このマンガがすごい! 2013
今年も発売となった、「このマンガがすごい!」。
去年の10月1日から、今年の9月30日までに単行本が発刊された作品が対象で、オトコ編・オンナ編に分かれているのが特徴。
様々なジャンルの著名人、書店員、大学漫研、漫画家、編集者、ライター、その他漫画に造詣の深い人間が各自1位10点、2位9点、3位8点、4位7点、5位6点で得点を付け、総得点によりランク付けされます。
宇野常寛さん、はるかぜちゃん、SKE48秦佐和子さん、山の神柏原さん、ぴろし社長、田中陽子選手、ヒャダインさん、片桐仁さん、かーずさん、蝉丸Pさん、ゴローさん、虚構新聞の方etc...
様々な方々がどんな漫画を読み好んでいるのか解るのはとても面白いです。
勿論、漫画にも人それぞれ好みがありますから、万民が納得するランキングというのは有り得ません。
しかし、今回の1位作品は男女とも最有力候補がそれぞれ当て嵌まった形で、多くの人が納得の行くものだったのではないでしょうか。
特に、女性の1位はトリプルスコア近い得点差で圧倒的。
既に他の賞でも大プッシュされていた作品ですからね。
さて、以下にはランクインした作品の中で私のブログに紹介記事を書いてある物への、適宜コメントも付けて纏めてみます。
自分で買って読むまでランキングを知りたくない!という方はご注意を。
先ずはオトコ編から。
46位
「預言者ピッピ」 1巻90点
2巻95点
いきなり私の21世紀ベスト候補作品が!
知名度の低さと面白さは圧倒的です。
哲学味豊かな、超傑作SF。
早く3巻を読みたいですが、何年後になるでしょうか。
特筆すべき事にタレントのはるかぜちゃんこと春名風花さんが、この作品を自身1位に挙げておりました。
はるかぜちゃん、素晴らしい子……!
同46位
「HUNTER×HUNTER」 28巻85点
29巻85点
30巻85点 31巻80点
説明不要ですね。
月末の32巻、映画を観ると貰える第0巻が楽しみです。
1週間でも早く連載再開をお願いします……!
41位
「罪と罰」(漫F画太郎) 1巻75点
2巻75点
3巻75点
ドストエフスキー×漫F画太郎という一つの事変。
表紙を描く人が毎巻変わるのも斬新。
選ばれた者だけが手放しでの礼賛を許される、一般人には唾棄すらされる天才の所業。
同41位
「宇宙兄弟」 1-11巻85点
12巻85点
13巻80点
14巻80点
15巻80点
16巻80点
17巻80点
18巻80点
19巻80点
クオリティが落ちることなく常に面白い作品。
映画もアニメもしっかり面白く、老若男女を問わない家族で楽しめる安定のコンテンツ。
巻数を重ねてのランクインも頷ける作品です。
37位
「鉄楽レトラ」 1巻80点
2巻80点
3巻80点
個人的にはベスト10に入っていないのが不思議な位、毎回心に届く作品。
同37位
「外天楼」 75点
「それでも町は廻っている」の石黒正数先生の異色短編集。
「俺マン2011」3位の「鉄楽レトラ」と並び、1位はこの位置。
1冊で満足感を味わえる作品なので、長いのはちょっと……という方にも。
同37位
「軍靴のバルツァー」 1-2巻75点
4巻75点
丁度新巻が出たばかりの、最近の中ではかなり光る作品。
画面作りに意気込みを感じ、限りなく80点に近い面白さです。
もっと読まれて然るべき。
34位
「87CLOCKERS」 1巻70点
2巻70点
「のだめ」から打って変わって、オーバークロックという奇特な題材。
それでもちゃんと面白く読ませる二ノ宮知子先生の力量は流石です。
31位
「ねじまきカギュー」 1巻70点
2-3巻70点
カギューちゃんはブチ切れ可愛い。
「めだかボックス」好きな人はきっとこちらもお気に召すでしょう。
25位
「ドリフターズ」 2巻75点
