南紀の食べ物といったら何をイメージしますか?
やっぱり、まずは何と言っても紀州梅でしょうか。
しかし、それ以外には一般的に強く思い浮かぶ物がない、という方も多いかもしれません。
吉野から熊野に至る参詣道、紀伊山地は世界遺産となっており、私も度々訪れている愛すべき場所です。
その、南側の麓にあたる南紀が、今作の舞台。
知られざる南紀の様々な美味しい物が登場します。
彼女の恋人である巴が念願の海洋深層水研究職に就けたことにより、南紀に転勤することに。
それを切っ掛けに結婚し、慣れない田舎暮らしがスタートする――
元々、「住みたい街」不動のNo.1である吉祥寺で、何不自由のない優雅な暮らしを営んでいた蘭。
そんな彼女、バスは一日に二本、スーパーもなく、美容室も洋服屋もオシャレな職場も何もない場所へ来て、最初の内は消沈します。
そんな彼女、バスは一日に二本、スーパーもなく、美容室も洋服屋もオシャレな職場も何もない場所へ来て、最初の内は消沈します。
私自身も田舎暮らしに対してのアンテナは高いので、都会から田舎へ移住するお話は、最近の『田舎の結婚』(75点)といい、興味津々です。
車を使う必要性に駆られて、田舎の教習所に通うシーンで、教習所の周りに食べるお店が皆無なのでカップラーメンを一人10個自由に持って行って良いシステムなども実にリアル。
車を使う必要性に駆られて、田舎の教習所に通うシーンで、教習所の周りに食べるお店が皆無なのでカップラーメンを一人10個自由に持って行って良いシステムなども実にリアル。
家の柱に鹿が挟まって出られなくなってしまったエピソードなども、恐らく実話から来ているのでしょう。
東京生まれ、東京育ちの身には想像もできない新生活。
しかしながら、美味しいものが好きで料理が大好きな蘭は、様々な南紀の美味しいものに出会うことで、その魅力の虜になっていきます。
山も海もあり、水も美味しいのが南紀。
伊勢海老に鯛、山菜に鹿肉……
その料理の数々が、実に美味しそうに描写されます。
タラの芽の天ぷらとか、シカのたたきの握り寿司など、とても食べたい!
読んでいてお腹が減って来るので、読む時間に注意です(笑)
又、主人公が料理をしているシーンは実に生き生きしていて、自分でも何か凝った品を拵えたくなります。
「胃袋を掴む」という言葉がありますが、料理が上手いというのはサイバイバルスキルとして実に大きいな、と。
世界のどこに行っても、周りの人に振る舞えて喜んでもらえる、というのは素敵なことだなと感じます。
鹿肉を捕らえてジビエにする件では、『山賊ダイアリー』や『銀の匙』的な趣も。
タラの芽の天ぷらとか、シカのたたきの握り寿司など、とても食べたい!
読んでいてお腹が減って来るので、読む時間に注意です(笑)
又、主人公が料理をしているシーンは実に生き生きしていて、自分でも何か凝った品を拵えたくなります。
「胃袋を掴む」という言葉がありますが、料理が上手いというのはサイバイバルスキルとして実に大きいな、と。
世界のどこに行っても、周りの人に振る舞えて喜んでもらえる、というのは素敵なことだなと感じます。
鹿肉を捕らえてジビエにする件では、『山賊ダイアリー』や『銀の匙』的な趣も。
又、味王様やコンブよろしく、グルメ漫画で大事なのは食べた時のリアクションですが、今作では独特の透明感ある美味さへの感激の描写を見せてくれます。
『花のズボラ飯』ほどではないですが、若干フェティッシュな印象すら。
主人公以外の反応ももっとオーバーに描いても良いかもしれません。
元町先生自身、東日本大震災を切っ掛けに東京から三重へと転居された方(それを描いたのが一つ前の単行本にあたる『東京を脱出してみたよ! 脱出編』)で、そのこと自体には賛否あると思いますが……
ともあれ都会生活からの田舎暮らしの実体験を元にして、多くの人が楽しめる作品として仕上がっていると思います。
田舎暮らしに興味のある方、料理が好きな方、美味しいものが好きな方、広くオススメできます。
70点。