ゆずべんとう1巻、2巻
葵梅太郎
"おいしい"って言ってもらえるのって
嬉しいよね!
公式サイトで1話の試し読みが出来ます。
葵梅太郎先生の初連載作が、1・2巻同時発売。
全2巻で完結なので、纏めて買うのをお薦めします。
舞台は、海沿いの小さいのどかな田舎町。
都会の喧騒から遥か離れた、スローライフ感のある街の風景だけでも癒やしを感じます。
そんな街の片隅にある、少女ゆずが営む「ゆずのおべんとう屋」に纏わるお話です。
今作は基本的に一話完結型。
毎話街を訪れる旅人などを中心に、ゆずが特製のお弁当を振舞っていきます。
ゆずべんとうは、お客さんに合わせて一人一人全て内容の違う特製品。
とても可愛らしい物が多く、見ているだけで微笑ましい気持ちになります。
しかし、ただ可愛いだけではありません。
ゆずの作るお弁当は、どこか昔の記憶を想起させる不思議な味。
ゆずのお客さんは、皆何かしらの悩みを抱えています。
その悩みを、ゆずがお弁当を介して解決していく物語、と言い換えることもできるでしょう。
匂いや味の記憶は物心が付くより前の事も覚えていると云われます。
大切な料理は、大切な記憶や思い出と密接に結びついているのですね。
ゆずべんとうは、それを喚起させる力を持っています。
子供から大人まで、男女問わず様々なわだかまりを抱えたお客さん達。
人生に迷っていたり、誰かに謝ることができないでいたり……
その一つ一つの問題を優しく解決して行く様は、派手さはありませんが、ふんわりと優しく、しみじみと深く心に届きます。
『ARIA』や業田良家先生作品などの読感にも近いものがあります。
犬のポチも大切な家族。
犬が可愛く描かれるので、犬好きの方にもお薦めです。
コミックスになって、カバー裏のオマケも可愛かったです。
可愛らしく、まっすぐで、心温まり、時にホロリと泣けるお話。
百聞は一見に如かず、まずは試し読みの老夫婦の話を読んでみて下さい。
75点。