
永遠図書館4巻
赤星治人
祝福の思いが波のように伝わり
また波が
それは全ての物が鮮やかに映る幸せの世界
第一話がこちらで 試し読み可能です。
「宇」(時間)と「宙」(空間)の狭間に存在し、全宇宙の歴史と英智が収蔵されたコネプルシア図書館、通称「永遠図書館」。
その禁断の中央書庫棟の最深部に存在するという「世界で最初の本」を読む事を夢見て「白道司書(ベルベット)」の修行を積む少女メシェを中心に描かれる、純然たるファンタジー。
裏表紙の装丁とあらすじだけでご飯3杯食べられます。
敬語で書かれるあらすじは、いかにもファンタジーらしくて良いですよね。
俺マン2012にも選んだ位(俺マン2012 兎来栄寿選 )私のツボを押さえてくれた作品だったのですが、残念ながら本巻で最終巻。
どうやら打ち切りによる連載終了のようで……
巻数が増える度に魅力も増し、それに伴うかのように平積みでも見るようになって来ていて喜んでいたのですが……。
こんなにも素敵な作品が打ち切られてしまうなんて、本当に世知辛い世の中です。
そんな訳で最終巻となってしまった今巻ですが、その世界は最後まで鮮やかでした。
「水路の中にも本棚がある!」
「水中保管が必要な書物ですよ」
こんな会話一つとっても想像力を無限に掻き立てられ、堪りません。
このページを捲った次のページもとても好き。
この荘厳な神殿の中を「泳いで」いく感覚、好きです。
ここも見開きは圧巻でした。
背景の細やかさはいつもの事ながら、世界観を表す上でとても大きな働きをしています。
最も「最初の本」に近づいた白道司書ソルヴェイグ。
彼女の残した「花言葉」(シェアト)を追うメシェとミュカレ。
そこで待ち受けるものとは――
本と星が主なモチーフとなるこの神話舞台の世界観が本当に堪りません。
そしてここに来ての新キャラ、乙女座処女素体のイスナチ。
彼女も可愛いですし、
紅茶を振る舞ってくれるカレナックの愛おしさときたらありませんね。
帽子が可愛い!
物語としても、ここまでの軌跡を踏まえてワクワクする部分、心温まる部分、胸が締め付けられるような部分があり、良かったです。
メシェとミュカレの旅模様、そして中央書庫塔の秘密など、まだまだ物語はこれからという感じですので、是非また何かしらの形で描いて頂きたいです。
「空サンゴの浮島」を冒険する姿が見たいですよぅ。
ファンタジー好きの方にお薦めです。
子供の頃に慣れ親しんだ純然たるファンタジーが持つ楽しさを、もう一度思い出させてくれました。
75点。