燐寸少女 1巻
鈴木小波
角川書店KADOKAWA COMICS A
『セカイノミカタ』(紹介記事)や『ホクサイと飯』の鈴木小波先生の最新作。
2007年にモーニングに掲載された時の、同タイトルの溢れ出るセンスによる感性的な漫画とは大分趣が変わり、しっかりとストーリーが仕立てられた一作となっています。
タイトルからも判る通り、マッチ売りの少女をモチーフにしたややブラックな現代劇です。
少女リンの売るマッチは、人の妄想を具現化する力を持っていた。
但し、妄想は妄想であって願望ではない……
人々は、リンのマッチをどう扱うのか――
基本、一話完結型で、リンが」様々な願望を抱く老若男女に、マッチを持って近付く体裁です。
割と残酷でグロテスクなお話もあれば、ハートフルなお話もあって読み味はバラエティ豊か。
『アウターゾーン』的な感じというのが近いでしょうか。
鈴木小波先生らしい魚眼レンズを更に歪めたようなパースや、狂気を感じさせる人物の表情など、独特の雰囲気に画風がよくマッチしています(燐寸少女だけに)。
今巻終盤で出て来る、ろうそく売りのチムが良い味を出しているライバルキャラで好きです。
上品な言動の裏に見え隠れする不穏さが堪りません。
人の黒い感情を上手く料理してある作品が好きな人にお薦めです。
70点。
人の黒い感情を上手く料理してある作品が好きな人にお薦めです。
70点。