きょうは会社休みます。 1
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藤村真理
自分の気持ち伝えないでガマンしたら
ガマンした分どんどん重くなってさ
限界が来て吐き出した時には
その重みの分の見返りを
相手に求めるようになるんだよ
「このマンガがすごい!2013」オンナ編3位の作品です。
33歳のOL花笑(はなえ)は、気付けば彼氏いない歴33年の処女。
要領の良い後輩達を横目に見ながら、仕事に精を出す日々。
そんな33歳を迎えた日の飲み会の夜、バイトの12歳年下の田之倉と良い感じになり――
ライトノベルのタイトル風に言うなれば
「33歳喪女の私が一回り下のイケメン大学生と初めての夜を共にしてしまった件」
という感じでしょうか。
一度も男性と付き合った事のない花笑は、「冗談じゃないのか」「遊ばれているだけなんじゃないのか」と疑心暗鬼になるが、正式に初めてのお付き合いをする事になる。
16歳だろうと、33歳だろうと初恋は初恋。
慣れない感情に翻弄され、一喜一憂する様は少女マンガの王道を貫いており、キュンキュン度も高いです。
恋愛経験値がなさ過ぎて、相手に対して不器用な応対をしてしまう所がリアルです。
舞い上がって無駄に変なテンションのメールを送ってしまって後悔する、とかあるあるですね。
ファーストキスの時や、旅行に行くとなった時の舞い上がり感などはニヤニヤしてしまいます。
そんな折、同じビルにある他社のCEO朝尾と出会うと彼も花笑にアプローチして来て――
朝尾さんといる時に食べている物が美味しそうだというどうでも良い感想はさておき、今後の三角関係がどうなって行くのか気になりますね。
しかし、意地悪な見方をすれば「眼鏡取っただけでこんなに可愛くなれるなら幾らでも取るわ!」「こんだけ可愛かったらそりゃモテるわ!!」「それだけの容姿があるなら初めから頑張っておけよ!」などと感じる人も居るだろうなぁ、と。
絶対的な世界の真理「※但しイケメン・美女に限る」というヤツですね。
「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」にしてもそうなんですけど。
ファンタジー要素一切無し。
大人が主人公の王道恋愛少女漫画を読みたい方にオススメです。
65点。

ULTRAMAN
清水栄一, 下口智裕
こちらは「このマンガがすごい!2013」オトコ編10位の作品。
公式サイト で最新話の試し読みが可能です。
「月刊ヒーローズ」に連載されている、「ウルトラマン」をベースにした新時代のウルトラマンを描いた物語。
描くのは、「鉄のラインバレル」の清水栄一先生と下口智裕先生のコンビ。
このお二人と言えば、「仮面ライダー」をモチーフにした「Hybrid Insector」というハイクオリティな漫画をWebで公開しておりました。
残念ながら東映の申し立てによって公開停止してしまいましたが……
その作品も、ライダーファンには堪らない熱い出来だったので、こちらの「ULTRAMAN」も期待しておりました。
光の巨人=ウルトラマンがその役目を終え、地球が平和になってから数十年。
新たな脅威が地球にやって来る――
ハヤタ隊員こと、早田進に訪れた体の異変。
ウルトラマンがいた時期の記憶の喪失、そして代わりに得ていた恐るべき身体能力。
その「ウルトラマンの因子」と呼ばれる性質は、進の息子・進次郎にも受け継がれていた。
「私がウルトラマンだ」のインパクトは凄いです。
「TIGER&BUNNY」では戦うおじさんが描かれますが、「ULTRAMAN」では戦う老年者が描かれます。
そして、どちらにも共通して言える事ですが格好良いですね。
ウルトラマンの因子を持つ進次郎も、科学特捜隊謹製のプロトスーツを纏って戦いに挑む!
アクションシーンの筆力は流石という他ありません。
燃えます。
「ZONE OF ENDERS」を髣髴とさせる、スタイリッシュなデザインも良いです。
敵は敵で格好良いんですね~。
名乗りのシーンでは、思わずニヤリとしてしまいました。
始まりの敵、という事で今後はあいつやあいつなんかも出て来るのでしょうか。
楽しみです。
ウルトラマン」を知らない人だとストーリーとしては普通過ぎて、面白味に欠けるかもしれませんが……
観ていた世代なら必ず熱く滾る物を感じると思います。
ハヤタ、イデ、モロボシ、スペシウムなどの単語に反応する方、怪獣の身長や体重を覚えている方などには強くお薦めします。
「Hybrid Insector」もいつか公式に描いて欲しいなぁ……。
65点(ウルトラマンのファン度合いによって10点前後加点して下さい)。