
男子トイレで待ち合わせ 水あさと短編集
水あさと
メディアファクトリー MFコミックスフラッパーシリーズ
好きというのは「全部」好きでなくてはならないのか
だとしたら…なんということだ!?
もし…0.1%すきじゃないことがあったら
その人のこと
好きと言えなくなるではないか
アニメが好評放映中で、マンガソムリエが登場することでも話題の『デンキ街の本屋さん』(紹介記事)の番外編「みかんBOOKSの人々」を含む、水あさと先生の短篇集。
同じく、番外編「ウニメイトの王子様」を収録した『屋上に咲く花』と同時発売です。
『屋上に咲く花』が、切なさと甘酸っぱさを詰め込んだ恋愛系中心の短篇集であるのに対し、こちら『男子トイレで待ち合わせ』は、異色な作品を集めた短篇集と、それぞれ毛色の違うものになっています。
『デンキ街』の恋愛系のお話が好きなら『屋上』を、『マジカルシェフ少女しずる』(1巻75点 2巻75点)のような異端な感性の作品が好きなら『男子トイレ』をお薦めできます。
ちなみに、5月にも『宮田書店へようこそ!』、9月には『ベスト盤 世界制服セキララ女学館』を刊行しており、そして『男三女四』1巻が明日発売と、水あさと先生のラッシュが止みません。
人間関係が煩わしく教室で本ばかり読んでいる地味な女子ヒミコと、残念なクラス一のイケメンのソウシの匂いから始まる青春物語「君ってどんなにおいなの?」。
ついに見つけたぞ!!
香りの起源!!
文明の発祥地…さながら黄河!!
などの、独特の言い回しでエネルギッシュにフェティッシュなくんかくんかシーン、それに恥じらうヒミコが素晴らしいです。
しかし、一見馬鹿らしいお話に見えながらも、恋愛の立脚点として何なら正しく何なら間違っているということは可分なのだろうかと考えさせられるお話でもあります。
全体的にクセの強い内容ですが、ブルーチーズのようにそれを好む人にとっては深くツボにハマる一品。
元々『咲-Saki-』などの同人誌も描いており、プロデビュー後もコミティアなどに積極的に参加されていて、かつ特典冊子でのマンガなども充実している多作な水あさと先生。
今後も色々な方面での活躍を楽しみにしています。
70点。