
さよならガールフレンド
高野雀
祥伝社フィールコミックスswing
世界が終わらない限り
わたしたちはまた
会うことができる
話すことができる
それを希望と呼びたいんだ
試し読み
コアなマンガ読みの間では、コミティア時代から期待の新人として話題だった高野雀先生。
帯にも「コミティア見本紙読書会第1位」の文字が。
その同人誌掲載作も収録した、待望の初単行本が刊行となりました。
主に女性、あるいはフィールヤング系の作品が好きな方は読んで損はない短篇集です。
表題作「さよならガールフレンド」は、田舎町で閉塞感を抱えて日々を過ごす高校三年生の主人公ちほが、彼氏に浮気をされた所から始まる物語。
浮気相手の「ビッチ先輩」に偶然出会ったちほは――
田舎の狭いコミュニティ、下らない彼氏、厭世的な親……
「セミと緑がうるさい」「緑が蝕んでくる」と表現される、息の詰まるような日常に、読んでいる方も息苦しさを覚えます。
他の短編においても、30近くなっても幼稚な彼氏と自分の人生に悩む女性やら、美しく華やかな姉に較べて見窄らしくオンナとしての資格を持ってないと思い込んでいる女性やら、自らの立ち位置を見出だせず苦悩する女性たちが、リアルなエピソードと心情で描かれています。
これらの作品群は、読者の年齢や経験に応じて、深い共感をもたらしてくれることでしょう。
「世界滅びねーかなー」とか、「息をひそめて生きなくちゃ」とか思っている(いた)人にはきっと届きます。
収録作の中では最新作となる「ギャラクシー邂逅」が個人的にはお気に入り。
宇宙の中の星に擬えた関係性を表す言の葉の数々が、詩的にキラキラと煌めいていて好きです。
担当編集者には「やり過ぎです」「ポエム減らして下さい」と云われたようですが、とんでもない。
この言葉選びにこそ高野雀先生のセンスが遺憾無く発揮されているではありませんか。
言葉それ自体の美しさは勿論、それがピタリと物語に寄り添って進んで行く構造自体の美しさ。
ミクロコスモスとマクロコスモスの妙なる融合を感じさせる秀逸な短編であると思います。
これは、このポエミーな表現抜きでは成り立たないもの。
是非、今後もポエットとしての道を貫いた作品も見せて欲しいと願います。
内容は完全にエモーショナルな女性向けマンガでありながら、青年マンガに近い落ち着いたコマ割りです。
が、モノローグなどが醸し出す雰囲気には合っていると感じます。
絵柄も相俟って、河合克敏先生がセンシティブなドラマを描いているような感触ですね。
宇仁田ゆみ先生に似ているという指摘の方が多そうではありますが。
オトコの厭な面の描き方、セックスの描写など、実に女性的な作品。
勿論女性にはお薦めですが、そうであればこそ逆に男性が読む価値もあります。
男はバカです。
しかし、バカだからこういう思いを女の子にさせていいという免罪符にはならないのです。
世の男性が皆フィールヤングを読んで少しでも女性の気持ちを理解し、行動を変えてみたら、世界も多少平和になるでしょうか。
戯言ですけど。
試し読みで読める範囲だとまだ測りかねるのではないかと思いますが、未収録作品の「あたらしいひふ」は丸々読めるので、まずはそちらから入っても良いかと。
騙されたと思って、あるいは先行きが楽しみな新人への投資と思って手に取ってみては如何でしょうか。
が、モノローグなどが醸し出す雰囲気には合っていると感じます。
絵柄も相俟って、河合克敏先生がセンシティブなドラマを描いているような感触ですね。
宇仁田ゆみ先生に似ているという指摘の方が多そうではありますが。
オトコの厭な面の描き方、セックスの描写など、実に女性的な作品。
勿論女性にはお薦めですが、そうであればこそ逆に男性が読む価値もあります。
男はバカです。
しかし、バカだからこういう思いを女の子にさせていいという免罪符にはならないのです。
世の男性が皆フィールヤングを読んで少しでも女性の気持ちを理解し、行動を変えてみたら、世界も多少平和になるでしょうか。
戯言ですけど。
試し読みで読める範囲だとまだ測りかねるのではないかと思いますが、未収録作品の「あたらしいひふ」は丸々読めるので、まずはそちらから入っても良いかと。
騙されたと思って、あるいは先行きが楽しみな新人への投資と思って手に取ってみては如何でしょうか。
75点。