鋼鉄奇士シュヴァリオン 1
嵐田佐和子
あんた一体
何と戦ってるの……?
嵐田佐和子先生の初単行本。
Fellows!で連載していましたが、現在はFellows!の代わりに創刊したハルタにて連載中です。
宿敵デス・ユニバースを倒した、5人組のヒーローシュヴァリオン。
しかし、リーダーであるレッドの烈人(レット)だけは何故か変身がとけないまま、日常生活に戻っていた。
巨悪のいなくなった平和な街。
そこでは、曾てのヒーローの力は不相応に大き過ぎ、逆に厄介者扱いを受けていた。
今のアンタはもはや
派手な格好のただの迷惑な
住所不定無職!!
竪穴式住居に住み、内職をして口に糊する元ヒーロー。
その悲哀をユーモラスに、時にシリアスに描く作品です。
着眼点にまず面白さのある作品ですね。
『まおゆう魔王勇者』や『竜の学校は山の上』では、ファンタジー世界で勇者が魔王討伐の後が語られますが、そのヒーロー版といった所です。
基本的にはヒーローとしての精神性を持ったままなので、人助けに尽力しようとするもののそれが悉く裏目に出てしまう悲しさとそこに生じる笑い。
圧倒的な力の場違い感が良いですね。
カバー裏に至るまで、落ちぶれてしまったヒーローの姿が切々と描かれます。
ただ、後半は変身が解けなくなった理由を追って行くシリアス色が強い筋になります。
エンターブレインっぽいテイストもありつつ、画力は高いです。
烈人とツンデレなさくらとの仄かな恋愛フラグも先を気にさせてくれます。
今後の展開次第で全体的な評価も大きく変わりますが、この一巻時点ではかなり楽しめました。
ちょっと異色な物を読みたい方、ヒーロー物が好きな方、オススメです。
75点。
ホームレスさん達を見習えとまで警察に言われる元ヒーロー。