この作品は特殊な例外ですが、今マッグガーデンの本がセール中の模様。
こちらやこちらの記事で激推ししている個人的2013年ベスト5の『イレブンソウル』や、癒し系哲学作品『すみっこの空さん』(1巻75点 2巻75点 3巻75点)なども全巻320円で買えますので、オススメです。
ゆりかごの乙女たち
みよりふるまち
マッグガーデンコミックスビーツシリーズ
問題は自分にとっての特別がいるかどうか心の在り処をどこに定めるかということだもの
その内容は、大正浪漫×お嬢様学校×百合!
いえ、その時代には百合という言葉がまだ存在しませんでした。
とはいえ、身構えることもなく「大正時代のマリみて」位の軽い感覚で普通に入って行けますのでご安心を。
うん、堪りません。
75点。
いえ、その時代には百合という言葉がまだ存在しませんでした。
その代わりにあったのが、「S(エス)」という概念。
吉屋信子さんの『花物語』を端を発し、宝塚歌劇団の勃興もあって少女たちの間で流行した、Sisterの頭文字を取って呼ばれたこの関係。
上級生が可愛い下級生を見初め、大事な妹として可愛がるというシステムの「S」。
漫画で描いた作品は少ないですが、今作はその「S」をたっぷり描いて行きます。
とはいえ、身構えることもなく「大正時代のマリみて」位の軽い感覚で普通に入って行けますのでご安心を。
ヒロインの入江環(いりえたまき)は、庶民でありながら、お嬢様が集まる高等女学校に開校以来の才能でトップ入学した秀才。
環はその英明さを上級生に認められ、手紙を送られる。
が、そういったことに環は興味が持てなかった。
黒髪ロングストレートの凛々しくも可愛い所もあるヒロイン、個人的には大歓喜です。
決めゴマでの表情の美しさが良いですね。
Sは狭義には上級生と下級生の関係ですが、広義にはそれに留まらず同級生同士や生徒と教師の関係もそう呼ぶことも。
ともあれ、環と雪子の間に流れる空気感を美味しく頂きましょう。
大正時代の女学校について何冊か参考文献も読まれているようで、好きな方はそれだけで読む価値があるでしょう(好き過ぎる人にとってはツッコミ所もあるかもしれませんが)。
時が来れば意に沿わない殿方にも嫁がねばならない宿命も背負う、当時の少女たち。
そんな彼女たちの中に芽生えた甘美な物語は、時代背景が生んだ刹那的なる泡沫の夢。
終わりを知悉しながらも、本心からの、魂からの希求に溢れ出る愛しさと切なさ、狂おしさ。
読み終わった後にタイトルを噛み締めます。
うん、堪りません。
百合の醍醐味がここにありました。
「男性キャラは要らんよ!!」と憤慨する方もいるかもしれませんし、それ以外にも純正な百合モノとしては……と思ってしまう所は人によってあるかもしれません。
しかし、それはそれで。
一巻完結なのが惜しいくらい、もっとゆっくりじっくり彼女たちの心の揺れ動きを眺めていたかったです。
しかし、それはそれで。
一巻完結なのが惜しいくらい、もっとゆっくりじっくり彼女たちの心の揺れ動きを眺めていたかったです。
最近は『あの娘にキスと白百合を』(1巻75点)といい、良い百合作品に巡り会えて幸せです。
要素にツボが合えば、お気に入りの一作となることでしょう。
オススメです。
75点。