ここからもう、"神の森"の世界に引き込まれていきます。
ガーデラン女神の神殿を中心として散在する集落。
そのデラ神殿の大巫女見習いとして日々修行を積むプーリョを中心とした物語。
食事、行事、信仰、街道の歩き方……
そして、森に棲む脅威、魔物の存在。
この世界に住む人々の生活や文化が細かく描写されることによって、この架空の世界に思いを馳せます。
森の叢の匂いが漂ってくるような臨場感がありますね。
ここに自分が存在したらどうやって暮らすだろう、と楽しい想像に駆らせられます。
そして、やはり明治カナ子先生は絵が良いです。
人によっては荒いと感じるかもしれませんが、細かい線を重ねた独特のタッチが世界観にマッチしている印象。
ここぞ、というシーンでの表情が素敵です。
基本的に、女の子中心でプーリョの第一の付き人であるミンミのパートなどコメディテイストな所も多いですが……
仄暗い緊張感が漂うのを感じさせるパートやモノローグも同時に全編にわたっています。
サブタイトル「神殿ゲーム」で描かれる賢者たちとの遊戯は、なかなかに烈しく面白い所です。
『血界戦線』のプロスフェアーが好きだった人なんかは燃えるシーンではないでしょうか。
第二の付き人アガサと特別な手順で神殿を巡る中で、星の上を歩くようなシーンなども好きです。
友人のエズリンや五賢人など他のキャラクターも個性豊かで魅力的。
私はプーリョが一番好みです。
ずっと男装している訳ですが、普通に女性の姿が可愛い!
「ヘスの祝日」の扉絵とか、一枚絵で色々感じさせてくれて好きです。
明治カナ子先生のセクシーな男の子は一杯見て来た訳ですが(笑)
女の子を描いても良いですねぇ。
今巻はかなり続きが気になる所で、ズルいです。
神殿や世界の秘密も良いヒキになっていますね。
作り込まれた世界観が好きな方に特薦!
70点。