私も知らない3750gのクレーター盛というお化けまで誕生していました(笑)

私は600gの銀河盛で限界でした。

ちなみに、10玉以上は食べ残すと罰金の対象になりますので、無謀なチャレンジにご注意。


photo:03



歯切れが良く香りと風味の良い麺。

そして、胡麻がたっぷり浮かんだ甘い風味の味噌ダレに郷愁を感じました。

麺が多いのでどうしてもスープが冷めて来てしまうのと、デフォルトだと殆ど具が無いのがアレですが……

一杯食べたい方には是非オススメです!


ご馳走様でした♪( ´▽`)


80点。

マンガ大賞2013ノミネート作品発表!

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本日、「マンガ大賞2013」のノミネート作品が発表となりました。


2012年1月1日~12月31日の間に単行本が発売された作品の中で、最大巻数が8巻までの物が選考対象となっております。
それ故、基本的にフレッシュな顔ぶれになりますが、多少連載歴が長くともノミネートしてくる作品もあるのが見所。

今回ノミネートされた全11作品を見て行きたいと思います。




「海街diary」

吉田秋生


既巻紹介 4巻85点 5巻85点


今回ノミネートされた作品の中で、一番オススメしたい作品はこちらです。

ずっと推している作品であり、私の「俺マン2012」に入れようか最後まで悩んだ作品。

もっと私しか入れないであろう作品に特化しよう、と投票しなかったのですが……

案の定私が入れなくても37位にランクインしました。

本当に、毎巻毎巻心を震わされ、目頭を熱くさせられます。

少女漫画のカテゴリーですが男性でも読み易い絵ですし、子供から老人まで様々な視点で読める物語ですので、年齢性別問わずお薦めです。



「暗殺教室」

松井優征


既巻紹介 1巻75点


これは鉄板ですね。

日本一の漫画雑誌「週刊少年ジャンプ」の新しい看板として、集英社が全力を上げて売り出しに来ている作品。

集英社のビルにも殺先生がペイントされ、2巻で累計160万部超えという驚異的な売上。

集計期間さえ合っていれば、他の漫画賞でも上位に来た事でしょう。

個人的にも、今のジャンプの中では「ハイキュー!!」と並んで特に好きです。

「漫画はキャラクターである」という一つの真理を体現している作品でもあります。



「乙嫁語り」

森薫


既巻紹介  1-2巻70点 3巻75点


最近5巻も発売された、大人気作品。

掲載誌「Fellows!」から名前と刊行期間を変え、新創刊となる雑誌「ハルタ」との連動購入特典でセル画が貰えるフェアも話題となっております。

森薫先生のフェチ感溢れる細やかな描写にハマれる方には、堪らない作品です。




「俺物語!!」

原作:河原和音、作画:アルコ


既巻紹介 1巻75点 2巻75点


「コミックナタリー秋100」1位、「このマンガがすごい!2013オンナ編」1位、「俺マン2012」1位、「オトナファミ コレ読んで漫画ランキング」5位など、各所で絶大な評価を受ける作品。

最早説明不要ですね。

男性でも面白おかしくハートフルに読める少女漫画です。




「山賊ダイアリー」

岡本健太郎


エッセー系の漫画でここに入れるのは素敵な事ですね。

現代に於いて狩りや猟を行い山暮らしの生活をする様子を作者の実体験に基いて描いた作品。

普通に都会で生きていると知り得ない事が多く、知識欲が刺激されます。

「俺マン2012」50位、「このマンガがすごい!2013オトコ編」34位。

50位などと聞くと、そんなに大した事がないように思えてしまいそうですが、年間に出版される1万冊以上の中の上位0.5%以内ですから、十分に面白いのです。

記事は未執筆ですが、1、2巻とも75点程の評価です。





「テラフォーマーズ」

貴家悠原作、橘賢一作画


既巻紹介 1-2巻80点 3巻80点


はい、来ました「このマンガがすごい!2013オトコ編」1位、「テラフォーマーズ」!

「オトナファミ コレ読んで漫画ランキング」17位、「俺マン2012」31位などにもランクイン。

「キングダム」と同じように週刊少年ジャンプに載っていても良いくらい純粋な少年漫画的面白さを備えつつ、SF設定による味付けもなされている作品。

「テラフォームする者」という意味に加え、「TERRA FOR MARS」という意味も持つタイトルなのだと最近気付きました。




「ハイスコアガール」押切蓮介

既巻紹介 1巻70点 2巻75点 3巻80点


「すごい!2013オトコ編」2位も来ました!

、「テレビブロスコミックアワード2012」大賞、「俺マン2012」3位、「THE BEST MANGA 2013 このマンガを読め!」15位、「オトナファミ コレ読んで漫画ランキング」15位などなど、こちらも各所で圧倒的に支持を集める作品。

正直、こんなコアなゲームネタ満載の漫画がよくここまで大人気になっているなぁ、と思います。

それというのも、単なるゲーム好きマンガを超えてそこらの少女漫画が及びもつかないキュンキュンを齎してくれるラブコメとして押切先生が昇華させているからなのですが。

90年台のゲームセンターに通った経験のある人、オールドゲーマーには是非とも読んで欲しい作品。




「人間仮免中」

卯月妙子


AV女優やストリッパーなどを経験した卯月妙子さんによる10年ぶりの、人生の実録マンガ。

「すごい!2013オトコ編」3位、「読め!」2位、「これ読んで」4位、「俺マン2012」17位と、畑の違う各ランキングでも軒並み上位に入っている大注目作。

ただ、安易に面白いよと薦められる作品ではありません。

「すごい」という意味なら、2012年でも屈指である事に疑いようのない作品。

統合失調症の件などは、身につまされる所もあって冷静に論じることができません。

エンターテインメントではなく、世界の様相を学ぶ手掛かり。





「ぼくらのフンカ祭」

真造圭伍


「読め!」1位を始め、「すごい!2013オトコ編」11位、これ読んで」20位、「俺マン2012」37位と、これもかなり評価の高い作品ですね。

「森山中教習所」に続き、ランキング上位に入ってくる真造先生の実力は確かな物。

個人的には勢いがあるのは解りつつもそこまで刺さらない感じですが、青春や友情といったキーワードに惹かれる方はどうぞ。





「ボールルームへようこそ」

竹内友


既巻紹介 1巻75点 2巻75点 3巻80点


私も2012年スタート作としては一押しのこのダンス漫画。

「すごい!2013オトコ編」9位、「これ読んで」16位、「俺マン2012」10位と世間でも注目が集まっています。

3巻は読んでいて昂ぶりによる震えを覚えました。

曽田正人先生作品のような汗の乱れ飛ぶスポ根マンガ好きな方、そして競技ダンス漫画に興味のある方にお薦めです。






「九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子」

九井諒子


紹介記事 80点


「これ読んで」19位、「俺マン2012」7位。

商業デビュー作となる「竜の学校は山の上」(80点 )に続く、二作目の短篇集として期待された今作。

間違いなく面白かったです。

様々な読み味が綴られており、満足度の高い1冊。

ファンタジー好きの方には是非ともチェックしておいて頂きたい作家さんです。





今回は特に他のランキングでも上位に来ていた作品が多く、正直な所、目新しさはなくなったな~という感じですね。

出来れば、もっと下位のランキングも見てみたい!と思いました。


この中だったら「暗殺教室」か「俺物語!」が大賞になりそうかな、と予想します。

大賞発表は3月下旬。

何だかんだいっても、こういう催しは楽しみにしてしまいますね。

廃墟少女

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少々、スマホもPCも私自身も死んでおりました。
なるべく毎日更新したいと思いつつ今年も3日目で夢破れつつ……
4日も更新できなかったのは初めてでしょうか。

新調したPCからだとアメブロとの相性が悪く、リンクが死んでる部分もありますが……
またぼちぼち再開して行きますので、どうぞ宜しくお願いします。





廃墟少女

尚月地

きっと上手くいかない事があるのは
自分だけではない
色々な人たちが他人の思いもかけない事で
悩み苦しみながらも
必死に生きている



「艶漢」(
1巻70点)6巻と同時発売となる、尚月地先生の幻想的短篇集。

4つの物話が収録されており、その全てに多寡はあれど廃墟が描かれています。

個人的には廃墟が大好きなので、タイトルからしてとても惹かれていました。
そして、この表紙、更に表紙を捲った時に現れる中表紙の美麗さ!





