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Channel: マンガソムリエ兎来栄寿のブログ 先刻の箚記(さっきのさっき)
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SHORT PEACE 感想

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公式サイト

大友克洋さんの作品を中心とした豪華クリエイター陣による、「日本」をテーマにした4篇の短編集映画。
4本で67分と、気軽に観ることが出来ます。

「風立ちぬ」と同じく7月20日公開された為、アニメファンには嬉しい悲鳴でした。
同日に観てしまうと、どちらかに引っ張られて余韻が消えてしまうだろうと考え、間を空けて鑑賞してきました。


OP
森本晃司監督脚本というOP。
いきなり幼女のパンツがクローズアップされるというクールジャパン。
黒髪ロングの女の子と兎という組み合わせは私好みでした。
が、それ以上に背景映像の幾何学的美しさが大変にツボでした。
遷移する世界にそのまま浸っていたくなる感覚で、大好きな映像です。


「九十九」
雷雨の夜に、祠で雨宿りをした男に起こる不思議な出来事を描いた物語。
過不足なく纏められており、楽しめました。
映像は鮮やか華やかで精緻で……凄いですね~。
しかし、あの声が悠木碧さんや草尾毅さんだったとは…… 意識せねば気付かないので、プロは凄いなと思いました。


「火要鎮」
大友克洋監督・脚本。
大友克洋GENGA展に行った時に観たPVが印象的だった今作。
江戸の火消しとその幼馴染の悲恋を描いた作品です。
アーティスティックな映像表現に唸る一方、ストーリーが若干散漫に感じました。
「九十九」と併せて、外国人受けを狙って創られている感が出ており、実際に受けるだろうと予想されます。


「GAMBO」
東北の村落を舞台にしたガールミーツベアー、そしてベアーvsオーガ。
貞本義行さんがキャラデザインで、ヒロインの幼女カオがやたらと可愛いです。
その一方で、鬼が非常に薄気味悪く、凶暴に描かれます。
ここまでしっかりと怖さを描いた鬼という物をあまり見た記憶がないので斬新に感じました。
熊と鬼の格闘戦の迫力は圧巻。


「武器よさらば」
大友克洋先生の漫画が原作で、カトキハジメ監督脚本という超豪華コラボ作品。
他の作品に比べると、純粋なアクションエンターテインメントとして興奮しつつ楽しめます。
廃墟と化した東京のビル群で、男4人が軽口を叩き合いながらミッションに挑む感じが堪りません。
銃撃戦の緊張感と迫力は、流石に素晴らしいです。
当時としては斬新だったというあのオチも含めて好きです。
音楽も劇的で良かったですね。


富士山が「九十九」と「武器よさらば」で最後に印象的に出て来ましたが、どうせなら全作で出せば良かったのでは、と思いました。
出せない雰囲気という訳でもなかっただけに。

全体的に海外受けを考えられた作りという印象で、ストーリーよりも映像表現に比重が置かれていて、玄人受けする印象でした。
「面白い話を観に行く」というよりは、「最先端の映像技術・表現方法を観に行く」というスタンスの方にお薦めです。

個人的には、もっと凄いものを期待していました。
そして、この感じならもう2,3本あったら嬉しかったかなと思いました。
「SHORT PEACE」というタイトルからすれば、その名の通りなのですけれども。
娯楽性を求めるなら、「AKIRA」を見返していた方が幸せかもしれません。


70点。

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