…勉強は答えがあるし
努力した分だけ結果が出るけど
人と関わるってそうじゃないから難しい
既巻紹介 1巻70点
家がお金持ちで、幼少の頃から勉強も運動も完璧な柳尚人(やなぎなおと)。
しかし、転校生の九条美琴(くじょうみこと)にそれらに加えて心根でも完敗を喫してしまう。
中学・高校でもついに敵う事の無かった九条に、柳は「気持ちを自覚させられたら俺の勝ち」という最後の勝負(ラストゲーム)を挑んだ――
「このマンガがすごい!2013オンナ編」6位になった、王道恋愛作品です。
真面目で恋愛に関しては余りにも鈍感過ぎるヒロインの九条さん、そして九条さんを振り向かせてやろうと手を尽くす柳くん、その二人共がとにかく可愛いです。
2巻からは、新キャラクターの相馬蛍(そうまけい)くんも登場。
初めはこの二人の十年来年の絆の間柄にどう割り込んで行くのだろう、と思ったのですが……
読んで納得。
色々な意味で柳くんが不憫でなりません(笑)
元々1巻分で終わる予定の物語だったので、担当さんの提案によってテコ入れとして作られたようですが、とてもいいキャラになってますね。
3巻の表紙はその相馬くんと柳くんのツーショットになっていますが、開くと中表紙がその楽屋裏的なものになっているのは毎巻の小さな楽しみ。
相馬くんという一石が投じられた事によって生じた関係性の波紋が面白いです。
相馬くんによって仄かに生じた恋心は「錯覚だ」と嘘を教えられ、無心を決め込む九条さんが好きです。
傍観する藤本さんの立場の面白そうな事。
悪い顔してます。
しかし、藤本さんは藤本さんで強かながら可愛くていいキャラですよね。
恋愛メインの少女漫画の面白さの鍵の一つは、メインとなる男女の脇にいる友人キャラの良し悪しだと思いますので、そういう意味で「ラストゲーム」は条件をクリアしていると思います。
そして、一番の肝である柳くんと九条さんの二人の関係。
事ある毎に九条さんに「友達」である事を強調され、心に傷を負い続けていく柳くんですが……
柳といると誰よりほっとするのに
なんだかたまに心細いような
心もとない気持ちになる
うっすらと自分の気持ちを自覚し始める九条さん。
そして、たまに見せる無防備なこの笑顔!
これは柳くんがドツボに嵌るのも無理からぬ事ですね。
キュンキュンしまてしまいますよ、ええ。
布団バンバン叩く勢いです。
すれ違うじれったさを上手に描いた良質の恋愛作品です。
余談ですが、2巻からは九条さんが黒髪ロングストレートを基本としてくれているので、個人的にとても嬉しいです。
2巻冒頭で
「黒髪だー!」
「女の子はこうでないと!茶パツなんて滅びろ!」
「現代の日本女性に欠けてるものがここにある!」
と言っていた天文部の先輩方と心の中でガッチリ握手。
某イベントのシーンではゆるふわロングヘアになっていましたが、断然ストレートロングです。
「君に届け」の爽子といい、最近は王道少女漫画にも黒髪ロングストレートヒロインを置く風潮が戻って来ていて喜ばしい限りです。
恋愛物が好きな方、報われない可愛いイケメンが好きな方、黒髪ロングの真面目なヒロインが好きな方にお薦めです。
75点。