photo:01

廃墟、そして少女というフェチ全開のモチーフが素敵で、掻き立てられます。

ただ、後書きによれば担当編集者さんは廃墟の魅力が解らず、熱弁する尚先生に対して引き気味だったらしいですが……

もし私が担当だったら、嬉々として喜び勇んで賛同し、その日の内に取材と称して軍艦島でもクラーコでも飛んで行く勢いです。

所々崩れ落ちて機能を損なった建造物。
錆付き、苔生した無器物の残骸。
曾て人の営みがあった場所で感じられる時流と静謐。
そんな滅びの象徴たる人工物とは対照的に広がる大いなる蒼穹や自然。
デストルドーを喚起され、ある種の厳かさ・聖性すらも感じられる空間。
それが廃墟です。
様々な本能や感覚に訴えかける魅力を持った存在だと個人的には思っております。

「滅びこそ 我が喜び。 死にゆく者こそ 美しい」
と大魔王ゾーマも云っていましたが、この感覚は日本人的には部分的には理解できなくもないのではと思います。
諸行無常、栄枯盛衰の理を解し、桜を愛する民族なのですから。

そして、廃墟同様、少女という存在も刹那に煌めく魅力を湛えたものです。
セーラー服という記号も、それを強調する存在であるように思えます。
そういう意味では、この二つのモチーフの組み合わせはとてもしっくりきました(「廃墟美少年」でも勿論OKだと思います)。



とまあ、そんな廃墟語りはそこそこにしておき、本編の解説に移りましょう。




先ずは上記の中表紙でも描かれる表題作「廃墟少女」。

photo:02

3年前に工場廃墟に監禁された女学生・峠風子。
幼馴染の同級生の百花によって、再び同じ場所に囚われてしまう――

少女が少女を廃墟に拘束する、というシチュエーションでご飯が食べられます。
風子の失われた記憶や、百花の動機を巡る物語展開も、練ってあって面白く読めました。
ラストの流れも綺麗です。
そして、背景の廃墟描写が素敵ですね。
描いていて楽しかったそうですが、眺めていても楽しかったです。



次に「音楽が見える男」。

photo:03

ある事件で音楽が映像化されて見えるようになり、その結果上手く演奏ができなくなってしまい解雇を言い渡された音楽学校の老教諭のお話。

尚先生の画力で描かれる音楽の視覚化表現が、美しいものもおぞましいものも圧巻です。
漫画のコマもアーティスティックに描かれていて、目を愉しませられます。
そして、画力だけでなく心理描写の巧さも感じました。
エピソードの重ね方や、普遍的な感情の捉え方が良いです。
「艶漢」はシリアスもありつつ、割とハチャメチャなギャグテイストが強い作品ですが、改めてこういったタイプの純粋なシリアスストーリーもとても気持ち良く読めるなぁ、と。
少女漫画でありながら老人が主人公というのがネックだったようですが、そんな些事は全く気にならない良作です。



そして、三作目の「箪笥少女」。
photo:04

同じ顔と声を持っていた兄が死んで一週間。
主人公の前には、自分を兄だと勘違いした少女が現れた。
その少女は兄の患者で、箪笥の中でしか安心できない疾患を抱えていた――

「とにかく箪笥の引き出しに入った女の子が描きたかった」という願望から立脚したこのお話。
先生は本当に酷いフェチをお持ちですね(褒め言葉)。
もう、画面の端々から「好きだから描きましたオーラ」が迸っていて、その潔さに心地良さを覚えました。
兄の死を巡るサスペンス、そして黒髪ロングストレートの私得ヒロイン巣守こづえさんの恋を巡るラブストーリーの両輪で楽しめる物語。
こちらもとても良かったです。
廃墟描写は勿論、小物や人形、服装にもツボにハマる点があり、昂揚しながら読んでいました。
こづえさんが、時々ハッとするようなセリフを言うのも良いです。



「帽子の上の丘」
photo:05

一度入ったが最後、二度と抜け出せない「無限廃墟」に迷い込んでしまった帽子職人のお話。

四篇中で唯一、ギャグテイストが強く盛り込まれた物語で「艶漢」っぽさを感じます。
とはいえメインの筋はシリアスで、こちらもまたいい話です。
クライマックスシーンの大ゴマの美麗さは素晴らしいの一言。
無限廃墟の精緻な描写にも恍惚感を覚えます。
しかし、貴族のために作るド派手な帽子の数々は、現代の「ペガサス昇天MIX盛り」やレディ・ガガ様のファッションなどを彷彿とさせますね。


そんな四篇+後書き漫画に、作者自身の作品解説も入ったこの本。

廃墟好きの方には勿論、ファンタジー物語が好きな方にもお薦めです。
絵に惹かれる、という理由で買ってもきっと損はしないでしょう。


80点。

羊の木3巻 SCATTER あなたがここにいてほしい4巻

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羊の木3巻
原作:いがらしみきお 漫画:山上たつひこ

誰でも犯罪者になる可能性はあります

既巻紹介 
1巻85点 2巻80点


文化庁メディア芸術祭マンガ部門で審査委員会推薦作に挙げられた今作。
私も、この漫画が素敵2012上半期において3位に挙げている作品です。

凶悪事件の出所者受け入れと過疎。
その二つの問題を同時に解決するべく、港町・魚深市は住民に説明する事もなく極秘裏に元受刑者の受け入れを行うプロジェクトのモデルケースに選ばれた。

殺人犯・強姦魔・詐欺師・薬物中毒者など、様々な犯罪者達11人がお互いにも正体を隠したまま個別に街に溶け込んで行った。

様々な騒動があった奇祭・のろろ祭を経て、街にはまた不穏な空気が流れ始める――

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引力が働いているように、次々と繋がり集う元受刑者達。
まるでスタンド使い同士の如く。
物語的な要請も勿論あるでしょうけど、実際にそういった人同士が対面したら似たような空気を感じ取れそうな気もしますよね。
ましてや、過疎の街の中ですし。
何にせよ、極秘プロジェクトの内容を知る魚深市の3人は気が休まる暇もありません。


そして、法務省の官僚三田村から告げられる衝撃の事実。
元受刑者11人の中に1人、両親を細切れにし、弟を四ツ裂きにした者がいる、と。

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粗暴な者、一見温厚な者、陰険な者、何を考えているのか解らない者……
一体誰がそんな残虐極まりない行為を行ったのか……
疑心が際限のない不安を呼び起こします。

「皮膚感覚の鬩ぎ合い」は今巻でも健在。
同じ人間でありながらも全く違う、絶望的に理解し合えない精神性の隔たりは純粋な恐怖。
最も恐ろしいのは人間である、という命題を雄弁に語る物語です。


今回、少し言及された死刑制度の是非と、その代替案。

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こういったサイドテーマももっと深く語ってくれても面白いし、語れる作品だと思います。

大野克美や栗本清美、武満に頭陀袋の動きなど、様々な展開に目が話せません。

巻末には、山上たつひこ先生の書き下ろし小説、そして、いがらしみきお先生のまさかの四コマ漫画も収録。

小説の方は、本編と同じく与り知らぬ所で静かに静かに巨大に膨れ上がった狂気による恐怖を感じる内容でした。
四コマはブラックですが、笑いの要素があって張り詰めた緊張感を少し緩めてくれます。

登場人物が多い群像劇なので、最初に人物紹介ページがあるのは親切で良いですね。
頭陀袋の下の名前、穴助って地味に酷いなぁ(笑)

今後共、見逃すことの出来ない秀作。
お薦めです。


80点。





SCATTER あなたがここにいてほしい 4巻
新井英樹

「お前がやれ」って
じゃ「わかった」って
だから俺は人類守るのに必死なんだよ


既巻紹介 
1巻80点 2巻80点 3巻80点

今月30日には「キーチVS」10巻も控えているので、新井英樹先生の大ファンとしては嬉しい限りであります。

あらすじを説明するのにも苦慮するこの「SCATTER」。

3巻までの所では、「何だかよくわからないけど、すごい事になりそうな漫画」でした。
1巻の一番最初で壮大な予感を醸しつつも、ずっとミクロな話をやって来た「SCATTER」。
しかし、遂に今回の4巻でその大まかな筋道が見えました。

