ラフナス1巻
白井弓子
双葉社アクションコミックス
ああ
1話試し読みできます。
『天顕祭』、『WOMBS』(紹介記事)の白井弓子先生。
IKKIが休刊となり、残念ながら『WOMBS』もそれに伴って予定を早めて終了ということですので、その分この『ラフナス』に期待が掛かります。
SFにしろファンタジーにしろ、白井弓子先生はつくづく「ここでない世界の理」を描くのが上手です。
独特の筆致で描かれる、人が浮遊できる街での暮らしの様子。
ラフナ人は固有の波動を放つ力場を持ち、他人と近付くと波同士が反発し合うので、中和石というものを携帯する必要がある。
SFにしろファンタジーにしろ、白井弓子先生はつくづく「ここでない世界の理」を描くのが上手です。
私達の住む世界とは違う世界、そこで息衝く人々の存在を確かに感じられます。
過去作品もそうでしたし、この『ラフナス』もまたそれを強く思わせてくれます。
舞台は、反重力物質「ラフナ」の溢れる星、ラフナス。
ラフナを取り込んだ生物や無機物は空に浮くことができる。
ダイヤモンド級の極めて強力な「力場」を持つ、流域観測士のリマ・カルドナ。
彼女は新任先で、ラフナ耐性のない「先祖返り」の男ラギと出会う――
宙に浮かぶ岩群の流れで形成される「岩河(ストリーム)」を観測し正常な流れを保つ仕事を執り行う、流域観測士。
環境に適応してラフナに耐性を獲得した多くの人々の中で、ラフナが毒となる元の人間の姿であるカルシウムベースの体で生まれ、マスクと体内フィルターなしでは生きられず、空を飛べない「先祖返り」。
全てが架空の存在でありながら、その仕事ぶりや生活様式が事細かく描かれるので、リアリティが成立しています。
私は、こういう異世界の理やタームが大好物です。
独特の筆致で描かれる、人が浮遊できる街での暮らしの様子。
絵のタッチは好みが別れるかもしれませんが、私は好きです。
空を自由に飛ぶ、というのは人の一つの夢ですが、それを実現し生活の中で当たり前になっている世界。
漫画の自由さを感じられて、嬉しくなります。
ラフナ人は固有の波動を放つ力場を持ち、他人と近付くと波同士が反発し合うので、中和石というものを携帯する必要がある。
しかし、ヒロインのリマは力場が強過ぎて、10ラフンのレッドダイヤモンドでなければ抑えきれない。
強すぎる力場を持つ彼女は、人に近付くこと自体を恐れる――
波は人によっては強く反発したり惹かれ合ったりし、男女はその波で恋に堕ちる、という設定も良いですね。
リマとラギ、異世界のボーイミーツガールの顛末や如何に。
そして、リマが予見する世界の「災厄」とは――
独特の世界観の中で進行して行くお話が面白いです。
「花祭り」のお話には「天顕祭」を思わせるものがありました。
きっと白井先生はこういうの好きなんでしょうねぇ。
独自性が高いSFで、設定も絵もクセはありますが、好きな人はハマるタイプです。
試し読みをしてみて、合いそうでしたら是非。
75点。