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Channel: マンガソムリエ兎来栄寿のブログ 先刻の箚記(さっきのさっき)
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ブルーハイジ1巻

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ブルーハイジ1巻
ヤマダ
モーニングKC

試し読み

『鈴木さん』のヤマダ先生による新作。
様々な要素が散りばめられた、基本4コマスタイルの春群像劇です

これが、淡い……
圧倒的に淡いッ!
胸の中で甘く切なく浮かんでは消える微炭酸のような作品です。

単行本はフルカラー仕様でちょっとお高めですが、内容的にはお薦めしたい一作です。


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「磯くさっ」という一言から始まるこの物語。
主人公の千賀相地(せんがあいじ)は、東京の吹奏楽部の名門校から長崎に転校し、旅館・古川邸にやってきた高校生。
相地と、相地を取り巻く人々の長崎県の片隅でのお話。


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旅館で住み込み生活をしている今、旅館パートに色々と感情移入してしまいます。
相地が大浴場を掃除するシーンや、大量なゴミ捨てが必要なシーンに親近感。

あ、当館へのご来館はいつでも歓迎しております(ステマ)

黒髪ロングストレート教の私が杏子さんが好きなのは言うまでもないでしょう。
是非髪を卸して仕事に勤しんで欲しいです。


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古川邸のバイトで吹奏楽部所属の宮坂理一郎は、今作のキーパーソンの一人。
長崎弁をガッツリ喋る人物ばかりが登場する中で、なぜか標準語の彼。
相地を「トーキョー」と皮肉交じりに呼びつけながらも、その二人の関係性にニヤニヤしてしまいます。

そして、そんな彼を取り巻く会話の面白い長崎ショタたちも可愛く。
「臨床心理学より難しい」などの独特の言い回しが好きです。


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そして、この作品は珍しい吹奏楽部マンガでもあります。
相地はフルート、理一郎はホルン。
トランペットを吹く吉岡さんにはどことなく松実玄さん感もあり、守ってあげたくなります。
彼女と相地の間柄にもニヤニヤ。


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そして、普段は割と明るい雰囲気の中で、ふと思い過去を示唆する回想が挟まれます。
そこに込められた、切なさ乱れ打ちの百合。
多くが語られないだけに際立つものがあり、味わい深いです。


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長崎弁全開の今作、更にローカルなネタも。
東京人からすると長崎といえばハウステンボスかもしれませんが、それは都会、と切り捨てられます。
そして、相地たちが向かった先はペンギン王国。
私もこれを読むまで存在を知りませんでしたが、行ってみたいです。


何よりも、まずこの端然としたタッチの絵が良いですね。
着色が楽そうなこの配色も、絵に合っていて良いです。
一定数のファンはこの絵柄だけで獲得できるタイプでしょう。

内容は人によって引っ掛かる箇所が違うでしょうけれど、多くのフックがあるので間口は広いです。
上記で挙げた要素の何れかに引っ掛かりましたら、是非。


75点。

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