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伝説のAV男優・遊佐の元で暮らし、働くことになった主人公の久保ヒカル。
遊佐に紹介された女性エリさんは、かつて絶対に父親がいない筈なのに授かった謎の子供がいた――

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エリさんの息子たちの正体、そして目的とは――

やはり新井英樹先生は凄い!と、思わず膝を打つような展開になりました。
これで、改めて1巻から読み直しても、不明だった部分も含め全てが繋がります。

広げた風呂敷を畳むのは難しそうですけど、ここから「ザ・ワールド・イズ・マイン」以上の壮大な物語を見せて下さる事を期待したいです。

非常にお薦めし難い尖った作品ですが、下ネタ満載でも全然平気で、面白いスケールの大きなお話の漫画が読みたい方は要注目です。


80点。

ハクメイとミコチ 1巻

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樫木祐人

「乙嫁語り」付属の試し読みペーパーで気になっている人も散見される「ハクメイとミコチ」。

星空めてお先生にも「
満足。衣食住、呑む打つ買う!(買うはどうかしらん) 物語とはまた別にじわりと涙ぐむ。 こういう作品、もうバンデシネ以外ではお目にかかれないと、いつのまにか諦観してたなと気づかされた」と激賞されていたこの作品。


photo:02

森の奥に住む、二人の小人。
修理屋を営むヤンチャなハクメイと、料理が得意で歌声にファンがいるミコチ。
彼らの仕事から食事といった日常風景から、ちょっとした冒険までを描いたファンタジーです。


photo:01

その内容は、表紙・裏表紙・帯を見て想像される雰囲気と大きく違う事は無いと思います。
童話調の温かみのある装丁が良いですね。
カバーを外してもまた素敵です。


photo:03

兎に角、作中に数多登場する食べ物が美味しそう!
ミコチ特製の黒豆クッキーや押し寿司・炙り寿司、そして上記のサンドイッチ。
読んでいてお腹が空きます。
異世界ファンタジーの食事シーンは、共感を生む為の大事なシーン。
そこでしっかり「美味しそう」「食べてみたい」と思わせられるのは良い作品です。


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宮沢賢治的な世界観を感じるエピソードも。
穏やかな世界の中で展開されるハートフルなお話に和みます。
背景や小物が細かく描き込まれており、世界に自然と浸れます。


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しかし、意外と二人ともお酒も飲めばギャンブルにも興じるという事で、見た目に反して大人びた感じではあります。
子供のように純真なハクメイ視点、そして少し達観して落ち着いたミコチ視点、両方併せて進行する感じです。

各話の合間のコラムによる世界観の補完も良いオマケですね。

個人的にはもっと固有名詞も作り込んでファンタジックなアイテムや動植物を取り入れて、異世界感満載にして没入感を深めてくれても良いなあと思いましたけど。
少し、東方の日常系二次創作に近い雰囲気も感じました。


好きな人はとても大好きになって嵌れるであろう、素敵な箱庭的ほのぼのファンタジーです。

後書き漫画にはこなれている感が漂っていますが、初単行本という事で今後も注目ですね。

続きは今度新創刊する「ハルタ」にて読めるようですので、気になる方は併せてチェックです。


70点。





レッドドラゴン 第四夜第一幕~第五幕

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「だけど今、この島の人々は――『生きている』って言えるのかな?

最高の布陣が織りなす、最高のフィクション。世界の覇権を懸けて争う巨大国家・ドナティアと黄爛との狭間に位置する謎めいた島国、ニル・カムイ。その守護神とも言える〈赤の竜〉に突如生じた異変が招く、さまざまな策略― 。救うのか。滅ぼすのか。それとも、“革命”か― 。虚淵玄×奈須きのこ×紅玉いづき×しまどりる×成田良悟。五人の英雄が織りなす、最高の冒険譚! 


以前の感想はこちら。

第一夜 第一幕~第五幕 第六幕~第七幕 第八幕~第九幕 第十~十六幕


第二夜 第一幕~第五幕 第六幕~第十幕 第十一幕~十四幕


第三夜 第一幕~第十幕 第十一幕~十四幕

最高に豪華な物語、「レッドドラゴン」。
波乱の第三夜を経て第四夜が幕を開けました。


酷烈な世界の中で、各々が持つ信条や魂の下で絡み合う様々な意志や策謀。
そして作られる時代の流れの重厚なスケールを堪能できるセッションです。


先ずは

婁 (淡々と)ひどい悪人ですな。
スアロー ぐぐぐ……!

と、さらっと自分を棚に上げた物言いをする婁と、それに掛け合うスアローにまず一笑い。
スアローのぐぬぬ…顔が頭のなかに浮かびました。

ウルリーカさんはつくづく勿体無いですなぁ。
しかし、ちゃんと水着画像だけは完備されていて全国のウルリーカファンも溜飲を下げた事でしょう。

そして、今回は何と言ってもまさかのあのキャラがあんな風に……!
突然の事に思わず「えっ」となりました。

恐ろしい緊張感を持ったまま進む第四夜。

自らが見た体験を元に祝ブキと語る忌ブキのシーンも好きです。
白叡の事は正直、私も「誰だったっけ」となりました(笑)

成田良悟さんの知慧を感じさせ、GMに悩ましさを覚えさせる駆け引きも面白く。

「成長しない」方に望みを託すスアローにダメだこりゃとなりつつ、シリアスで綺麗な言の葉に酔い。
恐らくあの突然絵付きで現れたキャラは、成田さんも予想していますがそういう事ですよね。


あのキャラの登場シーンでは

『蒼天航路』の呂布とか張遼みたい(笑)。
○○来々! ○○来々!
という比喩に、シリアスなのに大笑い。


そして第五夜、第五夜がもう……!
燃えますね。
やはり非常に面白いです。
この展開は、きっとアレやアレがああで、それによる様々な業やら悲劇的運命が関わっているのだろうなぁ、と邪推。

崎本さんの曲も、聞けば聞くほど味わい深さが増してきています。

次回を楽しみにしない訳がない狡い引き。
ああ、早く読みたいものです。

劇場版 HUNTER×HUNTER ~緋色の幻影~ &コミックス0巻

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「劇場版HUNTER×HUNTER ~緋色の幻影~ 」。

ジャンプ描き下ろしの番外編と、冨樫義博先生のインタビューも載っている第0巻欲しさに観に行きました。

映画本編は惨憺たる評価を数多く聞いており、某所では週間興収は初週一位なのにレビューが5点満点中1点台という驚異的な低得点をマークしておりました。

日テレの特番も観て、一ハンターファンとして楽しみにしていたのですが……





ああ~……(頭を抱える)


どうしてでしょうね……
どうしてこうなってしまったのでしょうか……

原作へのリスペクトは殆ど感じられず、脚本の都合により動かされるキャラ達を観るのは辛かったです。

開始5分で諦めが付きました。
そして、もうこれは原作とは全く別物の二次創作として考えるべきなのだなと悟りました。

原作を愛している人程、辛く悲しい思いをしそうです。
少しは楽しめる部分もあるのですが、それを台無しにして余りある脚本と設定。

子供向けというにも過不足のある内容です。

又、オモカゲ役の藤木直人さんはまだしも、パイロ役の川島海荷さんの声は致命的に浮いてましたね。

それに比べるとゲストキャラのレツを演じた平野綾さんは本職の上手さが光っておりました。
ハルヒと同じ声である事を感じさせない演技でした。
ただ、そもそもレツというキャラ自体が……という悲しみ。


ちなみに、貰った0巻の冨樫義博先生インタビューには物凄く衝撃的な事が書かれておりました。

0巻の描き下ろし漫画自体は流石のクオリティですし、インタビューも面白いですし、ファンであれば0巻を貰いに行く為と割り切って足を運ぶのもアリでしょう。

或いは、面白い物を楽しむ為につまらない物も味わっておく、そんな心構えで。


20点。

以下はネタバレ雑感。
主に100を超える突っ込み所について。


























最初の子供向け演出から早速これじゃない感。
ワンピースやナルトなら兎も角……
ジャンプ漫画とはいえ、蟻編を引き合いに出すまでもなくかなりブラックな描写もあるハンターを子供向けとして扱うのは無理がありますよね。
と思っていたら冒頭から暗殺シーン&子供達虐殺ですし、後半には剥き出しの転がった目玉なども出て来ますし。
親子で観に来たとしたら、ちょっと嫌悪感を催すかもしれません。

そして、ゴンとキルアの最初の会話内容からもう薄ら寒さが。
余りにも不自然かつ意味の無いただの掛け合い。
最後の添乗員さんのリアクション含めて、この時点でもう駄目だと感じてしました。
大体、クラピカが窮状にあるから向かっているというのに暢気過ぎますよね……?

