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Channel: マンガソムリエ兎来栄寿のブログ 先刻の箚記(さっきのさっき)
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ゴールデンカムイ1巻

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ゴールデンカムイ 1巻
野田サトル
集英社ヤングジャンプコミックス

弱いやつは食われる
それはどこの世界でも同じだろう?


1話試し読み

昨年の俺マン2014にて、未刊行作品の投票数において見事第一位を飾った超注目作。
その為、発売日よりかなり前にAmazonで予約注文しておいたにも関わらず品切れを起こしていたようで、ようやく届きました。

連載でも追っていますが、まとめて読むと一層面白い!
もう、とりあえず試し読みしてみて下さい。
ヤングジャンプは『カギュー』や『ハチワン』が終わってもどんどん勢いのある作品が出て来て熱いですね。


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主人公は、日露戦争で勲章ものの活躍をしたものの、気に入らない上官を半殺しにしたことで貧乏暮らしをしている帰還兵・杉元佐一。
その恐るべき戦いぶり、無数の傷を負いながらも戦い続ける様から「不死身の杉元」の異名で恐れられていた。
ある目的で金が必要な杉元は、砂金を求めて北海道へとやって来た。
そこで杉元は、ゴールドラッシュに沸いた北の大地で、ある噂を耳にする。

日本人に迫害されていたアイヌ人たちが莫大な金を隠していた。
そして、その全てを奪って密かに埋蔵し、網走刑務所に囚えられた男がいた。

{6E32D1EA-5AD6-4101-A3BA-D02B901B2656:01}

男は埋蔵金の在り処を決して白状せず、囚人に刺青で暗号として刻み付け、脱走させて外にいる仲間に知らせようとしたという。
与太話だと思った杉元だったが、刺青の囚人は実在した。


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そんな中、杉元は埋蔵金の男に父親を殺されたアイヌの少女・アシリパと出会う。
杉元は金を、アシリパは親の仇を求め、二人の旅が始まる――


あらすじだけでもワクワクする作品ですが、この作品には様々な魅力が詰まっています。
黄金を巡る冒険譚であり、試される大地とも呼ばれる峻厳な北の大地で自然や人間を相手にしたサバイバルストーリーでもあります。


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そこで、軍人流やアイヌ流の様々な実践的サバイバル術が描かれます。
現代日本人が普段活用できる機会はそうそうないですが、知的好奇心を擽ってくれます。
『山賊ダイアリー』のような話が好きな人には堪らない内容。
ここではリスを捕える為の罠の詳細が、そしてこの後のシーンではアイヌ流のリスの食べ方が紹介されます。
様々なアイヌ語、アイヌ人のモテる男の条件……
読むだけで自然とアイヌ文化への理解が深まります。

アイヌの食事に感謝する言葉、「ヒンナ」を口にしながら、杉元おアシリパがアイヌ料理を美味しそうに食べるシーンが好きです。

私は以前、一度だけアイヌコタンに行ったことがありますが、日本でありながらも完全な異文化を感じられて興奮しました。
ただ、時間が無くてアイヌ料理を食べられませんでした。そのことは未だに後悔として残っている所です。
リスの◯◯◯も食べてみたいなぁ。

上記のシーンもそうですが、何と言ってもアシリパがヒロインとして魅力的なのも長所。
可愛いだけじゃなく、サバイバル術に長けて体も張れるヒロイン。
顔芸が回を追うごとに凄いことになって行くのも見所の一つで、シリアスなストーリーの中で良い箸休めになっています。
ナコルルや、エルルゥ・アルルゥなどアイヌっ子が好きな方は、『くまみこ』共々押さえておいて間違いないでしょう。

明治の終わりという、まだ人の世に血なまぐささが強くある時代背景も良い味を出しています。
過酷な自然の中で、野心と欲望をギラつかせる曲者たちの中で、「生き残る」「生存する」というシンプルにして永遠のテーマが骨子となっており、普遍的な面白味を持つ作品。
純粋に、面白い漫画を探している方に勧められる作品です。

二ヶ月連続刊行なので、2巻は早くも来週発売!
今後も楽しみな漫画が増える喜びを言祝ぎましょう。
イヤイライケレ。


75点。



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