マルチュリア 1―対訳:ツリー・オブ・スカイ、変貌しゆく世界の殉教者
弓咲ミサキックス
ルラルラルラルラルラルラルラルラ
その完成と共にツリーから出現した黒い粉塵が世界中を覆い尽くし、世界の総人口の7割に当たる50億人が「悪魔」と化してしまった。
そして、人間と悪魔の戦いが始まった――
「この帯が狂気的!」大賞があったら、上位に食い込んできそうです。
宇宙の風にでも乗ってしまいそうな、悪魔の鳴き声。
巨人や魔法少女の代わりに悪魔。
人間達が武器を持って結束し悪魔達と戦うのも、途中の展開的にも、特に「進撃の巨人」っぽさが強いです。
そして、そこにサブタイトルからも解るように中二病色を上乗せした感じと言えます。
それらの作品と比べると、人間に敵対する悪魔が発生する原因がはっきりと明示されているのが特色であり、そこに生まれる葛藤が面白味でしょうか。
対悪魔組織「シーラカンス」の本部はお台場フジテレビ跡であったり、東京駅が出て来たり、東京の名所が色々と出て来るのも都民としては楽しい所。
カバー裏にはそれに因んだオマケも。
強すぎる、と言われる「使徒悪魔」の存在も仄めかされるなど、今後への期待も持たせられます。
通常の悪魔に対してはある程度の対抗力を持っていますが、使徒悪魔はどれ程の絶望を見せてくれるのか、どう戦って行くのかは楽しみですね。
シーラカンス戦士隊のリーダー沙倉アユ樹や処刑人代表の狐洞ダイアモンドなど、一部のキャラは立てられていますが、ヒロインと言えるヒロインが不在なのはこの手の作品では珍しいというか、勿体無いというか。
お姉さんはまた別の役割だと想いますし。
ただ、最後にはちょっと気になる終わり方を見せてくれたので、今後の飛躍に期待します。
パニックサバイバルホラー系、或いはガンガン・マッグガーデン系の作品が好きな方には良いと思います。
65点。