そして、この話は一体いつの事なのか。
状況的にはヨークシンオークション編とGI編の間っぽいですが、話の流れを考えるとこんな事をやっているタイミングはない筈。

タクシーの中での会話も盗み聞きされたらまずいであろう内容なのに、無警戒過ぎるような。

クラピカは何でオモカゲの場所が突然幻視できたんでしょうか。

ゴンとキルアが二手に分かれて手掛かりの場所を捜索している時、キルアは既にそれらしき地形を発見していたのに何故黙っていたのか?
レツを警戒してるなら、その場で強引にでも分かれればいいだけの事。

破岩弾て……ウボォーはいつから操作系になったのか。
そして原作でやっていたように自分の腕力で投げた方が強そうに思えるのですが。

まさかの陰獣&パクノダ登場はテンション上がりましたが、能力を使う間もなく一瞬で退場して肩透かし。

そういえばレツが人形を預ける件も要らなかったような。

オモカゲは相手の心から人形を作れるなら、イルミだけでなくネテロ会長やシルバやゼノの人形も作れば良かったのでは?
若くないと嫌なのかな?(笑)
それにしても、アルカやカルト、ヒソカ辺りの人形は作成可能ですよね……。

そもそも、オモカゲの能力が便利かつ万能過ぎます。
流石に人形は本体より弱体化してるとはいえ、少なくともウボォーギンのビッグインパクトの威力を再現できる位ではあるようで。
それでいて体数にも特に制限が無さそう。
明らかにオーバースペックです。
そして、念能力はおろかベンズナイフまで実体化して、人形がやられた後も実体を保ったまだったんですけど。
完全にコルトピ涙目ですよ。
コピー系の能力はバランスを取るのにもっと気を遣われるべきですね。
それこそ団長の盗賊の極意のように。
もし、団長にこの能力が盗まれていたら実に厄介そうですね(笑)

更に、話が終わってもその発動条件が判然としないのもどうなのでしょう。
これだけの能力であれば相当厳しい誓約と制約がある筈ですし、それをかい潜ろうとする所に駆け引き、バトルの面白味が生まれる筈です。
冨樫義博先生ならば、絶対にそのようにした筈。
オモカゲ自身の過去も描く事でその深みを増すとかしていたかもしれません。

人形フェイタンは巻き添えがあるにしろ、人形団長はもっと強力な能力を所持していそうなのにほぼナイフによる白兵戦というのが何とも。

ゴンがイルミの杭を抜けないのは最早ギャグ。

何故、最後に旅団はクラピカを拉致監禁せず去って行ってしまうのか?
旅団ならクラピカを自殺させないようにしつつ拘束する程度造作もないでしょうに。
シャルナークで操作しても良いですし。

最後のゆずの爽やかな歌も、単体としてはいい歌かもしれませんが全く作品内容には合っておりませんでした。

取って付けたように出て来たビスケやカイト、ジンはまあファンサービスとしては。

次回作もあるというのが戦慄です。
次こそは是非もっとしっかりした物を作って欲しいのですが……
今の監督と脚本のままでは難しそうです。

勿論、原作とて完璧でない部分や矛盾する点はありますが、それにしても今作に比べればとても綿密に練り込んであるなぁと改めて思わされました。


ある意味、ここまで酷いと逆にネタとしては申し分ないので、実況しながら観ると楽しめるかもしれません。

キーチVS 10巻

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キーチVS 10巻

新井英樹

デモやっても選挙やっても
国側がビクともしなかったら、
国民が抵抗する手段って
暴力(テロ)以外にあるのか?


裏表紙でも為されているこの問い掛けが、とてつもなく重いです。

既巻紹介
 6巻90点  7巻85点 8巻85点 9巻90点


ブログを始めてから90点台を付けたのは、「預言者ピッピ」と「キーチVS」だけだったと思います。
純粋に面白い「ピッピ」に対し、この「キーチ」は一人でも多くの人に読まれて欲しい、という心からの願いが込められています。

不正・不条理・不正義が蔓延りながらも、人々はそれを顧みない、あるいは無力さを噛み締めながら見てみぬフリを決め込む現代社会。
個人の力ではどうしようもないという絶対的な諦観。
そんな状況下で、たった一人で敢然と「NO」を突き付け立ち向かう男・
染谷輝一を描く、魂が込もった憂国の物語。
前作「キーチ!!」(全9巻)の続きとなるのがこの「キーチVS」です。


怒涛の展開の中で遂に10巻に達した今巻を読み始めると、唐突に「最終章」の文字が。
確かに、前巻に於いて相当の物語のピークに至った感じがありました。


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総理大臣「如き」では、アメリカ様には異議申立てすら許されない、隷属した犬のような日本。

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そんな奴隷的支配下に置かれる状況を、市井の学生によってまさかの「家畜人ヤプー」で例示される(余談ですが、「家畜人ヤプー」も、沼正三先生の小説版、石ノ森章太郎先生及び江川達也先生の漫画版何れでも良いので一度は触れてみて欲しい作品であります。お薦めはし難いですが)。

前巻で暴露された狂牛病の原因がアメリカ産牛肉にあった、という話の流れも汲んでの展開。

折しも、米国産牛肉輸入の規制緩和が行われる、という
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2013013100585

電通を模したと思われる会社の代表が、その報道を揉み消そうと権力者やマスコミに働き掛ける姿に吐き気を催す醜さを覚えます。

更に、今巻では醜態を晒しながら

夢や理想じゃなく
日本の政治家は
「どうすればアメリカが喜ぶか」
が重要なんですよぉぉ!!


と喚く前総理の姿が印象的です。
これはある意味一つの真理であり、日本が生き残る為の選択肢の内最有力な候補でもあると思います。

しかし、キーチ達はそれを是としなかった。

そして、遂にアメリカの敵=世界の敵となり国際指名手配され、金正日やフセイン、ビン・ラディンと同等の存在とされてしまうキーチ。

そんな主人公キーチが、今巻では非常に主人公然として素晴らしかったです。

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お前ら奴隷が他人も思いやれず
自分の幸せばっか考えてるから、
奴らがどんどん醜く太るんだ!!
醜いってことが嫌じゃねえのか!?
「きれい汚いって価値観は人それぞれ」
って言うバカに教えてやる!!
「なにより自分が一番」とか
「命こそ一番」ってぬかす奴が一番醜い人間だ!!
お前ら全部が醜さ嫌って、
少しだけ世のため人のために生きてりゃあよ、
何も怖がることなんかねえはずだ!!


と、動画を通じて威風堂々と世界中に訴えるキーチの姿に心から拍手喝采。
こんな物を読んで昂ぶらずにはいられません。
歪みきった今の社会で燻った思いを抱えつつも、無力さを噛み締める私達の大いなる代弁者として世界を相手取り戦ってくれる姿に感じるカタルシス。
大きな時代のうねりの中に生まれる、迸る熱気を感じられて滾ります。
現代マンガの中でも最高に輝くヒーローの一人であると思います。


「法律」って響きが薄情…って感じ
という妻の言葉を理解しきれなかった警察官・池辺に、子供を米兵に轢き殺された座長が、自分の息子や大事な人を轢き殺されたらどう思うか、と問い詰めるシーンも圧巻。

どこまでも正義を問い、そんな正義に蹂躙される者達の想いの遣り場を問い掛けてます。


photo:01

「国民の生活が第一」ってテロリズムだったのか(´・ω・`)

という風刺には思わず笑ってしまいました。

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以前からの巨大掲示板に加え、ツイッター上の反応も描写されるように。

世界の終わりは誰が報道するの?