平野耕太先生が描く「Fate」が面白くない訳がない。
3巻は来春予定で楽しみです。
同25位
「五大湖フルバースト」 1巻65点
タイトルで読みたくなった作品ならベスト3には入るでしょうね。
超異色のSF大相撲漫画、という新しさ。
特定層への訴求力は非常に高く、この順位になったと思われますが予想以上に支持されていますね。
24位
「すみれファンファーレ」 1巻70点
可愛い絵柄で切なくも温かいお話。
家族の絆などが好きな方に。
22位
「鬼灯の冷徹」 1巻55点
地獄が舞台のコメディ。
私、1巻にこんな辛い点数付けてましたか(笑)
世間的には大人気で、白鬼白は特に盛り上がってるのでハマれなかったのが残念。
21位
「となりの関くん」 1巻70点
3巻70点
「俺マン2011」「マンガ大賞」にも名を連ねた、隣の席の関くんが授業中遊んでいるだけの奇作。
これだけ変則的な内容・フラッパーというレーベルで単巻50万部レベルというのは凄いこと。
姉弟揃ってとんでもないセンスです。
19位
「空が灰色だから」 1巻75点
2巻75点
3巻75点
異形なセンスで描かれる、心がザラつくオムニバス。
普通の作品が全く届かない部分の心の襞に刺激を与えてくる怪作。
15位
「ONE PIECE」 62巻70点
63巻75点
64巻70点
説明不要の別格作品。
前人未到の3億部も見えてきて、巻数を重ねていても手堅くランクインしてきますね。
13位
「進撃の巨人」 3巻65点
4巻60点
5巻70点
6巻70点
7巻70点
アニメ化も決まり、ハイレベルなPVが話題沸騰中。
元の絵が荒く動きが激しい作品な分、アニメだと一層映えるタイプの作品ですね。
最近の方が面白くはなって来ていますが、個人的にはそこまで評価できていないです。
13位
「惡の華」 1巻65点
抉るような痛みを与えてくれるジュヴナイル。
1巻の時点ではそこそこの評価でしたが、その後の展開でかなり突き抜けてきています。
こちらもアニメ化が決定し、今後も注目の作品。
12位
「ジョジョリオン」 1巻75点
2巻75点
3巻75点
「ジョジョ」はアニメも二部に突入し、大好評ゥ!
ある意味、100巻を超えている作品ですがこの位置に。
ジョジョらしい「何かヤバいッ……!」というサスペンスを存分に堪能できる第八部。
荒木飛呂彦先生は衰えないィィィィ!
9位
「ボールルームへようこそ」 1巻75点
2巻75点
3巻80点
熱気が迸るダンスマンガ。
これはベスト10に入る、入って欲しいと思っていました。
読んでいてゾクゾク震えが走る、素晴らしい真っ直ぐな少年漫画。
8位
「アイアムアヒーロー」 5巻70点
6巻60点
7巻70点
敢えてあらすじを語りたくない、黙して1巻を読んでみて欲しい作品。
強いですね~。
この作品も確かに最近面白さを増して来ています。
ただ、並み居る強豪の中でここまで伸びるとは意外でした。
5位
「銀の匙」 1巻70点
2巻75点
3巻75点
4巻75点
「鋼の錬金術」の荒川弘先生による農業高校漫画。
「マンガ大賞2012」1位、「俺マン2011」2位と圧倒的な支持を得ている作品。
日々食べているものや命を頂く事について改めて考えさせられます。
4位
「ハイキュー!!」 1-2巻75点
3巻75点
ジャンプの正統派スポ根作品。
個人的に、今のジャンプでは「暗殺教室」「めだかボックス」と並んで好きな作品。
主人公の成長や仲間達との友情、ライバルの存在など、ベタですが純粋に面白い作品。
きっとこのまま順調に連載が続けば、この作品もアニメ化するでしょう。
2位
「ハイスコアガール」 1巻70点
2巻75点
個人的には、生粋のゲーマーな上にヒロイン大野さんがツボにハマり大好きな作品です。
ニッチなジャンルの作品なので、ブロスマンガ大賞に続き「このマンガがすごい!」でも2位とは!
