
福島鉄平
集英社ヤングジャンプコミックス
『サムライうさぎ』の福島鉄平先生が描く、ミラクルジャンプ本誌掲載時に話題騒然となった、表題作「アマリリス」含む短編集。
と二冊同時発売です。
表題作「アマリリス」は
親に売られてしまった11歳の少年、ジャンの物語。
彼は、「へんたいのおじさん」によって、女の子の格好をして夜の店で働くことを強要されていた――
その一方で、新しくできた同い年の友人ポールとの時間をとても心地良く感じていた。
しかし、汚れた自分自身といることで純真無垢なポールをも汚してしまうのではないかとジャンは苦悩する――
かわいい福島先生の絵で描かれる、黒く暗く切ない情念。
そのギャップが何とも言えない妙味を出している作品です。
それは、これはジャンプ本誌には無理ですよね……
しかし、素晴らしい一編ですので、ミラクルジャンプという受け皿があって良かったと思います。
同時発売の『スイミング』の方は、対照的にライトで明るめな読み味となっていますが、こちらの『アマリリス』の方は百合だったり女装男子だったり、少し対象年齢が高めの物も含め5つの短編+「アマリリス」の描き下ろしが掲載されています。
「アマリリス」の描き下ろしは、ファンにとっては実に嬉しい所ではないでしょうか。
福島先生の、ルチアの睫毛の描き方が好きです。
これや、『スイミング』収録の「きらわれもののマギル」などが個人的にツボです。
『スイミング』の方では、小中学生の頃の甘酸っぱくて純粋な恋愛を思い出す表題作があり、そちらはそちらで良いですので、合いそうな方から福島鉄平先生に入門してみるのは大いにアリかと思います。
どちらも、今年の短編集の中でもかなりのオススメです。
75点。