という一文が好き。

photo:03

吉田松陰の言葉「草莽崛起」を引用し、国民全体への意識の変革を訴えます。

しかし、世の中が引っくり返されるような大事が起きてもなお「動かないと思う(´―`」という人間の姿が在るのもまたリアル。
様々な方面に絶望感を覚える人間社会ですが、それでも一人一人がほんの少しずつでも生き方を変える事ができれば、利用されるままでなく隷属するままでなく、ほんの一握りの勇気を持って行動すれば、私達自身にとっては勿論、親兄弟や子供たち、友人や恋人たちにとってより快適で住みやすい世の中に向かって行く筈。

そんな青臭い事を、圧倒的熱情を以って叫び続けるキーチ、そしてタブーを踏み荒らして描き連ね続ける新井英樹先生。
巨大に過ぎる相手と戦い続けるその姿に敬意を表します。

それにしても、「SCATTER」はビームというある種自由な雑誌なのでまだしも、小学館という大組織の中でこんな物を描けるって凄いなぁ、といつもながらに想います。
冒頭に引用した、「国が好き放題して選挙もデモも効果がなかったら、あとは暴力的手段以外に何があるのか?」という問い掛け。
その一つの答えが、こういった作品を著す事でありましょう。

皮肉交じりの批判を小さじ一杯、という程度ではなく、現代社会とがっぷり四つに組んでその深奥に渾身の一撃を叩きこむように問い叫ぶ作品。

本当に、多くの人に読んで欲しい漫画です。


90点。

2月新刊チェック

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5日

8日
バキどもえ 1
WORST 31
誘爆発作 3
じょしらく 5
とりあえず地球が滅びる前に 3



15日
生徒会役員共 8
ベイビーステップ 25
capeta 31
A-BOUT! 17
探偵犬シャードック 7
AKB49~恋愛禁止条例~ 12
山田くんと7人の魔女 5
FAIRY TAIL 36
あひるの空 37
エデンの檻 21

18日
マギ 16
モブサイコ100 2

19日
キングダム 29
極黒のブリュンヒルデ 4
君は淫らな僕の女王
テラフォーマーズ 4
レイチェル・ダイアル 1

20日
ニッケルオデオン 緑
ヴォイニッチホテル 2

22日
草子ブックガイド 2
宇宙兄弟 20
神の雫 36
勇午 4 台湾編
グラゼニ 9
無限の住人 30
ベアゲルター 1
軍鶏 29

23日
閃光少女 2
まりあ†ほりっく 11
9のパズルと魔法使い 1

25日
俺物語!! 3
きょうは会社休みます。 3
放浪息子 14
どーにゃつ 2

26日
まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」 6
女王の花 7

27日
よつばと! 12
鉄コン筋クリート 3

28日
花もて語れ 7
BABEL 2
土竜の唄 34
放課後のカリスマ 9
さすらいアフロ田中 9
アイアムアヒーロー 11
闇金ウシジマくん 27
黄昏流星群 44
それでも町は廻っている 11



今月は、「花もて語れ」7巻に「草子ブックガイド」2巻、と個人的ベスト10に入れた本漫画が!
「BABEL」2巻などとも併せてとても楽しみです(^-^)

そして、久々の「よつばとっ!」もありますね。
それらに加え、最高に熱い「キングダム」「capeta」「宇宙兄弟」「ベイビーステップ」、更に「テラフォーマーズ」「俺物語」というこのマンガがすごい!1位作品も固まる2月後半の充実ぶりは圧巻です。

ニューフェイスとしては、「バジリスク」でお馴染みのせがわまさき先生と山田風太郎先生の「十 忍法魔界転生」、鬼才・沙村広明先生の「ベアゲルター」、俺マンで名前が挙がっていた「レイチェル・ダイアル」、岡本倫先生の「君は淫らな僕の女王」、パズル要素の在る「9のパズルと魔法使い」などに注目です。



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和算に恋した少女1巻 ヨタ話1巻

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和算に恋した少女 1
脚本:中川真,監修:根上生也 作画:風狸 けん

算術が見せてくれる世界は広い、
ただ目に映る世界よりずっと。



数学やパズルなど、頭を使うのが好きな方、あるいはそういった種類の作品が好きな方にお薦めの新作です。

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和算家の父を持つ主人公・米倉律。
彼女が江戸で起こる様々な事件を、律が算術を用いて解決していく物語。

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「二人の占い師、一両で3割的中する甲と、二両で6割的中する乙。どちらに占ってもらうのが得か」
「饅頭の効率的な数え方は?」

など、お話の随所に生活に密着した数学的な問題や知識が散りばめられています。

西洋的な数学を習って来た者としては、和算とのちょっとした差異が興味深いです。


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実在の高名な数学者である、関孝和も登場。
まだこの頃は円周率という概念ではなかったんですね~。
私も小さい頃、円周率の計算の仕方を必死に考えた事がありました。
そんな数学的探究心を喚起してくれます。


律の父親は「虚ろなる数」の概念を仄めかした稿本を記して、諸国に算数の心を広める遊歴算家の旅へ。
そんな父に巡りあう事を夢見て「虚ろなる数」の真実を求める律のメインストーリーも面白いです。

ただ出て来る問題に有名な物が多いので、もっとマイナーで難しい問題・面白い問題が増えれば良いなと思います。


「論理少女」や「数学ガール」、或いは「パラドクス・ブルー」といった作品が好きな方には無理なくお薦めできます。
色々な事件が起こりますが、基本的にそこまで血なまぐさい物はなく平和な内容なので、子供が読んでも大丈夫です。


70点。




ヨタ話
新井 理恵

「我に豆鉄砲くらわせたお前の肉を
 死なない程度についばみ続けてやる」
あの目はそう言ってるわ


「× ペケ」の新井理恵先生が描く、1ネタ数ページの連作短編ギャグマンガ。

ネタの破天荒さ、綺麗な絵柄で荒ぶる登場人物達、突き抜けたテンションがとても気持ちいいです。

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まず、帯を含めた裏表紙の罠が秀逸で、これを見たら猫好きは手に取らずにはいられないでしょう。
買って帯を捲らないと見られない、その中身とは……!

この、表紙・裏表紙を飾るさゆりは、「吾輩は猫である」を彷彿とさせる思惟する猫。

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哲学的な観想に浸りつつも、さゆりをお気に入りとするイケメン男子高生の前では形無しになり俗物的になってしまうギャップが可愛いです。


以下は第一話で描かれるネタの一つ。

いつも電車の中で見る格好良い男子に恋してしまった女の子。
普段は陰気な自分。
けれど、勇気を振り絞って声をかけてみようと決意する。

しかし、ある日彼が友人たちと

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憧れの彼から飛び出るのは「陰気な女なんてキメェんだよ」という言葉。
その言葉に傷付き、破れた初恋を胸に去って行くのですが――


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「は?綾波のドコがキメェんだよ
 ハルヒなんか自己中すぎてほぼキ●●●じゃねーか」
「素直で可愛いじゃねえか」
「マトモな男なら翠星石みたいなフツーのコにしか目がいかねーだろ」

まさかのヲタ会話だったっ……!