確かに、あまりゲームをやらない人でもラブコメとして読めるだけの地力もある作品。
その辺の少女漫画よりもキュンキュン値は高いです。
90年代ゲーセンに通っていたような人から、恋愛漫画好きの方まで。
1位
「テラフォーマーズ」 1-2巻80点
3巻80点
やはり、この作品は上位に来るでしょう。
1位も納得。
SFとしての面白さ、バトルアクションとしての面白さが揃っています。
驚いたのは、原作者の貴家悠さんはまだ現役大学生なんですね。
インタビューでは、作品が生まれた経緯である編集さんのムチャぶりも面白かったです。
終わり方も想定してあるらしいので、変に引き伸ばさず良作のまま完結して欲しいですね。
続いてオンナ編。
46位
「繕い裁つ人」 1巻70点
前回16位。
派手さはないですが、しみじみと感じ入るものがある作風。
36位
「7SEEDS」 19巻75点
21巻80点
22巻80巻
23巻80点
巻数を重ねて更に面白さを増し、現在の少女漫画では圧倒的に面白いですからね。
どこまで辿り着くのか、ひたすら楽しみな作品です。
同36位
「ガラスの仮面」 46巻70点
47巻80点
48巻75点
49巻75点
ここ2年でコミックスがどんどん刊行され、やっと動き出した物語。
既にやった話を繰り返している印象は拭えませんが、それでもファンとしてはやっと続きが読める嬉しさで胸が一杯です。
「キン肉マン」もそうですけど、時を経ても変わらない世界に浸れるのが感無量ですね。
同36位
「暁のヨナ」 1巻70点
この作品も、やはり近年の少女マンガの中では抜けています。
ハードな展開の中で揺れる想いが見所。
29位
「坂道のアポロン」 1-3巻70点
青春ジャズ漫画。
ノイタミナでのアニメも、やや駆け足だったものの素晴らしい演奏シーンを堪能できました。
先月には「BONUS TRACK」
やファンブック
も発売して、本当に終わったんだという感じです。
26位
「大正ガールズエクスプレス」 1巻75点
個人的にとてもお気に入りな、「ハイスコアガール」の前のブロス大賞受賞作品。
端然とした絵と奇抜なセンスによる独特の雰囲気に病み付きになります。
23位
「ライアー×ライアー」 1巻65点
2巻70点
3巻70点
前回10位。
この作品も段々面白さを増しています。
ただ、突き詰めれば姉弟の恋愛であるので、着地点をどこに持って行くのか……それも見所。
19位
「脳内ポイズンベリー」 1巻65点
「失恋ショコラティエ」と共に、近年大人気の水城せとな先生。
脳内の葛藤を擬人化するという、なかなか斬新な発想。
14位
「昭和元禄落語心中」 1巻75点
最近の落語ブームの大きな一助になっていると思われる作品。
上質な心理描写で完成度の高い作品。
この作品も、続刊の記事を書かねばと思い保留中です……。
13位
「ウツボラ」 1巻75点
2巻75点
中村明日美子先生の耽美な絵による、背徳的サスペンス。
絵柄の魅力を最大限生かした物語で、素敵です。
11位
「大奥」 7巻80点
8巻80点
9巻80点
文句なく面白すぎる、私もずっと推している作品。
ドラマも映画も放映され、ますます部数も伸びる事でしょう。
8位
「ちはやふる」 11巻80点
12巻80点
13巻80点
14巻80点
15巻85点
16巻85点
17巻80点
18巻85点
強い!
