てんぴん
毒田ペパ子
毒田ペパ子
マッグガーデン Web Comic Beat’sシリーズ
全力で集中するとあるのは静寂だけ
緊張や焦り…
そういった自分の『心』と闘うんだ
全力で集中するとあるのは静寂だけ
緊張や焦り…
そういった自分の『心』と闘うんだ
ボウリング漫画って、意外と少ないです。
そして、数少ないボウリング漫画の中でも、競技的にしっかりとボウリングを描いた作品となると更に少なくなります。
そして、その大半が1~3巻程度で終わっています。
マイナー競技漫画全盛の昨今ですが、少なくともラクロス、薙刀、カバディなどよりはボウリングをプレイしたことがある人というのは多いと思うのですが……
アマチュアであってもパーフェクトを出せてしまうが故に、物語として如何に見せるかを考えると難しい題材なのかもしれません。
そんな情勢の中で、実に正統派の美少女ボウリング漫画が登場しました。
描くのは、『あの夏で待ってる』のコミカライズを行った、毒田先生。
幾つか気になる点や懸念もありながらも面白く、続きを読みたい作品です。
主人公五十嵐ななこは、人とコミュニケーションを取るのが苦手で、家でFPSに没頭するニート少女。
そんな彼女は、ボウリングの伝説の女王である祖母・桃子の営むボウリング場でアルバイトを始めることに。
周囲からボウリングをやるよう勧められるななこだが、彼女は「ある理由」から二度とボウリングをしないと決めていた――
タイトルになっている「てんぴん」という言葉は、10ピンと天稟を掛けたもの(1000点100円のことではありません)。
ガンコンを二丁持ちすることで手首が鍛えられていた、という設定が王道でありながら現代的です。
社会で生きるのに適していない人物が、ただ一つの能力を以って世界との接点を見出され融和していくお話は、良いです。
主人公以外も、登場キャラクター達は魅力的で豊かです。
現役の無敵女王である姫野麗花。
彼女がコーヒーカップを手に口にする名言が格好良いです。
ななこは、ある切っ掛けにより彼女に目を付けられることに……
彼女がコーヒーカップを手に口にする名言が格好良いです。
ななこは、ある切っ掛けにより彼女に目を付けられることに……
ミス・パーフェクトの異名を持つななこの祖母。
そのライバルである、田村ミミはどう見ても60歳に見えないロリババアです。
占いを生業とし、スクライ・ビューティの二つ名も持つ女性。
物語の筋や演出において特別なことはしていませんが、生き生きとしたキャラ達に王道展開を歩ませているので、とても読み易いです。
言うなれば麻雀漫画における『咲-Saki-』のように、見た目は萌え系美少女漫画であり、事実そういった要素も含んでいますが、内容はそれぞれの人物が葛藤を抱えながらしっかりと競技に向き合っている作品(どうでも良いですが、『咲-Saki-阿知賀編』のボウリング少女である鷺森灼ちゃんが読んでいそうなコミックスNO.1ですね)。
欲を言えば、彼女たち一人一人のボウリングスタイルをもっと描き込んで差別化し、キャラ立ちに役立てて欲しいです。
それによってボウリングを題材にした漫画としての面白みも増しますしね。
それによってボウリングを題材にした漫画としての面白みも増しますしね。
ところで、不安なのがこのコミックスには巻数表記がない所。
「第1部おわり」となっていますが、2部もしっかりやって下さいますよね? ね?
これから面白くなって行く所だと思うのですが……!
毒田先生はアライブで『恋がさくころ桜どき』の連載中でもあるので多少時間も掛かるかもしれませんが、お待ちしております。
70点。