そんな意表をつくギャグから、彼氏の飼う鳩に強襲され続ける女の子、KY過ぎる嫁に姑が可哀想になって来る母子ドラマなどなど……
下もサブカルも時事もウィットに富んだ物も、盛り沢山の内容になっています。

また、子猫のるららちゃんが可愛くて可愛くて堪りません。

幕間のさゆりセクシーグラビアや、カバー下のサービスも満点。
個人的にとてもお気に入りで、続刊が待ち遠しいです。

「サディスティック19」「そんな奴ァいねぇ!!」や、にざかな先生系のギャグマンガが好きな方には絶対的にお薦めです。


70点。

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咲オンリー名古屋編 第一話[登頂]喫茶店マウンテンでの戦い

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今日は咲オンリーの為、夜行で「名~古屋に乗り込め~♪」しました。


殆ど訪れた事の無い名古屋。
そこで折角なら、と美味しそうなお店を探し目を付けた台湾ラーメン発祥のお店「味仙」。
台湾に台湾ラーメンという物があるわけではなく、味仙の創始者が「台湾人が作ったから台湾ラーメンでいいか」と命名したという、なかなかのなかなかなアバウトぶり。

とても辛いのが特徴で、弱い人だと翌日お尻に支障を来すとも。
そんな人のように、マイルドな辛さの「アメリカン」、逆に辛党向けで5倍以上辛い裏メニュー「イタリアン」なるものもあるとか(笑)

更に、様々な天津もレベルが高いとの事。
名古屋名物手羽先も完備。

そして、何と朝5:30から営業しているとの事!
朝ご飯はここにしよう(^-^)




……そう思っていた時期が私にもありました。

名古屋ドーム(竜の本拠地という意味では熱いですね! 巨人ファンですが気にしない)付近から歩く事40分。

意外!
AM5:30は誤植で本当はPM5:30からッ!
流石に店主さん頑張り過ぎだろうと思いましたけれどf^_^;)

寒風吹き荒ぶ未明の名古屋にて、いきなり路頭に迷いました。

まだ開いていないお店も多く朝食をどうするか……

シャレオツな喫茶店で名古屋名物のモーニングを頂こうかと考えましたが

「そうだ、マウンテン行こう」

私の頭の中のトリックスターが、神々の黄昏を告げるように囁きました。

マウンテンをご存知ない方は、Google画像検索で「マウンテン 名古屋」とでも打てば、異形な極彩色の世界が見られると思います。

兎に角、メニューの量と根本的な異質さに定評のあるマウンテン。

一方で、カルト的人気を誇るお店でもあり、かの麻枝准さんも愛好していたここにしかない「ヤングスパ」なるメニューがあると聞いて、一度食べてみたかったのです。

「味噌煮込みうどんや手羽先、きしめんなどはその気になればどこでも食べられる。しかしマウンテンは世界中を巡ってもマウンテンだけ!」

となればこれはもう……行くしかないっ……!



一先ず、マウンテン開店の8時まで時間があったので市内を散策。

名古屋大キャンパスに迷い込みつつ、鶴舞公園を周遊しました。

photo:01


photo:02


黎明の奏楽堂や噴水の建築がお洒落で良かったです(^-^)

ただ、太極拳を行う方々の大音響の音楽が森に響き渡り、神韻や自然の厳かさのような物は完全に打ち消されていましたが(笑)



そして、夜が明け蒔いた種が千々に実る頃……

土日祝日と毎月8日は600円で買えるお得な一日乗車券を手に、いよいよ伝説の喫茶店マウンテンへ!

いりなか駅から閑静な住宅街を歩く事10分程。

角を曲がると、

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そこは

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山だった。


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DIOの館前に辿り着いた承太郎達のような、万感の想い。


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看板の裏もレタリングで作り込んでありました(笑)


photo:21

店の脇ではサボテンの栽培ッ!

何でも、メニューの中に「サボテン○○」といった物があるらしく。
自家製のサボテン入りなんですね~。
もしかすると、「アステカ××」というメニューの中にも入っているかもしれませんね。


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外に吊るされた謎の人形。
これデーボのスタンドとかではないです?
大丈夫ですか?


開店は8時なのですが、7時50分頃にお店のおば様が「寒いでしょう、どうぞ入って」と笑顔で応対して下さいました。


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奇矯なメニューとは裏腹に、お店は綺麗ですし、接客も冗談を交えながらとても丁寧!


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取り敢えず、マンガソムリエとしては最新号までのジャンプ、ヤンジャン、マガジン、ヤンマガが置いてある事を確認。

メニューの方は既に意味が解りません。
火山?
ひろしのわがままホットケーキ??
八丁味噌氷???
早速、混乱状態。

しかし、マウンテンの真の実力はこんな物ではありません。

レギュラーメニューが以下のような感じ。


photo:11

まあ、最初の1ページは喫茶店として普通……



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ちっとも普通ではありませんでした!(^-^)

あつげしょう(大)2500円とか何者ですか!
後で検索したら、思わず噴き出してしまいましたよ。


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普通のメニューにさらっと紛れ込む「バナナライス」や「ロバライス」などの正体不明の曲者達。

「サボテンライス」は夏限定なんですね(笑)


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何と言っても、マウンテンといえば有名なのがスパ。


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君は、小宇宙を感じた事があるか。
ダルシムみたいなスパもありますが、とりわけ大人気なのは「甘口」。

抹茶小倉スパ。
甘口イチゴスパ。
甘口メロンスパ。
甘口キウイスパ。
とどめに、しるこスパ。

恐らく人生で目にした事がない文字列。

クレープにサラダ的なバージョンがあるので、スパゲティのデザートバージョンがあっても良いかもしれない、デザートピザだってあるし……


そんな想いは儚く粉微塵に砕かれるので、「汝これらを食す時、一切の希望を捨てよ」と言わんばかりの地獄の門のような逸品です。

これらのメニューを食べたい気持ちもありました。
が、やはり私は一度はたべたかったヤングスパ。


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これが、夢にまで見たヤングスパ……!

ただの大盛り焼きそばにしか見えない、そんな声が多数聞こえました。
だれだってそー思います、私もそー思います。

縮尺が狂ってるので伝わりにくいかもしれませんが、麺の一本一本がうどんに近い位の太さ。

量が多いと聞いてはいましたが、なかなかのなかなかです。
500円玉と比較してみましたが、小さく見えますね。

味は……実にジャンクです。
肉と少々のネギのみというシンプルな具。
確かにこれは、キッズ舌のだーまえさんが好きそうです。


この一皿でかなりお腹一杯になってしまいましたが、しかし伝説のマウンテンに来ている訳です。

ならどうするか?


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デザートを頼むでしょう!(迫真)

今まで見た事も聞いた事もない、「イタリアントマトパフェ」を恭しく注文。


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特注か、と思う程長いスプーン。
普通のパフェ用スプーンよりも更に長いです。


そして全貌を現したトマトパフェ。


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これこそが、マウンテンがマウンテンたる所以。
標高30cmにも及ぼうか、という紅白の山脈。

生クリーム!
トマト!
バニラアイス!

本当にそれだけです。
極めてシンプル。

意を決して、一口。

甘口イチゴスパやメロンスパを食べた人の気持ちが言葉でなく心で理解できました。

フレッシュなトマトと、甘い生クリーム・バニラアイス。
その果てしないマリアージュは、1日目で既に別居状態。
音だけ聞いてブルドーザーだと解るように、「これはダメなヤツだ」と体が教えてくれました。

トマトアイスなどもありますし、もしかしたら合うのかもと一瞬思うじゃないですか。

まことに残念ながら、それとこれとは話が違うんですよ。

生クリームがトマトを!
トマトがバニラアイスを貶める!

それでも何とか1/3程食べた所で……

減らないッ……!

明治エッセルスーパーカップ推定3個分弱程の大量に押し込まれたバニラアイスが食べても食べても底の見えない深淵……‼

店内は暖かいにも関わらず、体がどんどん冷えて震えて来ました。
まるで本当にマッターホルンで遭難したよう。

それでも、一歩一歩ラッセルを翳して踏み進むように、スプーンで氷菓を食べ進める事十数分。

遂に、容器の底が見えた時は、未踏のK2東壁の頂上が見えたような気分でした。

そして、最後の一口までカオスなトマトバニラを味わい終えた時。
得も言われぬ謎の達成感で満たされました。

登頂成功……!

これが……マウンテン…………‼


無駄に、ナチュラルに座席の関係で今年の恵方である南南東を向いて食べていました。
恵方巻きならぬ、恵方マウンテン。


普通の料理は普通に美味しいようです。

しかし、どうせなら世界でもここでしか体験出来ないであろう神秘と未知にチャレンジして欲しいと思います。

その先に見える物が……あるかどうかは貴方次第ですが。


名古屋に行く機会があれば、私はまた是非訪れて、他の物も頼んでみたいです。

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咲オンリー名古屋編 最終話[麻雀]あンた背中が煤けてるじぇ!!

