HOLY HOLY ホーリーホーリー1巻
菅原キク
アース・スターエンターテイメント
マリア様へ祈るのはいつも
世界の終わり
公式サイトで2話まで試し読みできます。
「ごきげんよう」と挨拶するお嬢様たちの物語はお好きですか。
未知の脅威に晒される極限状況下でのサバイバルサスペンスはお好きですか。
どちらもお好きなら、『マヨイ屋の店番 トキワ』『昭島スーサイド☆クラブ』の菅原キク先生の最新作は如何でしょう。
世界的な財閥の令嬢が多数通う、聖エルレシアン女学院。
その女生徒たちは、ドバイへの修学旅行中に海難事故に遭ってしまう。
その内、十数名は謎の島に漂着。
食料も水も限られた状況の中、頼みの綱の無線も通じない。
理知的で冷静な少女・草間トリノや、皆の憧れの存在である東伏見笙子を精神的支柱に、お嬢様たちの極限のサバイバルが始まる――
勿論、私は黒髪ロングストレートで心優しい笙子さんを応援しております。
しかし、たおやかな仕草でマリア様に祈りを捧げ、鈴のような声で上品な会話を交わしてきた生粋のお嬢様である彼女たちが、この生と死の狭間という境遇に陥った時、その奥にある人としての本性を曝け出して行きます。
パニックホラーサスペンス物においては、往々にしてそこが見所の一つですが、「お嬢様」という聖域的な場所からの涜聖的なギャップが、今作の大きな魅力になっています。
勿論、私は黒髪ロングストレートで心優しい笙子さんを応援しております。
しかし、たおやかな仕草でマリア様に祈りを捧げ、鈴のような声で上品な会話を交わしてきた生粋のお嬢様である彼女たちが、この生と死の狭間という境遇に陥った時、その奥にある人としての本性を曝け出して行きます。
パニックホラーサスペンス物においては、往々にしてそこが見所の一つですが、「お嬢様」という聖域的な場所からの涜聖的なギャップが、今作の大きな魅力になっています。
そして、彼女たちが流れ着いたこの島には、先住する存在がいました。
目が見えず、耳も聞こえない少女と、14人の子どもたち。
童話のように語られる、もう一つの物語によって仄めかされる、島に伏在する絶対的な恐怖の存在。
この演出がとても上手いですね。
アングルなども実に巧みで、「未知の存在に対する恐怖」を非常に効果的に煽ってくれます。
『進撃の巨人』や『アポカリプスの砦』のように、脅威となる存在がはっきりと解っているものも怖いですが、命を脅かすものが正体不明である恐怖、というのはやはり別格です。
それなりに残酷な描写も出て来ますので、そういったものが苦手な方はご注意を。
『進撃の巨人』や『アポカリプスの砦』のように、脅威となる存在がはっきりと解っているものも怖いですが、命を脅かすものが正体不明である恐怖、というのはやはり別格です。
それなりに残酷な描写も出て来ますので、そういったものが苦手な方はご注意を。
又、お嬢様学校の生徒ということで、欠かせないのは勿論百合です。
若干ではありますが、そういった描写もあります。
心の病気を拗らせてしまっている系の人物もおり、人間の暗部を覗きたい方にもお薦めです。
お嬢様×百合×サバイバルサスペンスということで、人は選ぶでしょうが、好きな人は好きでしょう。
『漂流教室』や『蒼界のイヴ』などが好きな方は、お手に取ってみては。
70点。