2009年から3位・1位・4位とランクインしていながら、今年もベスト10。
でも、そうでしょうと思います。
何せ、話数を重ねて益々面白くなって来ています。
この作品を始めた当時は末次由紀先生は盗作で色々言われていました。
折しも先日、twitterで「名前など、私の場合はない方がいいくらいの漫画家だと思ってちはやふる描き始めました。誰が描いたか関係ないくらいの漫画を描くんだと。これからも描き続けていられるといいな」と書かれていたのが印象的です。
失敗しても、それを成功で上書きできる社会は、それを可能にするべく努力した人は素晴らしい。
明々後日発売の最新刊が楽しみです。
2位
「式の前日」 75点
穂積先生、新人にしてこの短篇集のクオリティはどういう事でしょう!
新連載の「さよならソルシエ」も、きっと来年のランキングを賑わせてくれるでしょう。
大いなる期待を持たせてくれる胎動を感じる、今年最もフレッシュな1冊。
1位
「俺物語」 1巻75点
2巻75点
編集者が選ぶ新マンガ賞「マンガ秋100」で1位を獲得した作品。
今年はこの作品しかないでしょうね。
圧倒的な大差での1位も納得です。
劇画漫画と出演を間違えたかのような主人公。
表紙や裏表紙の圧倒的インパクトや、迫力とギャップによるギャグの威力は凄いです。
しかし、根底は実に正統派な少女漫画の文脈に沿ったドラマ。
優しく、暖かく、素敵な人間模様に元気付けられる、男性でも読み易い間口の広い少女マンガです。
オンナ編は記事を書いていないものはまだしも、未読の物もかなり多いので精進しないとですね。
気になっていた作品も多いので、本屋さんに行くのが楽しみです。
全体的に集英社強し。
ヤングジャンプもマーガレットも、本当に面白い作品が多いので、納得です。
そうなると余計に何故毎回「キングダム」は入らないのかが不思議ですが……
巻数を重ねているとはいえ、この一年の面白さは圧巻だと思うんですけれどもね。
「ベイビーステップ」や「capeta」、「岳」や「孤高の人」、「大東京トイボックス」や「少女ファイト」なども巻数のハンデがあってもランクインしておかしくないレベルで面白いです。
「極黒のブリュンヒルデ」や「ごっこ」「犯罪王ポポネポ」、「SCATTER」、「ビッグオーダー」に「イレブンソウル」などは好みの別れる作品なので仕方ないと思いますけれど。
他の賞も併せて、掬い取られない作品については個人的にまた語る機会を設けましょう。
それでも、「預言者ピッピ」が50位以内に入っていたのは救われる思いでした。
そして、書店員ランキング。
こちらでは、更に今更感のある作品は排され、ほぼ3巻以下の作品。
よりしっくり来るランキングになっています。
それでもランクインする「キン肉マン」「ちはやふる」は本当に面白いという事で。
一般ランキングと男女編とも1位が同じでダブルスコア近いのは、やはり両作品の強さ。
ただ、オンナ編は上位作品に票が集中していますが、オトコ編はかなり票が分散している模様。
「プラスチックサージェリー」「路地裏第一区」「祝福屋福助 大入」「In These Words」など、コアな作品が並ぶ所にニヤリ。
ランキングよりも、個別の選者の意見を見て感覚が近い方のお薦めしている物を読むと、とても確度が高いですね。
そういう意味では、一人一人が選んだ物を確認できるこの紙面は素敵です。
何れにせよ、これを契機に興味を持った作品が出て漫画界が盛り上がれば良いですね。
ワンコインで買える本としては、充実した内容だと思います。
以下は、取留めのない雑感です。
板垣恵介先生、今なら「グラップラー刃牙を十倍面白くできるぜ」と仰ってますが、巻数も3倍位に増えそうな……(笑)
江口夏実先生はやはりあーみん大好きなんだなぁ。
片山ユキヲ先生の「流血鬼」リメイクとか、死ぬ程読んでみたいです!
金田一蓮十郎先生の次に描いてみたい漫画のコメントが素敵。
つばな先生が紹介している作品面白そう。
ヤマシタトモコ先生の性癖の根底に冨樫先生の影があったとは……
Web掲載での注目作に「同人王」の名前が。
この作品については私も今度記事に書きます。