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photo:01

という訳で、昨日はマウンテン……もとい、咲オンリーに行って参りました(^-^)


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名古屋まで赴いた訳ですが、そういえば栄ってこの辺りだったんですね。
SKE48劇場がナチュラルにあってビックリ。
栄は栄えてました(ダジャレに非ず)。






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一番の目的であった、すずめ隊さんの松実姉妹本(http://www.pixiv.net/member_illust.php?illust_id=33256726&mode=medium)。
50SPにも満たない規模でまさかの「最後尾はこちらではありません」発動で、突発コピー本は売り切れてしまうのでないかヒヤヒヤでした。

しかし、無事に会場にある阿知賀編関係の新刊はコンプリート出来たかと思います。

内容は言うまでもなくすばらっ……!

他の戦利品も、大変楽しませて頂きました。
姉帯さんがちょーかわいいよー、な宮守本から、照煌という斬新なジャンルまで存分に堪能。




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グッズも豊か!


会場には、タコス・松実玄さん・すばら先輩・瑞原はやりプロのコスプレをされている方も。

そして、このイベントは即売会だけに留まらず、マージャン大会も!


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参加者にはエトペンのバッジも配布。
折角なのでエントリーしてみました。

私自身は牌を持つの何年ぶりかなーというレベルですが……

iPhoneアプリでリハビリしたら、東一局で77700点を超える照さんもビックリの東風の神ぶりを発揮。
こんな所で運を使わなくても……(笑)




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咲牌がある卓も(笑)
Ver幾つか解る貴方は咲-Saki-マニア。


そして、本当に久々の麻雀。
皆さん咲ファンなので会話も弾んで楽しいです。
早速親になり、何と暗槓から有効牌をツモる咲さんインストール。
そこからのドラ切りリーチ、思わず「帰って来なくても、私は待ってる……!」と言ってしまいましたよね( ̄▽ ̄)

その後、「あれ、リーチ棒立てないんですか?w」と言われ、思わず怜さんのようにリーチ棒を立てようと夢中になり会話に興じていたら、一発ロン牌を見事に見逃してしまったのがこの日のハイライト

その後の配牌は惨憺たる物。

2回戦までで、九連宝燈2シャンテンと四暗刻1シャンテンに辿り着いたのが精一杯でした。

しかし、久々に牌に触れられて、心の底から「麻雀って楽しいよね!」と思えたのは大きな喜びでした。
それは松実玄さんがもう一度皆で集まって麻雀をする事を待ち続ける訳ですよ。

なかなか打つ機会は無くなってしまいましたが、偶にはやりたいですね。




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その後も、タコス即売会が行われたじぇ。

完全にこの日の最大手で、開幕から一限が掛かりました。
しかし、それでも瞬殺。

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【速報】タコス完売!

そういえば、麻雀大会で
「役満が出ました!」
と言って会場がどよめきましたが、

「天和です!」
となって、一気にざわ・・ざわ・・!

何でも、天和を和了した方は直前にタコスを食べていたとか(笑)
タコス力は大事です!

お嬢様切りをしていた方が、連続でドラ3で和了っているシーンもありましたし、そういうのは大切だと信じています。
私自身も松実姉妹リスペクトでお嬢様切りしようと思いましたが、久々でそこまで余裕が持てなかったのが残念。




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落書きコーナーも賑わっていました。
すずめ隊のおねーちゃんや怜さんも見られて眼福。



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松実玄さんを描いて下さった方には心の中で感謝の拍手をしていました。


しかし、一番目立っていたのは

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まさかの鷲巣様っ……!

アカギ本編での鷲巣麻雀はもう十数年になりますが、凄い事になっていので読め!といのけんさんのブースには近代麻雀本誌が置かれておりました。


福本先生はやはり凄いです、と。






以下は、街に見た咲な風景。


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名古屋駅前には、くろ○と千里馬薬局が並んでいる所が。




photo:12
雀荘経営者のお名前を冠した川!


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咲咲。
読み方は気にしない方向で。

寧ろ、その上のララァが気になりました(笑)






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 手羽先-tebaSaki-名古屋編



……というツイートがしたかっただけの事。
実際はマウンテンだけで1日何も食べなくても良いくらいお腹いっぱいでした(笑)



本当に素敵な時間を過ごさせて頂きました。
咲オンリーに関わった全ての人に感謝とすばらを!

【トランスルーセント】彼女は半透明 1-5巻

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トランスルーセント 1―彼女は半透明
岡本 一広

普通の人なんていないんじゃないかな
みんながみんな特別なんだ
それでいいんじゃない?



「ルートダブル」のライター月島総記さんがお薦めされていて心惹かれたので、購入してみましたが……
間違いないですね。
傑作でした。


主人公は、中学二年生の白山しずか。

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彼女が患っている、体が透明化してしまう「透明病」という未知の病気を中心に展開されて行く青春ストーリーです。

普通、透明人間という題材であればサスペンスやコメディになりがちですが、今作では自分の意図に反して体が透明化してしまう事への苦悩や、周囲からの迫害を叙情的に描く事で新しい読み味を獲得しています。

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理解のない人には気味悪がられ、また女優の夢を持ちながらも病気を理由に父親にも反対されるしずか。


そんな彼女の心の拠り所となってくれるのが、同級生の男子・唯見マモル。

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非常に子供っぽく、プラモデルや怪獣が大好きで行動も破天荒ですが、誰よりも純真な心を持っており、しずかにも別け隔てなく接してくれる唯見。

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時々人々をハッとさせるような事を言ってのける彼は、魅力的なヒーローです。

必要なのは「勇気」!!
自信じゃなくて「勇気」!!
第一歩を踏み出す「勇気」なんだ!!


と、しずかを励ます唯見が好きです。

二人の淡い関係の行く末も、見どころの一つ。
等身大の中学二年生、思春期のドキドキ感や甘酸っぱさが伝わって来ます。


又、脇を固める人物もいいキャラが揃っております。
何でも出来る優秀なお嬢様でありながらも、ある悩みを持っていてそれが切っ掛けでしずかと親しくなる大河内さん。

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3巻裏表紙のこの3人の楽しそうな姿がとても好きです。
この3人の絶妙な関係もまた良い味を出しています。


そして、透明病の先輩であり全身が完全に透明になってしまっている春名恵子さん。

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透明病の、そして人生の先輩として、様々な事をしずかに教えてくれます。

なかでも、

あたしは幸せだからすぐ忘れてしまう
――でも絶対に忘れちゃダメなの
幸せになりたいなら自分の…
目をそむけたくなるようなところを
まっすぐに見つめなきゃダメなのよ…


というセリフは印象的でした。
彼女と、彼女の彼氏の物語も大きな柱となっています。

絵は決して上手いとは言えないのですが、大ゴマの使い方や表情の描き方は秀逸で、心に訴えかけてきます。

とあるエピソードでは、目頭が熱くなるのを堪えられませんでした。


透明病というのは架空の病気ではありますが、そこから生ずる将来・人間関係も含めた不安や苦悩は誰しも共感できる部分がある筈で、普遍性を持った物語です。
先の見えない中でも、手を差し伸べてくれる人の助けを借りながら前向きに生きていこうとする姿はとても感動的。
青春の爽やかさもあって読み味も良いです。

全5巻と読み易い長さですし、汎くお薦めしたい一作。


80点。

PR: EXILEを裸にする新番組「EXFILE」スタート!

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ファン必見!レア感満載のドキュメンタリー番組。NOTTVで1/13より開始!

