Latin 高畠エナガ短編集 1
高畠エナガ
「このマンガがすごい!2013」オトコ編で19位を獲得した今作。
漫画読みの間では話題の新人作家・高畠エナガ先生の最初の短篇集です。
デビュー作であるリバーシは「ジャンプSQ」なのでまだしも、それ以降は「スーパーダッシュ&ゴー!」という集英社の中でもかなりマイナーな雑誌に掲載。
普通の人は知らなくても当たり前かもしれません。
しかし、この一度見たら忘れない生き生きとした表情の女の子を描く筆力は十分に注目に値する物だと思います。
表題作「Latin」は、拾われたアンドロイドの少女を描くお話。
兎に角、主人公ラテンが魅力的に描かれています。
コテ線特盛で不機嫌そうな顔、笑顔、泣き顔とコロコロ表情を変えていくヒロインは、他の作品にも共通するエナガ先生の個性。
お話に目新しさは無くとも、キャラが生き生きしているだけで漫画としての輝きがあります。
ベタベタでも、サイレント部分などはニヤニヤしてしまいます。
後半の展開とコマ割りには、力と勢いを強く感じました。
巻末の3Pの「~2years later~」含め、表題作を飾るに相応しい佳作です。
デビュー作「リバーシ」は、人外だらけの私立魔族学園を舞台に、天使へのコンプレックスを持つ悪魔の女の子の微妙に揺れる気持ちを描いた作品。
感情を発露しているシーンにカタルシスがあります。
そして、女の子同士の美しい友情に胸が温まるお話。
個人的には、収録四作品の中で一番好きです。
その他、妖精にエルフ、そこに巨大ロボも登場するファンタジー「雪原のネストーレ」、
猫又だけが住む家に迷い込んでしまった人間を主人公にしたハートフルストーリー「猫又荘の食卓」も収録。
どの作品にもファンタジー要素がありますね。
現代的なファンタジーが好きな方にお薦めです。
感情表現の仕方に「ワンピース」の人情話的な文脈も感じるので、「ワンピース」の回想シーンなどが好きな方にも親和性があるかもしれません。
70点。
100─HANDRED─ 高畠エナガ短編集 2
高畠エナガ
そして、昨年末に発売された、2冊目の短篇集。
今巻の7割を占める表題作「100─HANDRED─」は、地表の98%が砂漠化した未来で、古の人類が残した謎の"箱"とそれを開けることの出来る鍵の一族を巡る物語。
スケールを感じさせる描写と面白みのある設定的に、単体ではこの短編集2冊の中でも最も好きなお話です。
物語展開や派手なアクションシーンが良いですね。
見せ場をきちんと意識して作っている印象。
99が好きです。
ただ短篇集としては「100─HANDRED─」に比重が行き過ぎていて、バランスを欠く印象もありつつ……
2回目の人生を生きている少女を描く「ボーナスゲーマーカミングアウト!」では中原さんが可愛いです。
可愛いは正義。
新しいロリババアの在り方がここにありました。
何気なく描かれている半透明のペーパーデバイスが好きです。
又、個人的に衝撃を受けたのは「女装兄弟」。
他の作品とは一線を画す内容で、声を出して笑いました。
絵は荒いですが、エナガ先生の懐の深さを感じた一作。
病んだ目の立花さんも好きです。
全体的に若い読者向けの作風。
女性キャラに比べて男性キャラの造形が甘い等の点も気になりますが、待望の初連載「人魚の花籠」も始まり、今後も楽しみな先生です。
70点。