
ギガントマキア
三浦建太郎
白泉社ジェッツコミックス
憎むってのは
何かに負けた気がして
自分いやなんスよ
公式PV
「三浦建太郎 新連載!」
その文字列を見た時、誰もが思ったことでしょう。
「え、『ベルセルク』は……?」
『ベルセルク』を一旦脇に置いておいての短期集中連載作品!
ファンとしては複雑な思いもありますが、帯にはこう描かれています。
「脳細胞が老いる前にやっておかねばならないことが在る!!」
三浦建太郎先生がそこまでして描きたかったというのなら何も言えないじゃあないですか。
という訳で、なんと24年振りの新作となるそうで。
そして当然のようにこの一巻完結作品も面白いのですよ、これが。
大災厄により人も文明も様変わりした、現代から一億年後の世界。
砂漠の上を旅する男女、人族の泥労守(デロス)と謎多き風炉芽(プロメ)。
彼らが出会う亜人族(ミュー)たちとの物語、そして帝国が擁する神話の巨人との闘いを描いた物語。
彼らが出会う亜人族(ミュー)たちとの物語、そして帝国が擁する神話の巨人との闘いを描いた物語。
あらすじ的には完全にSFのそれであり、巨人との闘いといえば今は誰しも『進撃の巨人』を想起するとは想うのですが……
三浦建太郎先生の筆力で描かれる世界は、やはりそれだけで魅力的です。
見開きで描かれる世界の様子が凄い。
そして、この作品の大きな特色は、そこでやることが、実はプロレスであるということ。
人族に恨みを持つ聖虫(スカラベ)族の代表・雄軍との、生身の格闘戦。
体格も重さも組成物も上回る相手に対し、「堪えて叩いて己も敵も人々も活かす」"列爽(レッソー)"を以って対峙する、"列修羅(レスラ)"たる泥労守。
ちょっと『五大湖フルバースト』感もあります。
体格も重さも組成物も上回る相手に対し、「堪えて叩いて己も敵も人々も活かす」"列爽(レッソー)"を以って対峙する、"列修羅(レスラ)"たる泥労守。
ちょっと『五大湖フルバースト』感もあります。
『ヴィンランド・サガ』や『バガボンド』が農業マンガになった時、『ベルセルク』もガッツが剣を鍬に替えて農業を始めると冗談めかして言われました。
それと同様に、『リアル』やこの『ギガントマキア』がプロレスを扱ったことによって、農業に加えて「巨匠の描くプロレス」という線が浮き彫りになった気もします。
そこには、どうしようもなく巨匠の精神をも惹きつけるものがあるのだろうな、と。
巨人の圧倒的な重厚感、そしてそれに列爽で立ち向かっていくのは、非常にスケールが大きく、一つ一つの動作に熱や重みを感じ、昂ぶります。
相変わらず、幼女へのフェティシズムが感じられるシーンも。
風炉芽の謎の生態も見どころの一つです。
私も峰久為流(ネクタル)を飲みたい。
1巻で綺麗にまとまっていますし、エピローグが良い感じで続きが読みたいくらいです。
世界設定的に広がりもありますしね。
三浦建太郎先生ファンの方も、今まで触れてない方も、世界観やバトル物に惹かれるものがあれば是非どうぞ。
そして三浦先生、『ベルセルク』の続きもどうぞ宜しくお願いします(笑)。
75点。