ダンガンロンパ/ゼロ 上下巻

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ダンガンロンパ/ゼロ
小高和剛, 小松

ここから始まる。 最高に絶望的な計画はここから始まる。
 《人類史上最大最悪の絶望的事件》 はここから始まる。



全生徒が何らかの「超高校級」の才能を持つ希望ヶ峰学園の生徒達による、コロシアイサスペンスAVG「ダンガンロンパ」。
アニメ化も決定し、各所で大人気を博している今作。



PSPで「1」と「2」の二作品が発売されており、「1」の物語の前日譚を描いたのが、この小説「ダンガンロンパゼロ」です。



一応、公式としてはゲームの1→小説ゼロ→ゲームの2という順番が推奨のようです。
ただ、1,2クリア済みの私が読む分には大きな問題はありませんでした。
2の感想記事を書けていませんが、近年でも屈指の名作だったという評価は揺るぎません。
興味が有る方には是非お薦めしたい作品です。
1も面白かったですが、2の満足感はその数段上でした。



但し、これからダンガンロンパをプレイしようという方は、絶対に1プレイ前にこの作品を読んではいけません。

致命的なネタバレが含まれております。


同様に、ダンガンロンパは1より2の方が完成度も高く面白いですが、だからといって2から始めるのもお勧めません。


素直に1からやって頂くのが一番良いでしょう。

尚、Amazonのレビュー等でもかなりネタバレが書かれておりますのでご注意下さい。





ここまで言うのも、ネタバレしてしまうとその魅力を大きく損なってしまう作品だからです。


さて、そんなこんなでこの小説版ですが……


いやあ、相変わらず絶望です!

絶望的な絶望に至る絶望的な絶望が絶望的なまでに絶望的に描かれています。



そして、見せてくれる衝撃の展開はゲームさながらで良かったです。
又、ゲームをプレイ済みの人間には物語としての面白さもさることながら、キャラや設定のルーツを辿る面白味もあります。

成る程、それでそういう風になっていったのか~……などと。



何を言ってもネタバレになってしまいそうなので深くは語れませんが……

挿絵と巻末の設定画で、小松崎類先生の絵がたっぷり楽しめるのも特色。
女性キャラの肉感、特に臀部にフェチを感じました。
今作に登場するキャラは皆安産型ですかね!

主人公の音無涼子さん、そして音無さんの想い人である松田くん、好きです。
音無涼子さんはストレートロングかと思ったら、設定では癖っ毛となっていてちょっと悲しかったのですが。

又、特異なキャラ達のネーミングから会話内容、ジャンプ漫画を始めとして頻出する各種サブカルネタに至るまで、ゲーム以上に西尾維新先生っぽさが充満していました。
「サイバイマンはもっと栄養のある土じゃないと、ナッパ様に怒られちゃうよ!」
などの件など好きです。
ゲーム自体、「ドラえもん、ジョジョ、西尾維新が好きならプレイすべき」と言われて始めたのですが、ゲーム以上に西尾維新好きの人にはお勧めです。

ただ、様々なサブカルネタや下ネタ、残酷な描写などは決して万人受けする物ではありませんので、そういった物が苦手な方はご注意下さい。

ゲームを楽しくプレイされた方には、今作も問題なく楽しめるでしょう。
設定の補完を出来るという意味でお薦めです。


75点。

ほしのうえでめぐる 1-2巻

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ほしのうえでめぐる 1,2
倉橋 ユウス


願いを持つことは大事だけど
どう生きるかがもっと大事なんだよ



タイトルと表紙絵から響く物が既にあり、「きっと私、これ好きそう」という予感がしていました。
そしてその勘は的中し、読後は良い漫画が読めたなぁ~、と幸せな気分になりました。


舞台は近未来。

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建設中の宇宙エレベーター「明星」が聳える街。
そこに存在する老若男女にロボット、様々なキャラクター達の姿を描いたオムニバス短編集です。


第一話は、「明星」の上級職員である小崎メグミと、丘の上の輸入雑貨店の島田タケルの二人の仄かな恋模様を描いた物語。
月に一回ほど、明星の人工島からやって来てはストレス発散をしてまた島へ帰っていくメグミ。

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子供の頃はぜんぶなんとなく
「外側」から憧れたりするもんだ
あの気持ちは大事だ
夢への原動力だ
「あれ乗りてえー」
「作りてえ!」
「宇宙行きてー!」

これを補充するとだな
何言われても「ふふーん」て感じだぞ!


子供の頃に誰しもが抱く、純粋な夢や憧れ。
しかし、人は大人になるにつれそんな気持ちを無くし現実と折り合いを付けながら生きていきます。
そんな中で、普段は自己中心的ですが大人になっても純真無垢で真っ直ぐな想いを抱き続けるメグミの姿は眩しく魅力的です。
スタート位置の確認作業というのは、大事なこと。

そして、その後に起こる展開と演出がなかなかになかなかです。
単純でない、玄妙な味わいが心地良いですね。


又、見た目は某テラフォーマーのようで気持ち悪がられるロボット、グレゴリーを描いたお話は個人的に大好きです。

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信頼は目に見えんから困るな

というセリフも格好良いです。

「ドラえもん」の最終話の内の一つを思い出すような感動がありました。
最後にはグレゴリーが愛しくて堪らなくなります。


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男は基本的に生ゴミだと
思うことにしたんです


と、刺激的なセリフが飛び出すマーガレット系統なストーリーもありつつ。


1巻に5話、2巻で10話のお話達。
思わずワールドエンズスーパーノヴァを流しながら読みました。

全体を通してしんみりと胸に迫りつつ、夢や希望の光と影、それらに関わる人々の生き様と関係性に、仄かな暖かさが胸に灯る読感です。
それぞれが独立して完結していながらも、相互に作用していく群像劇ならではの味わいも良いですね。

読む人が読めば、2012年のベストに数えても可笑しくないと思える内容です。

SF要素も恋愛要素も結構ガッツリと入っているので、その両方が好きである方には間違いなくお薦めです。
どちらか片方は好き、という方にも。

アライブの「恋愛遊星」も同様のSF+恋愛系オムニバス連作短編集で評判も良いので、そちらもチェックしてみようと思います。


75点。

マルチュリア1巻

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マルチュリア 1―対訳:ツリー・オブ・スカイ、変貌しゆく世界の殉教者
弓咲ミサキックス

ルラルラルラルラルラルラルラルラ

近年また増えてきた感のある、サバイバルホラーもの。

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2012年、東京墨田区に建造された「ツリー・オブ・スカイ」。
その完成と共にツリーから出現した黒い粉塵が世界中を覆い尽くし、世界の総人口の7割に当たる50億人が「悪魔」と化してしまった。
そして、人間と悪魔の戦いが始まった――

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「この帯が狂気的!」大賞があったら、上位に食い込んできそうです。
宇宙の風にでも乗ってしまいそうな、悪魔の鳴き声。

「進撃の巨人」や「魔法少女・オブ・ジ・エンド」的な、サバイバルホラーアクションです。
巨人や魔法少女の代わりに悪魔。
人間達が武器を持って結束し悪魔達と戦うのも、途中の展開的にも、特に「進撃の巨人」っぽさが強いです。
そして、そこにサブタイトルからも解るように中二病色を上乗せした感じと言えます。

それらの作品と比べると、人間に敵対する悪魔が発生する原因がはっきりと明示されているのが特色であり、そこに生まれる葛藤が面白味でしょうか。

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対悪魔組織「シーラカンス」の本部はお台場フジテレビ跡であったり、東京駅が出て来たり、東京の名所が色々と出て来るのも都民としては楽しい所。
カバー裏にはそれに因んだオマケも。

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強すぎる、と言われる「使徒悪魔」の存在も仄めかされるなど、今後への期待も持たせられます。
通常の悪魔に対してはある程度の対抗力を持っていますが、使徒悪魔はどれ程の絶望を見せてくれるのか、どう戦って行くのかは楽しみですね。


シーラカンス戦士隊のリーダー沙倉アユ樹や処刑人代表の狐洞ダイアモンドなど、一部のキャラは立てられていますが、ヒロインと言えるヒロインが不在なのはこの手の作品では珍しいというか、勿体無いというか。
お姉さんはまた別の役割だと想いますし。

ただ、最後にはちょっと気になる終わり方を見せてくれたので、今後の飛躍に期待します。

パニックサバイバルホラー系、或いはガンガン・マッグガーデン系の作品が好きな方には良いと思います。


65点。

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